結晶片岩
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結晶片岩(けっしょうへんがん、crystalline schist)は、変成岩の一種。片岩(へんがん、schist)ともいう。目視では、厚さ1mm程度の層状構造が積み重なっていて、見た目のとおり、シート状ないし鱗状に剥離するものもある。これは岩石を構成する鉱物が板状・鱗状・針状に平行に結晶しているためである。
[編集] 分類
結晶片岩は上記特徴を備えた変成岩の総称で、その構成鉱物によって種々分類される。例えば絹雲母片岩、黒雲母片岩、紅レン石片岩、緑泥石を含む緑色片岩(緑泥片岩)、アルカリ角閃石を含む青色片岩などがある。
[編集] 成因と産地
プレートテクトニクスに伴った地殻変動の際、プレートの沈み込み帯に沿った広い範囲で変成作用(広域変成作用)が起こり、生成したと考えられている。片岩中に含まれる変成鉱物(藍閃石、緑泥石など)により、変成作用の温度・圧力・時間条件の推定が可能である。基本的に、低温高圧下で形成される岩石ある。原岩は塩基性岩、砕屑岩(泥岩、砂岩など)のことが多い。
日本では中央構造線沿いの三波川結晶片岩地域が有名。世界的にはスカンジナビア半島、アメリカのアパラチア山脈、アルプス山脈、ヒマラヤ山脈など地殻変動が活発な地域で産出する。中央構造線上にある和歌山城や徳島城の石垣には近くで産出した緑泥片岩が使われている。城の石垣としては珍しく緑色の中に層状にきらきら光る雲母の結晶が見える。四国の名勝大歩危小歩危も結晶片岩地帯である。