上下分離方式
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上下分離方式(じょうげぶんりほうしき)とは、鉄道・道路・空港などの経営において、沿線自治体などが土地や施設などの資産(下)を保有し、それを民間会社や第三セクターが借り受けるなどして運行・運営(上)のみを行う営業形態のこと。
特に鉄道の場合、運行事業者とインフラ整備主体とが原則として別人格であって、インフラの整備に公的が関与する場合を、広く上下分離方式と呼称する。
この方式を導入する事により、例えば鉄道の場合、鉄道会社には固定資産税など諸税を払う必要はなくなるばかりか、鉄道資産の更新も沿線自治体などが行うため、非常に効率の良い経営が行える。
イギリスでは、これを国鉄改革に導入したが、線路の保有・管理会社と運行会社とで管理をバラバラに行なったために整備が行き届かず、1999年10月5日、ロンドン近郊パディントンでの大事故を招いた、という指摘もある。
また、フランスでは、フランス国鉄(SNCF)の機構改革の際には、従来のフランス国鉄本体を、国有の公共企業体という企業形態のままで、列車の運行・車両の保有などを行なう鉄道運営法人とし、線路や駅などの鉄道施設(インフラ)は、新たに設立された政府系の公的機関であるフランス鉄道線路事業公社(RFF)が保有する形式に改革された。
[編集] 日本で上下分離方式を採用している会社
鉄道における上下分離方式の採用例
鉄道事業者名 | 線区 | 公的主体 の 投資 |
公的主体の投資+ランニングコスト負担 | 公的主体の保有 | 固定資産税 の 減免措置 |
---|---|---|---|---|---|
青い森鉄道 | 全線 | あり | あり | 車両以外の鉄道資産 | あり |
三陸鉄道 | 全線 | 車両 | トンネル・橋梁・車両 | トンネル・橋梁 | 税相当額補助 |
上信電鉄 | 全線 | あり | インフラと車両 | なし | あり |
上毛電気鉄道 | 全線 | あり | インフラと車両 | なし | あり |
富山ライトレール | 全線 | あり | インフラと車両 | なし | なし |
鉄道における上下一体方式の採用例(参考)
鉄道事業者名 | 線区 | 公的主体 の 投資 |
公的主体の投資+ランニングコスト負担 | 公的主体の保有 | 固定資産税 の 減免措置 |
---|---|---|---|---|---|
えちぜん鉄道 | 全線 | あり | なし | なし | なし |
三岐鉄道 | 北勢線 | あり | なし | 土地のみ | なし |
和歌山電鐵 | 全線 | あり | なし | 土地のみ | なし |
凡例
- 鉄道事業者名の下地緑色は第三セクター、黄色は中小民鉄
- 各欄の下地青色は都道府県主体、赤色は沿線市町村主体、紫色は都道府県+沿線市町村主体
- 投資に国庫補助が入る場合、国も公的主体に含まれる
- 上表中のランニングコストとは、車両における車両保存費、インフラ部分の線路保存費・電路保存費、土地の場合の固定資産税・都市計画税を指す。(欠損補助という意味ではない。)