伊豆箱根鉄道ED31形電気機関車
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ED31形は、伊豆箱根鉄道が所有する直流用電気機関車である。ED32およびED33の2両が在籍する。前歴は西武鉄道31形(32, 33)で、1948年に東芝で3両が製造された戦時標準設計型の凸型機関車のうちの2両である。
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[編集] 概要
[編集] 西武鉄道E31形(初代)
前述のように、東芝で1948年に製造された凸型機で、製造時は31形(31~33)と称した。この3両は、武蔵野鉄道と東芝との間で契約不履行を巡って裁判となり、結局西武鉄道が勝訴して入手したものである。この3両の他に、1955年に自社所沢車両工場で模倣製造された1両(32(2代))が存在した。
同系機に東武ED4010形, ED4020形や富山地方鉄道デキ14730形、名鉄デキ600形、国鉄ED37形などが存在する。
前述のように32,33は駿豆鉄道に譲渡され、31は1956年に自社製造機と番号を交換して32(3代)となった。その後、32(3代)は1957年4月に遠州鉄道に譲渡されED212に、自社製造の31(2代)は1963年7月に越後交通に譲渡されED311となった。
[編集] 伊豆箱根鉄道ED31形
伊豆箱根鉄道駿豆線の前身駿豆鉄道は1949年11月にそれまで所有していたED4012, ED4013を岳南鉄道に譲渡し、その代替機として西武からこれら2両の機関車を借り入れ、1952年3月に33号を、翌1953年7月に32号を正式に譲受し、1957年にそれぞれED32, ED33に改番した。
当時の駿豆鉄道は直流600V電化だったため、入線時に降圧改造が施されたが、1959年8月に1500V昇圧に備え再改造が実施された。ED32は1972年11月にATSを、1978年11月には列車無線が装備され、また1983年にはサロンエクスプレス東京乗り入れに備えED32, ED33揃って重連総括制御装置が装備された。 また、本来の台車は板台枠のものであったが、西武在籍時にDT-12形台車に交換され、伊豆箱根鉄道に 譲渡された後現在のTR-22に交換された。主電動機もかつてはMT15(100kw)を使用していたが、現在ではMT30(128kw)に交換され、この他歯車比も西武時代は21:68だったが、譲渡後に24:65に、そして現在は23:66に変更されている。
上述の通り、かつてはATS車上子がED32にしか設置されていなかったため、ED33はED32と共に使用しないと本線を走行できず大場工場構内の入れ換えに使用を限定していたが、比較的近年になってED33もATSを設置したため、現在では大雄山線の電車の大場工場検査入場時に使用される機関車をどちらか一方に限定しているわけではない。
[編集] 主要諸元
- 全長:11,050mm
- 全幅:2,940mm
- 全高:4,250mm
- 運転整備重量:40.0t
- 電気方式:直流1500V(架空電車線方式)
- 軸配置:B-B
- 台車形式:TR22
- 主電動機:MT30形(128kW)×4基
- 歯車比:23:66=1:2.869
- 1時間定格出力:512kW
- 1時間定格引張力:
- 1時間定格速度:
- 動力伝達方式:歯車1段減速、吊り掛け式
- 制御方式:重連総括制御、抵抗制御、2段組み合わせ制御
- 制御装置:電磁空気単位スイッチ式
- ブレーキ方式:空気ブレーキ、手ブレーキ
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