中野主一
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中野主一(なかの しゅいち、Syuichi Nakano、1947年 -)は、日本のアマチュア天文家(一時期、アメリカで活動していた天文学者)。彗星・小惑星の軌道計算、特に、過去に観測された天体との同定で、第一人者として知られる。天文計算を家庭向けPCで行うことの草分け的存在であり、1970年代終期頃の家庭向けPC(当時は「マイコン」と呼んだ)の最初期のものから、PCの技術進歩に従いその計算プログラムの改良も進めた。兵庫県洲本市在住。東亜天文学会 (OAA) 計算課長・小惑星課長・速報部長。(2006年現在)
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[編集] 略歴
1986年から4年間、アメリカ・マサチューセッツ州・ケンブリッジにあるスミソニアン天体物理観測所 (SAO) 内の、国際天文学連合 (IAU) 小惑星センター (MPC) に、研究員として勤務。MPCの軌道計算プログラムを書いた。
MPC在職中、日本のアマチュア天文家が、電子メールを使って、彼を通してSAOにあるIAU 天文電報中央局 (CBAT) に彗星・小惑星・超新星などの観測記録を報告できるシステムを構築した。アマチュア天文家は、同じ回線を使って、CBATやMPCの発表する最新情報を見ることもできた。このことは、日本のアマチュア天文家の活動が他国に比べ活発になる一因となった。2003年3月まで、日本のアマチュア天文家は彼を通して観測記録を報告することを、MPCは推奨していた。(現在は、直接CBATに送ることもある)
自身が発見した彗星・小惑星はないが、彼の同定により確定符号がついた小惑星のうち、発見者が死亡するなどして命名提案権が失効しているもののいくつかに、命名提案をしている。日本のアマチュア天文家の名前や、ゆかりの地名が多い。
東亜天文学会計算課より、彗星の観測記録・天体暦であるNakano Noteを発行している。
[編集] 受賞
- 1994年、シューメーカー・レヴィ第9彗星の木星衝突を予測したことで、日本の文部大臣から感謝状を贈られた。
- 2001年、太平洋天文学会(ASP、アメリカ)のAmateur Achievement Award(アマチュアアチーブメント賞、アマチュア功労賞)を受賞。
[編集] 彼にちなんだ小惑星
- 小惑星(3380) 淡路は、彼の住む淡路島にちなみ、彼自身と大西英夫が名づけた。
- 小惑星(3431) 中野は、彼にちなみ、発見者の関勉が名づけた。(なお、中野は同時期に小惑星(3426) 関を名づけている)
- 小惑星(3983) 左紀子は、妹の中野左紀子にちなみ、発見者のアントニン・ムルコスが名づけた。
- 小惑星(4649) 洲本は、彼の住む洲本市にちなみ、彼自身が名づけた。
[編集] 命名提案した小惑星
(2249) 山本、(3133) 仙台、(3219) 小牧、(3220) 村山、(3227) 長谷川、(3379) 大石、(3380) 淡路(共同)、(3383) 小山、(3425) 古川、(3426) 関、(3473) 札幌、(3500) 小林、(3568) ASCII、(3569) 公文、(3722) 浦田、(3861) ローレンツ(共同)、(3991) 大友、(3939) 古畑、(3957) 杉江、(4002) 品川、(4649) 洲本、(4910) 川里、(4979) 大田原、(5072) 日置、(5532) 一戸、(6887) 蓮尾、(10449) 詫間
[編集] 著書
- 『マイコン宇宙講座―楽しい軌道計算プログラム』(1980年)
- 『マイコンが解く天体の謎―FMシリーズ版』(1982年)
- 『野外星図2000―2000年分点』(太田原明と共著、1982年)
- 『PCシリーズ版 マイコンが解く天体の謎―PC‐9801/8801/8001 mkII』(1983年)
- 『天体観測星表―2000』(太田原明と共著、1983年)
- 『ハレー彗星のすべて―パソコン・ソフト』(1985年)
- 『天体の軌道計算』(1992年)
- 『天体の軌道計算―パソコン天文講座』(2000年)
- 『天文データブック〈2002〉』(2002年)
[編集] 参考文献
- 渡辺和郎 『小惑星ハンター』 誠文堂新光社、1996年、45・116~121・139~140頁、ISBN 4-416-29610-X
- JANNET 「JANNET Asteroid Page」 JANET
[編集] 外部リンク
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