三波石峡
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三波石峡(さんばせききょう)は、神流川上流に位置し、群馬県から埼玉県に跨る景勝地。行政上では埼玉県児玉郡神川町、群馬県藤岡市(旧・多野郡鬼石町)に属する。
江戸時代から景勝地として知られ、旅人相手の案内を生業にしていた村人もいたといわれる。また、緑色の結晶片岩は石英が緑色の紋様を示し、非常に高価な庭石としても重宝されていた。
一帯は断崖絶壁が連続し、その間に結晶片岩の奇岩、巨岩が露出する。また、地質学上でも非常に貴重な場所であり、小藤文治郎がこの三波川一帯で発見した結晶片岩を三波川結晶片岩と命名、これは後に三波川変成帯の名の元になっている。このようなことから、非常に貴重な自然と地質学上の貴重さから、1957年(昭和32年)には国指定の名勝、そして天然記念物の指定を受けている。
しかし、その後神流川上流の下久保ダム(現在は神流湖とも呼ぶ)の川の水は堰き止められ、峡谷を流れる川の水が涸渇してしまった。風光明媚な景勝地は石には苔が生えて黒ずみ、川底にはアシなど雑草が繁茂し荒れ放題になるなど、見るも無惨な姿と変わってしまう。そのため、下久保ダムから配管工事を施し、川の水が河川に流れ出るようにした。大がかりな工事は2001年(平成13年)に完成、河川には清流が戻り、風流な景勝地は過去の姿に戻りつつある。