一杯のかけそば
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一杯のかけそば(いっぱいのかけそば)は、栗良平の作品。また、同作を原作とした映画。感動話の代表作としても知られ、『―を読む会』『栗っ子の会』なども結成され果ては作品叢書まで出来たが、作者が全国で寸借詐欺をして回っており、その罪で逮捕されたため、感動話と同時に詐欺話という扱いを受けた(詐欺師が感動話を書いたという事で)。
特に、短編小説として発表された本作を「実話であるか、創作であるか」という話題が大きく取り上げられ、結果的に作者の実生活といった「作品外の話、実話」にスポットが過剰にあたってしまった。そこから「出来すぎた創作話と、詐欺師の作者(実体)」というようなパッケージ化がされてワイドショーなどを賑わせてしまった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
ある年の大晦日の晩、札幌の「北海亭」という蕎麦屋に子供を二人連れた貧相な女性が現れる。閉店間際だと店主が母子に告げるが、どうしても蕎麦が食べたいと母親が言い、店主は仕方なく母子を店内に入れる。店内に入ると、母親が「かけそば(具の一切ない、他には汁だけの蕎麦)を1杯頂きたい(3人で1杯食べる)」と言ったが、主人は母子を思い、内緒で1.5人前の蕎麦を茹でた。そして母子は出された1杯(1杯半)のかけそばをおいしそうに分けあって食べた。この母子は事故で父親を亡くし、大晦日の日に父親の好きだった北海亭のかけそばを食べに来ることが年に一回だけの贅沢だったのだ。
翌年の大晦日も1杯、翌々年の大晦日は2杯、母子はかけそばを頼みにきた。北海亭の主人夫婦はいつしか、毎年大晦日にかけそばを注文する母子が来るのが楽しみになった。しかし、ある年から母子は来なくなってしまった。それでも主人夫婦は母子を待ち続け、そして十数年後のある日母とすっかり大きくなった息子二人が再び「北海亭」に現れる。子供達は就職してすっかり立派な大人となり、母子三人でかけそばを3杯頼んだ。
[編集] 類似した実話
2006年3月、台湾では似た実話があることが報道された。ある貧しい7人家族がおり、母親がガンで入院しているために看病をしていた5人の子供が食事がろくに食べられず、それを見かねた病院の看護婦がその家族にワンタン麺を与えた所、5人のうち3人の子供たちは麺だけを食べ、母親に元気になってほしいとワンタンを母親の為に残した。これを見た看護婦が感動し台湾中の人々に伝え、台湾中の人々が涙しその家族に対し寄付が殺到した。
2006年4月21日にその母親が子供を残しガンで死去し、陳水扁総統が哀悼の意を表した。
[編集] 映画
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
- 原作:栗良平
- 脚本:永井愛
- 企画:高橋松男
- 撮影:高村倉太郎
- 音楽:渡辺俊幸
- 主題歌:『予約席』(作詩・作曲:さだまさし 歌:佐田玲子)(1991年)
- プロデューサー:野辺忠彦
- 制作総指揮:上田彦二・高橋松男・富原薫・中川真次・入江雄三
- 監督:西河克己
[編集] 書籍
『一杯のかけそば』1992年角川文庫ISBN 4041814014