不飽和結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
不飽和結合(ふほうわけつごう、unsaturated bonds)とは、隣接する原子間で2価以上で結合している化学結合であり、1つのσ結合と1つないしは2つのπ結合から形成されている。不飽和結合を持つ化合物を不飽和(化合物)と呼ぶ、ただし、錯体においては18電子則を満たさないものを不飽和(化合物)であると言う。
通常の有機化合物においては、二重結合あるいは三重結合を有することであり、炭素原子間に不飽和結合を持つものとしては、アルケン、アルキン、芳香族化合物などがある。また、不飽和結合は炭素原子間である必要はなく、ケトン、アルデヒド、イミンも不飽和化合物である。
目次 |
[編集] 種類
不飽和化合物ないしは不飽和結合を含む化合物群を次に示す。
- 鎖状の不飽和化合物
[編集] 性質
ある化合物が不飽和結合を持つとき、その不飽和結合が芳香性を持たない場合は、何らかの付加反応を起こしうる。
[編集] 不飽和化合物
[編集] クムレン
クムレン(cumulene)とは二つ以上の連続した二重結合からなる炭素骨格の総称で、一般に>C=(C)n=C<の構造式で表される。最も単純なクムレンがアレンである。
[編集] アレン
アレン(あれん、allene)は最も単純なクムレンでCH2=C=CH2の構造式を持つ。
両端の炭素原子はsp2混成軌道、中心の炭素原子はsp混成軌道をとっていると考えられる。
この軌道の相関により両端のメチレン基は、互いに直交する平面内に存在する。そのため同一のsp2炭素上の置換基が異なることでキラリティーをもつ。このように不斉炭素原子がないにもかかわらず、軸上のねじれによって誘起されたキラリティーを軸不斉と呼び、もちろん一対の光学異性体に分割できる。これはアレンが合成される数十年前にリ-ビッヒが予言していた。詳しくはキラリティーの項を参照
[編集] アヌレン
アヌレン(Annulene)は大環状共役不飽和化合物の総称で、環を構成する炭素数(通常nは3以上)を"[]"を使用して接頭辞で命名する(IUPAC命名法)。アンヌレンは学術用語としては正しくない(学術用語集・化学編)
"[4n+2]アヌレン"は芳香族性を示すのに対して、"[4n]アヌレン"は反芳香族性を示す。(ヒュッケル則)
[編集] その他
- 2-プロベニル構造を特徴とする化合物。