ラップトップパソコン
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ラップトップパソコンとは、コンピュータのディスプレイと操作部であるキーボード、および本体が一体化した携帯型コンピュータ(パーソナルコンピュータ)である。 デスクトップ、ラップトップ、パームトップに分類される。 日本ではラップトップパソコンよりノートパソコンが一般的な表記である。
[編集] 概要
このコンピュータとノートパソコンとの違いは、ノート型がより薄く・より軽くと運搬性を重視し、このために機能や性能面を犠牲にしたのと対照的に、運搬性のみを求めてデスクトップ型パソコンと同じ機能・ディスクドライブ等をそなえる点である。また使用されているCPUが高速・高性能の物であったり、チップセットやグラフィックカードなどが3Dアクセラレーター機能を備える等、デスクトップ型に匹敵する機能を持っている物も多く見られる。
特にコンパクトながらもデスクトップ型のパソコンと同程度の機能を備え、また運搬しやすい形状となっているため、必要に応じて机の上に取り出したり、またしまったりする用途に向く。ただし重量面ではノートパソコンに比べて重くなる傾向は避けられず、常に携帯して利用する用途には向かない。また小型化のために拡張性を犠牲としており、デスクトップ型のように汎用のサードパーティー製オプションボードを利用しての増設は不可能である。(ただしPCカードやUSB接続の機器は利用可能である)
しかし2000年代より、多くのユーザーにとってノート型パソコンでも充分に実用的な性能を備え、またCD-ROM/DVD-ROMドライブの小型軽量化・フロッピーディスクドライブの陳腐化もあり、デスクトップパソコンに至っては過剰性能にもなっている部分もあるため、携帯型のパソコンには薄型・軽量で充分に機能面で充実したノート型を選択する傾向が見られ、またメーカー側もユーザーにアピールし難い大型の部類に入るラップトップ型をあまり生産しない傾向が見られる。
日本に於いて「ラップトップ」という言葉は、1980年代~1990年代初頭に登場した可搬型のコンピュータを指すことが多い(後述)
米国など英語圏ではノートパソコンでは通じず、日本で言うところのノート型は「Laptop」と呼ばれる。
[編集] 日本のラップトップ
日本では現在、ラップトップ型とノート型の境界は曖昧で、小型で持ち運びしやすい、折り畳み式のディスプレイを持つ一体型コンピュータは全て(勿論、PDA等は除くが)ノートパソコンと呼ばれることが多い。
しかし1980年代から1990年代に掛けては8bitや16bitCPUを搭載して、液晶方式やプラズマ方式の画面を備えた、小型で可搬型のコンピュータが「ラップトップ(コンピュータ)」の名称で数社から発売されていた。
これらのコンピュータはディスプレイを内蔵するとはいっても、グラフィック表示より文字表示を目的とする傾向が強く、グラフの表示は出来たが640×480ドット(俗にVGAと呼ばれる)などの4:3の画面比を持つ物ではなく、横に細長い表示画面を持っている物が主であった。また当時の技術的限界から今日のノートパソコンのように薄型で上面全体が開いてディスプレイとなっている訳ではなく、本体上部の半分だけが開いて、この部分にディスプレイとキーボードが設けられていた。
上記以外の主な特徴は以下の通り。
- 本体側面などにフロッピーディスクドライブを備える。
- バッテリーによる駆動も可能である。
- 本体にはRS-232C等の汎用通信ポートを備える。
- これで外部機器を制御する事も出来た。
これらは主に商業分野や工業分野、または学術分野で利用され、産業用ロボットや業務用機器等といったハードウェアの制御や、その場で見積もりやシミュレーションデータを出す用途などにも利用されていた。特にハードウェア制御分野では、制御プログラムがこれらラップトップ機の機種に依存して組まれていた事もあり、2000年代に入っても相当数のこれら旧式なラップトップ機が業務用分野で利用されている模様である。
[編集] 関連項目
- デスクトップパソコン
- ノートパソコン
- タブレットPC
- 携帯情報端末 (PDA)
- ハンドヘルドコンピュータ(かつて存在した、携帯型コンピュータの区分)
- ポケットコンピュータ(かつて存在した、より小型の携帯型コンピュータの区分)
- 情報機器