仙崎
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仙崎(せんざき)は山口県長門市の一地域で旧・大津郡仙崎町一帯を指す。仙崎の地域は日本海に面した青海島と本土の両側にまたがるが、本土側は青海島との間の砂嘴により成り立つ地域であり、極めて平坦な地形となっている。日本海側屈指の漁港として、また蒲鉾の産地としても知られ、戦後の引き揚げ港としても知られる存在である。
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[編集] 引き揚げ港
太平洋戦争終戦後の1945年(昭和20年)9月2日から、海外邦人がかつての領土(主として朝鮮半島)から本土へ引き揚げるにあたり、かつて関釜連絡船として就航していた興安丸が母港として釜山と仙崎・博多港を往復したことから、仙崎港は舞鶴・博多などと並ぶ引き揚げ港として知られることになる。1995年(平成7年)には、引き揚げ50周年を記念した行事も行われ、記念碑の建立や記念列車(仙崎駅~下関駅)の運転が行われた。
[編集] 仙崎漁港
仙崎漁港は山口県内では下関漁港に次ぐ県内第二位の水揚げ高を誇る大規模な漁港となっている。イカ・アジなどの近海物の魚介類やウニ・アワビなどを主に取り扱い、関西・九州方面に出荷される。特にケンサキイカについては近年『仙崎イカ』のブランド名が名付けられ、流通価値が高まりつつある。また、近海の白身魚(エソなど)を用いた蒲鉾は仙崎の名産となっている。
毎年7月23日には仙崎漁港にてながと仙崎花火大会が開催されている。また、1994年(平成6年)11月20日には第14回全国豊かな海づくり大会も開催された。
[編集] 金子みすゞ
大正期の童謡詩人金子みすゞ(1903-1930)は仙崎で生まれ、深川高等女学校(現在の山口県立大津高等学校)を卒業するまでの間を仙崎で過ごした。詩作の大半は奉公先の下関市で行われたものだが、その題材には仙崎の情景が多く描かれている。代表作の一つである「大漁」は仙崎漁港に大量に水揚げされた鰯にモチーフを得たものだとされているし、王子山、弁天島、祇園社(八坂神社)など仙崎の風景を読んだ詩も数多く残されている。また、みすゞの墓所も仙崎にある。
[編集] 交通
- 1930年に開業した仙崎駅があり、山陰本線の支線(通称・仙崎線)で長門市駅とつながっている。終戦直後は全国各地へ引き揚げ者を運ぶ列車が運行されたが、現在は仙崎駅~長門市駅間で列車が往復運転しているほか、仙崎から美祢線にも直通している。
- 本土と青海島を結ぶ県道青海島線青海大橋(全長260m)がかかる。1965年(昭和40年)10月完成。当初は歩道なし2車線の橋であったが、1987年(昭和62年)6月16日、クレーン船が青海大橋下を通過しようとした際に桁下高を確認しなかったクレーン船が橋桁に衝突する事故が発生。損傷した西側の桁を撤去し、並列に1車線分の橋桁を架ける手法で新たに歩道を設置し、1991年(平成3年)7月に復旧を行っている。
[編集] その他
- 青海島の大日比地区にはナツミカンの原樹がある。これは江戸時代に、当地に住む西本於長が、漂着した柑橘の種を自宅の庭に植えたものであり、以後各地に広まったものである。接ぎ木されたものではあるが現存し、今も実をならせている。史跡及び天然記念物に指定されている。
[編集] 関連項目
- 和っこの金メダル - NHK朝の連続テレビ小説第43作(1989年10月~1990年3月放送)。ヒロインが仙崎出身の設定で、物語の前半では仙崎でのロケも行われた。
- 海猿 - 主人公の名前が仙崎大輔であるが、直接の関係はない。なお、仙崎には(原作で大輔が所属する設定となっている)第七管区海上保安本部に属する仙崎海上保安部が存在する。
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