ヤマノイモ
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ヤマノイモ | ||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Dioscorea japonica | ||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||
ヤマノイモ | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Glutinous yam |
ヤマノイモ(山芋)、やまいも、自然生(じねんじょ、転じて自然薯とも)は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物、あるいはその芋として発達した担根体。
いわゆる山芋は、本来は標準和名ヤマノイモ、学名はDioscorea japonica。本州から四国・九州及び、朝鮮半島、中国に分布する雌雄異株のつる植物で、細長いハート形の葉を持ち、夏には葉腋から穂状の花序を付ける。果実は大きな三つの陵があり、それぞれの陵が中に種子を含んでいる。種子のほかに、葉腋に発生するむかごによって栄養生殖する。地下には一本の芋がある。芋は地下深くへとまっすぐに伸び、1mを越えることもある。地上部の成長にしたがって芋は縮小し、秋には新たな一本の芋と置き換えられる。
元来は野生のものであるから、山へ行って掘ってくるものであった。ただし、うまいものは他の動物にも魅力がある。たいていの場合、イノシシとの取り合いになり、遅ければ、ほじくり返した跡ばかりを見る。
秋になって地上部が枯れる頃が芋の収穫時期である。枯れ残った蔓を目当てにして山芋を探す。芋を掘るには深い穴を掘らねばならないので、なるべく斜面の所を探す。掘る道具としては、大人の背丈ほどの鉄の棒で、先端が平らになったようなものを持つ。蔓が地面に入り込んだところを特定し、その周辺を深く掘り下げてゆき、芋を掘り出す。先端まで掘り出すには注意と忍耐がかなり必要になる。うまく掘り出せた場合、蔓の先端に当たる芋の端っこを残して、穴を埋めるときにこれも埋めておく。そうすれば、来年も芋にありつけるわけである。
現在では、畑で栽培されているから、それを目にすることの方が多い。畑の地下深く入る芋は収穫にはむかないので、最初から長いパイプの中に栽培する。
長く伸びる芋を食用にする。この芋に含まれるデンプンは非加熱状態でアルファ化しているため生食が可能であり、すりおろしてとろろにする調理法が代表的。薯蕷、きんとんなど、和菓子の材料にもなる。むかごは主に加熱調理して食用にする。
[編集] ヤム芋
ヤム芋 (Yam) はヤマノイモやナガイモを含むヤマノイモ属の食用種の総称で、アフリカ・熱帯アジア・ラテンアメリカにかけての広い地域で主食として栽培されている。ヤム芋類の総称としてヤマノイモの名称を使うこともある。
アメリカ合衆国では、オレンジ色のサツマイモがヤム芋と混同され、頻繁にYamと呼ばれる。ヤム芋の栽培の経験があった西アフリカ出身の奴隷が、北米産のサツマイモをヤムと呼んだのが原因であるらしい。アングロアメリカでは、真のヤム芋はほとんど食べられておらず、ヤム芋とサツマイモの違いを知る者は稀である。
日本でも野生のヤマノイモ以外に、畑で栽培される品種がいくつかある。よく出回っているものの多くは、ナガイモの品種である。
ヤマノイモまたはナガイモの根茎の外皮を除去して乾燥したものを山薬(さんやく)という。これには日本薬局方に収録されている生薬で滋養強壮、止瀉、止渇作用があり、八味地黄丸(はちみじおうがん)、六味丸(ろくみがん)などの漢方方剤に使われる。