一人親家庭
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一人親家庭(ひとりおやかてい)とは、母親または父親のいずれかと、その子(児童)とからなる家庭をいう。単親世帯ともいう。母と児童の家庭を母子世帯(ぼしせたい)あるいは母子家庭、父と児童の家庭を父子世帯(ふしせたい)あるいは父子家庭という。ひとり親家庭、単親家庭(たんしんかてい)とも言う。
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日本の単親家庭の現状
日本の単親家庭数は、母子世帯が122万5,400世帯、父子世帯が17万3,800世帯(いずれも平成15年11月1日現在)となっている。国民生活基礎調査(平成15年6月調査)の全世帯数(4580万世帯)との割合でみると、母子世帯は2.7%、父子世帯は0.4%。要因としては、離婚の増加に加え、子供がいる夫婦が離婚する時に父親と母親、どちらが親権者になり子供を引き取るかについて、1960年は父親が親権者になる割合が47%と母親よりも多かったが、その後比率は逆転し、1996年は母親が親権者になる割合78%となっていることがある(参考:平成10年版厚生白書)。
母子家庭と父子家庭とでは行政支援内容に差がある(後述)が、これは母子家庭の方が絶対数が多く(上述)、就業状態や収入等経済状態が父子家庭よりも劣悪な環境に置かれるケースが多いためである(父子家庭は就業している者のうち、75.3%が常用雇用。一方母子家庭は常用雇用は50.7%。収入平均は父子家庭:422万円。母子家庭:229万円。他に持ち家率も低い。詳細は母子家庭及び寡婦等の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項を参照)。
行政支援
一人親家庭は、両親がいる家庭に比べ経済的、精神的に不安定なケースが多いため、地方自治体が主体となって育児、医療等に対し助成金などの支援が行われている。
国・地方自治体による支援制度は、父子世帯と比べて経済的に苦境にあることの多い母子世帯を中心として構成され、これに父子世帯の子育てサポート制度が備わる。例えば児童扶養手当は母子家庭にのみ支給され、母子及び寡婦福祉法では母子家庭の定義に「等」を付け加えることで父子家庭を含むとしている。更に、同法では母子家庭等を20歳未満の子がいる家庭に限定している。子が20歳以上になった時、母子家庭の母だった女性は「寡婦」として引き続き支援を受けられるが、父子家庭の父だった男性は支援の対象になっていない。
父子家庭については経済的な支援よりも家事や子育ての相談などの支援の方がニーズが高く、従来から支援が行われていたが、今後の父子家庭の絶対数の増加が言われており、さらなる支援の重要性が指摘されている(参考:「父子家庭の声を吸い上げるところが全然なく、またこれから父子家庭は増えるだろうから、父子家庭対象の支援は重要になるだろう」第164回通常国会参議院厚生委員会(平成18年3月29日)中野冬美の発言を要約)。
なお、一人親家庭のみを対象としたものではないが、経済的に窮乏状態の家庭に対しては生活保護や就業相談、また子育ての相談窓口などを設けている。更に行政機関ではないものの、母子寡婦福祉連合会が行政機関と連絡をとって支援を行っている。