信託銀行
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信託銀行(しんたくぎんこう)とは、一般の銀行の業務に加えて、信託業務を取り扱う金融機関をいう。
法律的には、銀行法に基づく免許を受けた銀行で、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」によって信託業務の兼営の認可を受けた金融機関を指す。 が、一般的には(1)戦前の信託会社が信託銀行に転換し、メガバンクグループ若しくはメガバンクと親密な関係で (2)1985年以降に新規参入したものでない、三菱UFJ信託銀行・みずほ信託銀行・中央三井信託銀行・住友信託銀行 の各行を指すことが多い。
なお、旧大和銀行(現・りそな銀行)は信託業務も兼営していたが、2001年に信託部門の一部が大和銀行から大和銀信託銀行(現・りそな信託銀行)に分割された(この他、沖縄の本土復帰に伴う特例により金銭信託を取り扱っている琉球銀行・沖縄銀行がある)。
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[編集] 信託業務
信託業務とは、他人財産を自己の名義として預かり、自己の財産と分別管理する機能を有しており、様々な業務で活用されて金融インフラとしても不可欠の要素となっている。機能としては銀行預金とほぼ同じ金銭信託、貸付信託等の定期性貯金から、有価証券管理の機能を提供する証券投資信託や特定金銭信託、年金資産の運用をする年金信託、資産流動化業務としては売掛債権や手形債権等の金銭債権の流動化業務を受託する他、不動産投資信託の信託受託者としても信託機能を提供している。
- 金銭信託 - 顧客(委託者)から預かった資金を手形割引や有価証券(株式や債券など)で運用し、収益を配当。商品名「ヒット」。
- 貸付信託 - 委託者から集めた資金を主な産業に長期的に貸付け、その運用収益を配当。商品名「ビッグ」。
- 年金信託 - 企業や個人からの年金基金の運用。マスタートラストもこの一種である。
- 土地信託 - 地主の依頼を元に業務を代行してビルや住宅の建設・管理・運用を行い、家賃収入から諸経費を引いたものを地主に配当。
- 証券投資信託 - 一般に「投資信託」(ファンド)と呼ばれているもの。投信委託会社からの指示を受けて証券投資の運用を代行。
その他、信託業務とは直接関係ないが、証券代行業務と不動産仲介業務および遺言信託も兼営法における併営業務として認められている。証券代行業務とは主に株式公開企業の株主名簿管理業務(名義書換、配当金の支払、議決権行使の集計など)を代行すること。なお、上場会社のほとんどは信託銀行等の株主名簿管理人に委託しているが、西武鉄道は委託せず自社管理していた。
- 不動産仲介業務は通常の宅地建物取引業者と異なり、国土交通大臣への届出によって同大臣の免許を受けたものとみなされる。免許番号は「国土交通大臣届出第何号」となる。免許の更新がないので、更新回数を示すカッコ内数字はない。
2004年12月31日施行の信託業法改正により、管理型信託については原則登録制に変更となるなど、他業種からの参入が容易となり、今後競争の激化が予想される。信託業務は運用型信託と管理型信託に分けられ、運用型信託は最低資本金1億円・免許制、管理型信託は最低資本金5000万円・登録制となった。
[編集] 信託銀行略年表
- 1918年(大正7年)6月 - 株式会社大阪野村銀行設立。
- 1924年(大正13年)3月 - 三井信託株式会社設立。
- 1925年(大正14年)5月9日 - 共済信託株式会社設立。
- 1925年(大正14年)7月28日 - 住友信託株式会社設立。
- 1926年(大正15年)2月12日 - 共済信託株式会社が安田信託株式会社と改称。
- 1927年(昭和2年)1月 - 株式会社大阪野村銀行が株式会社野村銀行と改称。
- 1927年(昭和2年)3月10日 - 三菱信託株式会社設立。
- 1927年(昭和2年)6月2日 - 川崎信託株式会社設立。
- 1944年(昭和19年)8月 - 株式会社野村銀行が野村信託銀行株式会社(旧)を合併。
- 1947年(昭和22年)8月 - 川崎信託株式会社が日本信託株式会社と改称。
- 1948年(昭和23年)7月 - 日本信託株式会社が日本信託銀行株式会社、三井信託株式会社が東京信託銀行株式会社(旧、のちに設立の行名と同じものだが、全く関係はない。以下同じ)とそれぞれ改称。GHQによる財閥解体の影響から改称を余儀なくされた。
