リカンベント
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リカンベントとは、自転車の一種で、通常の自転車がサドルに臀部を乗せ直立に近い状態で、足の上下の屈伸運動を動力とするのに対し、サドルの代わりとなる背もたれつきのシートにもたれるように坐り、足を前方に向けた姿勢での屈伸運動を動力とする。
通常の自転車に比べ、空気抵抗が少なく、平地での巡航能力が高い事が特徴。また臀部だけでなく腰の広い接面で全体重を支えるので長時間走行しても負担が少ない。しかし立ちこぎ(ダンシング)ができない構造なので登坂能力が低いという欠点もある。多くは変速機の操作により対応している。坂の多い日本では普及は未だ多くないが、平地の多いオランダなどでは開発も熱心である。
[編集] リカンベントの種類
リカンベントは車輪の数、ホイールベース、ハンドルの位置、乗車位置で分類されている。トライクとも呼ばれる3輪リカンベントは、前1輪のものをデルタトライク、前2輪をタドポールと呼ぶ。リカンベントは仰向けに寝そべった形で乗車するが、うつぶせに乗るものもあり、プロンと呼ばれる。2人乗車で1人はうつぶせ、1人は仰向けで乗車するというものも存在した。
リカンベントのハンドルは、通常の自転車のように運転者の前にあるタイプ(ASS)とサドルの下にあるタイプ(USS)とがある。後者の場合、運転者は視界が開けるが、運転感覚の違いのために多少の熟練を要するようである。また、競技用ではあるが後輪操舵のものも存在する。
[編集] ストリームライナー
乗車位置が低ければ低いほど空気抵抗を受けない。そのため、ローレーサーと呼ばれる、座面が地上から十数センチという非常に乗車位置を低くしたものもある。さらに、空気抵抗を低くするため、車体全体をカーボンファイバー製などのフェアリングで覆ったストリームライナーというものもある。 またこうしたボディを持つ車種をベロモービルとも呼ぶ。
通常の自転車では、足で回すクランクと駆動輪である後輪をチェーンでつなぎ動力を伝達するが、ローレーサー、ストリームライナーではチェーンが長くなり、車高が低いためチェーンを通す場所が確保できない。また駆動輪に体重がかかると車輪回転を邪魔して速度が上がらない。そのため前輪駆動を採用している車種もある。 また前輪駆動を採用する車種の中には操舵輪を後輪とするものも存在するが多くの車種とは違う操作性のために運転にはかなりの訓練が必要となる場合が多い。