ユグドラシル
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ユグドラシル(古ノルド語: Yggdrasill)は、北欧神話に登場する「世界」を体現する巨大な木であり、「世界樹」もしくは「宇宙樹」とも呼ばれる。アイスランド語ではイグドラシル(イッグドラシル)という。その姿はトネリコの木を想起させる。アースガルズ、ミズガルズ、ウートガルズ、ヘルなどの異なる世界(九つの世界)をすべて含んでいると考えられている。
「ユグドラシル」という名前の由来には諸説あるが、最も有力なものは「恐ろしい者の馬」すなわち「オーディンの馬」を意味しているという説である。Yggrは、オーディンがもつ名前の一つである。
3つ根が幹を支えており、それぞれアースガルド、ミッドガルド、ヘルに通じている。 アースガルドに向かう根のすぐ下に、神聖なウルドの泉があり、ミッドガルドに向かう根のすぐ下にはミミルの泉がある。
この木に住むリスのラタトスクが、それぞれの世界の間に情報を伝えるメッセンジャーとなっている。
木の頂上には、大鷲フレズベルクが止まっておりその目の間に、ヴィゾフニルと呼ばれるタカが止まっているという。
ユグドラシルの根は、蛇のニーズヘッグによってかじられている。 ヤギのヘイズルーンは、ユグドラシルの頂上に住み、その葉を食べている。また、ダーインとドヴァリン、ドゥネイルとドゥラスロール(古Dáinn ok Dvalinn,Dúneyrr ok Duraþrór)と言う四頭の鹿がユグドラシルの樹皮を食料としている。
ちなみに、ザクセン人がイルミンスール(イルミン〔ザクセン人の祖神〕の柱、Irminsūl)という同じような世界樹を崇拝していたことが、772年にその木を切り倒したカール大帝の記録などから分かっている。