- 1948年(昭和23年)8月 - 三菱信託株式会社が朝日信託銀行株式会社、住友信託株式会社が富士信託銀行株式会社(旧)、安田信託株式会社が中央信託銀行株式会社(旧)とそれぞれ改称。
- 1948年(昭和23年)10月 - 株式会社野村銀行が株式会社大和銀行と改称。
- 1952年(昭和27年)6月 - 朝日信託銀行株式会社が三菱信託銀行株式会社、東京信託銀行株式会社(旧)が三井信託銀行株式会社、富士信託銀行株式会社が住友信託銀行株式会社、中央信託銀行株式会社(旧)が安田信託銀行株式会社とそれぞれ旧財閥名に復帰。
- 1959年(昭和34年)11月2日 - 当時の長短金融分離政策から三和銀行と神戸銀行の信託部門を切り離し、野村證券の証券代行業務および資産管理業務を引き継いで東洋信託銀行株式会社設立。
- 1962年(昭和37年)5月 - 長短分離政策から、東海銀行と第一信託銀行(旧国際信託、のちの朝日銀行、現みずほ銀行)の信託部門を切り離し、日本証券代行から株式名義書換代理人業務を引き継いで中央信託銀行株式会社(新)設立。
- 1985年(昭和60年)10月 - モルガン信託銀行株式会社、日本バンカーズトラスト信託銀行株式会社(のちのドイチェ信託銀行株式会社)など、外国銀行系信託銀行設立。
- 1985年(昭和60年)11月 - チェース・マンハッタン信託銀行設立。
- 1993年(平成5年)8月 - 金融制度改革法による金融機関の信託子会社の第1弾として、東京信託銀行株式会社(新、東京銀行系)、野村信託銀行株式会社(新、野村證券系)、山一信託銀行株式会社(山一證券系)、大和インターナショナル信託銀行株式会社(大和証券系)設立。
- 1995年(平成7年)8月 - 東海信託銀行株式会社設立。
- 1995年(平成7年)10月 - 興銀信託銀行株式会社設立。
- 1995年(平成7年)11月 - 第一勧業信託銀行株式会社設立。
- 1995年(平成7年)11月 - 三和信託銀行株式会社設立。
- 1995年(平成7年)12月28日 - さくら信託銀行株式会社設立。
- 1996年(平成8年)3月 - あさひ信託銀行株式会社設立(かつての朝日信託銀行とは無関係)。
- 1996年(平成8年)6月 - 富士信託銀行株式会社(新)設立。
- 1996年(平成8年)10月 - チェース・マンハッタン信託銀行がドイチェ・モルガン・グレンフェル信託銀行株式会社と改称。
- 1998年(平成10年)8月 - 山一信託銀行株式会社がオリックス信託銀行株式会社と改称。
- 1998年(平成10年)11月 - 中央信託銀行、経営破綻した北海道拓殖銀行の本州の営業を譲受。
- 1999年(平成11年)4月1日 - 第一勧業信託銀行株式会社と富士信託銀行株式会社(新)が合併し、第一勧業富士信託銀行株式会社となる。
- 1999年(平成11年)4月5日 - BNP信託銀行株式会社設立。
- 1999年(平成11年)8月 - ドイチェ・モルガン・グレンフェル信託銀行株式会社がディーエムジー信託銀行株式会社と改称。
- 1999年(平成11年)10月 - 三和信託銀行株式会社が、東洋信託銀行株式会社を存続会社として合併。
- 2000年(平成12年)4月1日 - 中央信託銀行株式会社(新)と三井信託銀行株式会社が合併し、中央三井信託銀行株式会社となる。
- 2000年(平成12年)5月9日 - ディーエムジー信託銀行株式会社が日本マスタートラスト信託銀行株式会社と改称。
- 2000年(平成12年)6月20日 - 株式会社大和銀行・住友信託銀行株式会社の2社により日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社設立。
- 2000年(平成12年)8月 - BNP信託銀行株式会社がBNPパリバ信託銀行株式会社と改称。
- 2000年(平成12年)8月 - 住友信託銀行が大和インターナショナル信託銀行株式会社(大和証券子会社)、すみぎん信託銀行株式会社を合併
- 2000年(平成12年)10月1日 - 第一勧業富士信託銀行株式会社を存続銀行として興銀信託銀行株式会社を合併し、みずほ信託銀行株式会社(旧)となる。
- 2001年(平成13年)1月22日 - 資産管理サービス信託銀行株式会社がみずほ信託銀行株式会社他の出資により設立。
