光ディスク
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光ディスク(ひかり-)は、光学ドライブ装置を使い、光(半導体レーザー)の反射により情報を読み書きする記録媒体である。
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[編集] 概要
材料には、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリ乳酸などが用いられている。
光を使って読み書きするので、埃や指紋の付着によるデータの読み出しに対する悪影響が磁気ディスクよりも少なく、リムーバブルメディアとして使われることが多い。 しかし、記録密度の限界が半導体レーザーの波長で決まるので、ハードディスクよりも密度を上げることは難しい。
最初に市場に登場した光ディスクは、1960年代から研究が進められ1980年に発売されたレーザーディスクである。レーザーディスクにはビデオ信号をアナログデータのまま記録されていて、デジタルデータを記録する後発の光ディスクとは性質が異なる。
光ディスクは、取り扱いの便利さ、大量生産の容易さ、製造コストの安さなどで、従来の媒体を置き換える形で普及してきた。レコード→CD、カセットテープ→MD、ゲーム機のROMカセット→CD-ROM、ビデオテープ→DVD、などがその例である。もっとも、普及に弾みをつけるには、決定的に魅力のあるコンテンツ(キラーコンテンツ)の存在が欠かせない。
光ディスクは大容量化が難しいので、コンピュータ用バックアップ装置などでは磁気テープ(DAT)を置き換えるにはいたっていない。カムコーダでは2006年9月にDVDメディアを使った製品のシェアがDVテープを逆転したと報道されたが、同時にハードディスクドライブ搭載機種も増えている。また、書込みが容易ではないので、パソコンの外部記憶装置やビデオレコーダーでは、磁気ディスクであるハードディスクが主に用いられている。他方、前述の書換の難しさとともに、機械的にディスクを回転させることで信頼性が低く読込に時間がかかるので、ポータブル音楽プレーヤーやデジタルカメラ、携帯ゲーム機等にはフラッシュメモリが用いられる場合が多く、こうした分野ではMDがフラッシュメモリにとってかわられるなど光ディスクは淘汰される傾向にある。
反面、光ディスクは長寿命であり、製造時の品質にも左右されるが、適切な取り扱いおよび保存行為をしていれば最長で100年、多少雑に取り扱っても劣化を進める要素に積極的に晒さなければ10年~30年は保存しておくことが可能とされており、さらにヘッドが非接触であるため、読み込み動作によるメディア劣化の懸念要素がなく、長期間データを保存するのに向いているメディアであると言える。なお、音楽用CDが出回り始めた当時は半永久的に保存が可能とされていた事もあったが、前述の通り寿命は確実にある。
光ディスクは記録密度や回転数などが既に物理的限界に達していることから、BDとHD DVDを最後に、光ディスクの性能は頭打ちになるとも言われたが、それらを上回る大容量を持つHVDが開発され、2006年の商品化が予定されている。
ネット配信の普及により光ディスクで販売されるコンテンツは減少していくという見方がある。実際、1990年代末より、音楽配信がわずかながらCDに取って代わるものとして普及し始めている。
[編集] 光ディスクの種類
[編集] 第1世代
主に1980年代に登場し、音声および映像を記録するもの。
[編集] 第2世代
主に1990年代に登場し、大容量データと標準テレビ画質の映像・高品質の音声を記録するもの。
- Phase-change Dual (PD)
- GD-ROM
- DVD (Digital Versatile Disc)
- MVDISC (Multimedia Video DISC) - NECが発売したDVD-RAM/RW対抗の独自規格ディスク。全く普及せず。
- デジタルデータ用光ディスク (Optical Digital Data Disk; OD3)
- ニンテンドーゲームキューブ用8cmディスク(名称はないが、「8cm光ディスクテクノロジー」と書かれる事がある)
- Wii用12cmディスク(特に名称はなく、説明書では単に「ディスク」と書かれている)
- UMD (Universal Media Disc)
- EVD (Enhanced Versatile Disc) - 中国でDVDの特許料を回避するために開発されたDVD代替ディスク。
- Super Audio CD (SACD)
[編集] 第3世代
主に2000年代に登場し、HDTV画質映像や10GB以上の大容量データを記録するもの。
- プロフェッショナルディスク - ソニーの青紫レーザーを使った業務用の光ディスク。容量23GB。BDに近い。
- HD DVD (High-Definition Digital Versatile Disc)
- Blu-ray Disc (BD)
- HVD (Holographic Versatile Disc)
[編集] 光磁気ディスク
光磁気ディスクは、光を使って読み出す部分は光ディスクと共通だが、磁気を使って記録する点で異なる。 音楽用途で使われるミニディスク(MD)は、光磁気タイプの録音用ディスクが主に流通しているが、盤面の一部若しくは全部が再生専用の光ディスクとなっているものも存在する。
[編集] 光ディスクのケース
光ディスクは一部を除いてキャディに収納されておらず、傷、指紋、ホコリを避けるためにケース(パッケージ)に入れて保管する必要がある。
- ジュエルケース
- 一般的なケース。ジャケット部1枚、トレイ部2枚のプラスチックで構成されている(およそのサイズはW124mm×H142mm)。
- スリムケース
- 主にマキシシングルや廉価版CD、ブランクディスクに採用されている。ジャケット部1枚、トレイ部1枚のプラスチックで厚みはジュエルケースの約半分。
- トールケース
- 主に市販DVDに用いられる。VHS用ケースと高さが近い。
- プレイステーション2用ソフトのケースにアマレー社製(およそのサイズはW136mm×H190mm)のケースが採用されたことを契機にDVDはトールケースが一般的になった。横幅が5mm広いワーナーサイズもある。
- デジパック
- プラスチック製トレイに厚紙を貼り付けたケース。限定版や特別仕様のCD/DVDに用いられる。
[編集] 規格争い
新世代の光ディスクが市場に登場する際は、ライセンス収入などをめぐって大手メーカー同士で激しい規格争いが生じる場合が多い。Blu-ray Disc 対 HD DVDがその典型例である。