空港
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空港(くうこう 翻訳借用 Airport)とは、航空運送の用に供する公共用飛行場である。おもに旅客機・貨物機等の民間航空機の離着陸に用いる。その名の通り、海運における港のような機能を持つ。
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[編集] 空港に要求される機能
空港には、下記のような機能が要求される。
- 航空機を安全・確実・迅速に離着陸させる能力
- 旅客や荷物の積み降ろしを安全確実に行う能力、旅客の扱いについては快適性も要求される。
- 航空機の整備・補給能力。
- 旅客・荷物を市街中心部へ(または市街中心部から)遅滞無く送る能力。
- 国際空港では、出入国管理・通関・検疫(CIQ)に関する業務
[編集] 空港に必要な設備
上記の機能を満たすために、空港には様々な設備が設置されている。
[編集] 離着陸に必要な設備
離着陸に必要な設備として、着陸誘導設備、滑走路、着陸帯、誘導路、管制塔などがある。また目に見える設備ではないが、離陸着陸時に航空機が安全に飛行できる空路・空域も不可欠である。
- 着陸誘導装置:着陸する航空機が正しい方向・降下角で接近できるように誘導する装置。ほとんどの空港は電波誘導式の計器着陸装置(ILS)を装備している。ILSは着陸する航空機を滑走路中心線上に誘導するローカライザーと、着陸点までの降下斜面を示すグライドパスの2種類で構成されている。この誘導によって着陸機は正しく滑走路の中心線上の着陸ポイントまで導かれる。
- 滑走路:使用する航空機に必要な長さ・幅・強度を有し、必要な照明類を装備した平坦な滑走路は空港の最重要設備である。なお離着陸時の鳥との衝突(バードストライク)は重大な事故に繋がるため、滑走路周辺には鳥追いまたは鳥威しの設備を設置することが多い。
世界の大規模空港は着陸用、離陸用、横風用の3本の滑走路を持つものが多い。また、その滑走路長はボーイング747やエアバスA380クラスの超大型旅客機を離着陸させる際に余裕を持たせるため、3,000~4,000メートル確保するのが標準的である。ただし、海上空港の場合は滑走路付近に山や高層建築物など航空機の離着陸の妨げとなる障害物が存在せず、滑走路のほぼ端から端までを使い切ることができることから、4,000メートルまでの長さは必要ないとも言われている。
2006年現在、日本国内において3本の滑走路を擁する空港は東京国際空港のみ、4,000メートルの滑走路は成田国際空港に1本あるのみとなっている。関西国際空港では、現在の3,500メートルの滑走路に加え4,000メートルの平行滑走路を建設中である。中部国際空港については、現在は3,500メートル滑走路1本のみの運用となっているが、将来全体計画では4,000メートル滑走路を2本とする計画となっている。 - 誘導路:旅客や荷物を積み降ろしするターミナルビルと滑走路を繋ぐ航空機用の通路。
- 管制塔:離着陸する航空機を、順序良く安全に誘導し指示を出す設備・管制官が配置された建物。空港の最も見晴らしの良い場所の高所に、ビルの最上階の形で設置されている。また管制塔の近くには、空港周辺の気象条件を調査する気象台が設置されていることが多い。
- 航空灯火:航空機の航行を援助するための施設。航空保安施設法によって定義され、航空灯台、飛行場灯火、航空障害灯に区分されている。
[編集] 旅客や荷物の積み降ろし設備
空港のターミナルビルでは、旅客の搭乗券の発行、手荷物の受け渡し、搭乗前の航空保安検査、搭乗までの待合室などの業務を行っている。ターミナルビルと航空機の間は、専用の橋状構造物(ボーディング・ブリッジ)か、構内バスを利用する。地方の小空港では航空機との間を歩くことも多く乗降はタラップで行う。大型旅客機や貨物機の場合、荷物は殆ど専用コンテナに収められ、専用の車両によって迅速に積み降ろしが行われる。
付属する施設としては、国際空港にはCIQ(税関、出入国管理、検疫)に関する設備が必要。また一般の空港では出発便待ち客や乗り継ぎ客、見送り客が快適に過ごせるような待合室・ロビー・VIP用空港ラウンジがあり、レストラン・売店(国際空港ではDFSなどの免税店や外貨両替窓口なども)等が併設されている。
[編集] 整備・補給能力
大きな空港には航空機整備のための設備と人員が配置されており、定期点検や日常点検が行われている。また燃料や旅客のための水・食料を補給し、トイレを含む客室内を整理・清掃する設備・人員が配置される。
[編集] 市街中心部との連絡
空港は、航空機の発着のための広い敷地と、更に広大な空域を必要とし、騒音問題もあるため、大都市から少し離れたところや海上に設置されることが多い。そこで空港と市街中心部を結ぶ道路・鉄道(地下鉄を含む)・モノレール・橋梁・航路が設定されている(→空港連絡鉄道 も参照のこと)。
日本では空港用地を確保するのが難しいことと騒音問題のために、大型の空港は関西国際空港や中部国際空港のように海を埋め立てて作られることが多くなっている。しかし、このような海上空港は建設費が高くつき、生態系の破壊につながり、人口密集地から離れ、地上交通のアクセスが悪くなるという欠点も併せ持っている。
[編集] 経営主体と空港の種類
設置者と運営者はそれぞれの空港により異なる。 国営、空港公団、地方公共団体、第三セクター、民営などである。
日本の場合、経営主体・運営主体により第一種空港・第二種空港・第三種空港・その他の空港に分かれている。(詳しくは日本の空港参照)
[編集] 空港で働く人々
空港には上は空港長から清掃員まで、さまざまな人々が働いている。
- CIQ(税関、出入国管理、検疫)に関わる職員
- ※以上は国際空港の場合。国際線の本数の少ない地方の空港では、最寄の入国管理局や税関などから出張して対応することになる。
- 航空管制官又は管制情報官及び管制技術官(国土交通省航空局職員)
- 空港内警備本部警備官(警察庁、あるいは都道府県警察本部職員)
- 空港整備員
- 空港事務所職員(国土交通省航空局職員)
- 航空会社の社員(グランドスタッフやその他運行関係者)
- 整備会社の社員
- 空港ビルの従業員
- 空港内の秩序を守る警備員
他
[編集] その他
[編集] 空港一覧
[編集] 空港を扱った作品
- 映画
- TV
- 歌