ワールドメイト被害救済ネット
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ワールドメイト被害救済ネット(ワールドメイトひがいきゅうさいネット)は、消費者被害やカルト被害訴訟で著名な弁護士らを中心とした、宗教団体のワールドメイトに纏わる被害を救済する目的で立ち上げられた組織である。別称ワールドメイト被害者の会(ワールドメイトひがいしゃのかい)。構成員数は120名程度。代表はフリーライターの井上トシユキ。事務局長は弁護士の紀藤正樹。
[編集] 沿革
複数の出版社が、ワールドメイトに関する被害報道に対してワールドメイトから損害賠償請求訴訟を起こされたこと、及び2名の元信者がインターネット上の電子掲示板での告発的な発言を巡って同様に損害賠償請求訴訟を提起されたことをきっかけとして、2002年8月15日に結成される。
[編集] 救済方法
- 脱会者や言論人、出版社が、発言の内容を巡ってワールドメイトから名誉毀損賠償訴訟を提起された場合のサポート。
- ワールドメイトに入会することによって被害を被った元信者たちへの支援。
[編集] 問題点
- 入会には毎年5,000円の支払いが必要だが、カウンセリングや会報発行などの経費支出に関する報告が対外的に公開されておらず、被害と主張する内容の具体的明示が少ない等、一般的な「被害者の会」と称する組織が行っている活動に比べて実態が分かりにくいとの声がある。
- また、創設メンバーが、ワールドメイトに対する被害賠償訴訟を一件も起こすことができないまま時効を迎え、訴訟提起資格を失ってしまったことにより、被害者でありながら組織の健全さに疑問を投げかける者もいる。
- 幹事である紀藤正樹がこの問題について議論するために開放した電子掲示板では、ワールドメイトが惹起した訴訟終了後あたりから被害者同士による公然とした個人名を挙げての誹謗中傷や足の引っ張り合いが起こるようになり、紀藤自身にも複数の問い合わせが殺到し、中には警察に被害相談を行うような事例も存在した。また、この問題に関連して弁護士との会談の内容なども書かれた秘守にされるべきはずの被害者・告発者側のメール数十通が掲示板等に流出した事件もあった。このことから、成員の素質や組織の運営方法、この団体周囲における個人情報の安全性に疑問を投げかける者も少なからず見られた。
- しかし、教団側から名誉毀損訴訟が複数先行して提起されたことが、被害回復の動きを鈍らせたことも無視できない要因と考えられる。脱会者が無用に団体側から攻撃を受けるのを避ける必要があることや、長年の帰依による精神的被害の問題など、一般の消費者被害事件と異なる、宗教団体等による被害救済の難しさを示す事例との見方もある。