ライブスチーム
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ライブスチーム( Live Steam ) とは、実際に稼動する蒸気機関の総称。
一般的に実際に蒸気を発生させて走る模型蒸気機関車をライブスチームと呼ぶが、広義には模型だけではなく、動態保存されている実物の蒸気機関車、蒸気船、トラクションエンジン(蒸気トラクタ)蒸気ポンプ、蒸気クレーン蒸気ハンマ等を総称する。
[編集] 鉄道模型におけるライブスチーム
多くの鉄道模型は、線路から給電した電気で走行するが、ライブスチームは実物の蒸気機関車を小型化したようなもので、実際に水と燃料(石炭・石油・アルコールなど)を使用した蒸気機関で稼動する、庭園鉄道の一種である。
日本では江戸時代末期、米国のペリーやロシアのプチャーチンが幕府の役人の前で模型蒸気機関車の走行を実演したのがはじまりらしい。その後、佐賀藩で田中久重らによって外国の文献を頼りに蒸気機関車や蒸気船の雛型(模型)が製作された。このように日本では実物よりも先に模型の方が早く完成した。
その仕掛け上、どうしても車両は大型化せざるを得ず、一般的な軌間は45mm(1番ゲージやGゲージ)と89mm、それに127mm(5インチゲージ)であるが、軌間9mmやOOゲージの製品も存在する。
製作には高度の技術力、工作設備を要し、運転も屋外のレイアウトを要し電気式のように手軽にはできない為、ライブスチーム特有の扱いにくさから一時期廃れていて一部の熱心な愛好家によって細々と続けられており、渡辺氏、井上氏らが模型とラジオに製作記事を執筆し、小川精機、末近氏らがキットを販売していたが本格的な愛好家の拡大にはなかなか結びつかなかった。1975年に模型とラジオのスクールズ級の製作記事を読んだアスターホビー(当時はアスター精機)の社員達が当時、主力商品だった機械式レジスタの電子化によって雇用の危機に陥っていた同社の精密機械部門の起死回生の一環として取り組んだ結果、誰でも組み立てができる1番ゲージの100%機械加工済みのキットを販売した事によりこれまで機械設備を持たず欲しくても手に入れることの出来なかった愛好家の拡大に繋がった。この時期以降をライブスチームルネッサンスとも呼ばれている。その後、新規参入、再参入により徐々に増え、Roundhouse,Chedder,Accucuraft,ホーンビィ,メルクリンやコーギー傘下のバセットロークからもライブスチームモデルが販売されている。
生産に工数が掛かり、構造が複雑な為、当然、他の模型よりも遥かに高価なものとなり、100万円台の製品もある。大型のものについては後部に客車を連結し、人間を載せて走らせることも出来ることから、理系大学における学校祭、鉄道会社や保存施設などのイベントで、走る姿を見かけることもある。