- 2001年(平成13年)4月2日 - 三菱信託銀行株式会社、日本信託銀行株式会社及び株式会社東京三菱銀行の三行が株式移転により株式会社三菱東京フィナンシャル・グループを設立し、三行はその完全子会社となる。
- 2001年(平成13年)4月2日 - 東洋信託銀行株式会社が株式会社三和銀行及び株式会社東海銀行と株式移転により株式会社UFJホールディングスを設立し、三行はその完全子会社となる。
- 2001年(平成13年)6月29日 - 中央三井信託銀行株式会社がさくら信託銀行株式会社の全株式を株式会社三井住友銀行から譲り受ける。
- 2001年(平成13年)7月 - 東海信託銀行株式会社が、東洋信託銀行株式会社を存続会社として合併。
- 2001年(平成13年)8月31日 - 日興信託銀行が日興シティ信託銀行株式会社と改称
- 2001年(平成13年)10月1日 - 三菱信託銀行株式会社が日本信託銀行株式会社及び東京信託銀行株式会社(新)を合併。
- 2001年(平成13年)12月10日 - 大和銀信託銀行株式会社が株式会社大和銀行の子会社として設立。
- 2001年(平成13年)12月12日 - 株式会社大和銀行が株式会社近畿大阪銀行及び株式会社奈良銀行と株式移転により株式会社大和銀ホールディングスを設立し、三行はその完全子会社となる。
- 2002年(平成14年)1月15日 - 東洋信託銀行株式会社がUFJ信託銀行株式会社と改称。
- 2002年(平成14年)2月1日 - 中央三井信託銀行株式会社が株式移転により三井トラスト・ホールディングス株式会社を設立し、その完全子会社となる。併せて、さくら信託銀行株式会社が三井アセット信託銀行株式会社と改称し、三井トラスト・ホールディングス株式会社の直接の子会社となる。
- 2002年(平成14年)2月25日 - 大和銀信託銀行株式会社が株式会社大和銀ホールディングスの直接の子会社となる。
- 2002年(平成14年)3月1日 - 株式会社大和銀ホールディングスが株式会社あさひ銀行を株式交換により完全子会社とする。
- 2002年(平成14年)4月1日 - みずほ信託銀行株式会社(旧)が株式会社第一勧業銀行、株式会社富士銀行及び株式会社日本興業銀行の会社分割により株式会社みずほホールディングスの直接の子会社となる。
- 2002年(平成14年)4月1日 - 安田信託銀行株式会社がみずほアセット信託銀行株式会社と改称。
- 2002年(平成14年)6月18日 - あさひ信託銀行が株式会社大和銀ホールディングスの完全子会社になる。
- 2002年(平成14年)10月1日 - 株式会社大和銀ホールディングスが株式会社りそなホールディングスと改称。
- 2002年(平成14年)10月1日 - あさひ信託銀行株式会社が、一部業務を大和銀信託銀行株式会社に譲渡した上で、株式会社大和銀行に合併される。
- 2002年(平成14年)10月15日 - 大和銀信託銀行株式会社がりそな信託銀行株式会社と改称。
- 2003年(平成15年)3月1日 - 株式会社大和銀行を存続銀行として株式会社あさひ銀行を合併し、株式会社りそな銀行と改称。
- 2003年(平成15年)3月12日 - 資産管理サービス信託銀行株式会社がみずほ信託銀行株式会社の子会社から株式会社みずほフィナンシャルグループの直接の子会社となる。
- 2003年(平成15年)3月12日 - みずほアセット信託銀行株式会社を存続銀行としてみずほ信託銀行株式会社(旧)と合併し、みずほ信託銀行株式会社(新)と改称。併せて株式会社みずほフィナンシャルグループの直接の子会社となる。
- 2004年(平成16年)4月1日 - BNPパリバ信託銀行株式会社が株式会社新銀行東京と改称。
- 2005年(平成17年)10月1日 - 三菱信託銀行株式会社とUFJ信託銀行株式会社が合併し、三菱UFJ信託銀行株式会社となる。
- 2005年(平成17年)10月1日 - 株式会社三菱東京フィナンシャル・グループと、株式会社UFJホールディングスが合併し、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループとなり、三菱UFJ信託銀行はその傘下に入る。
- 2005年(平成17年)12月 - ドイチェ信託銀行が、資産運用業務をドイチェ・アセット・マネジメント株式会社へ、法人信託サービス業務を新設のDB信託株式会社に移管後、営業を終了。