作曲
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音楽行為の中で音楽の次第を考案する段階を作曲(さっきょく)という。西洋音楽にあっては具体的には作曲とは楽譜を作成する作業である。
音楽行為は次の3段階を基本に考えられている。
- 作曲 − 演奏 − 鑑賞
これらの内、作曲と演奏とは能動的な活動であり、まとめて「表現」と呼ぶことができる。鑑賞は受動的な活動である。
作曲を行いながら演奏することを即興演奏という。 また、作曲行為に付随して、作曲した曲を実際の演奏のために変容させていく行為が作曲から切り離された作業であるならばこれを編曲という。
作曲をした人を作曲者、作曲を業とする人を作曲家と呼ぶ。また、作曲のための技法を研究する学問を作曲学と呼ぶことがあり、このような名称の専攻をもつ音楽大学もある。
[編集] 西洋音楽における作曲
西洋音楽にあって作曲とは、旋律を作り、それを楽式に則って発展させ、和声を付けたり対位法的に対旋律を付けて肉付けをし、楽器法や編曲法、管弦楽法に基づいて楽器に当てはめ、最終的に楽譜に書き下ろす作業である。歌の場合には、旋律を作るときに歌詞に基づいて旋律を作ることが多いが、旋律に基づいて歌詞を作ることもある。これら作曲に必要な技術をまとめて作曲法またはエクリチュールと呼ぶ。
現代においては音そのものを、いろいろな自由な考え方にしたがって組み合わせる行為である。詳しくは現代音楽の項を参照。
[編集] 作曲様式
作曲様式には、大きく2つの姿勢がある。ひとつは、音楽の音の美しさ、和声美、構成美といった、音楽そのものに重点を置く姿勢であり、もうひとつは思想信条、感情、物語といった、音楽の中に織り込むメッセージに重点を置く姿勢である。古典派は前者、ロマン派は後者である。これがベートーヴェンが古典派というよりもロマン派の作曲家であるといわれるゆえんである。また、新古典派の名は、ロマン派のあとで再び構成美を追究した音楽が書かれたことによる。