新銀行東京
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新銀行東京のデータ | |
統一金融機関コード | 0322 |
SWIFTコード | SGTKJPJT |
代表執行役 | 仁司泰正(にし やすまさ) |
店舗数 | 9店 (2006年9月22日現在) ※ただし八王子融資推進室を除く |
開業日 | 2005年4月1日 |
本店 | |
所在地 | 〒100-0004 |
東京都千代田区大手町1丁目1番3号 大手センタービル13F |
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電話番号 | 0120-289-226 (コールセンター) |
外部リンク | 新銀行東京 |
新銀行東京(しんぎんこうとうきょう、ShinGinko Tokyo, Limited)は、東京都に本店を置く銀行。
2003年、都知事石原慎太郎主導で東京都が策定した東京発金融改革を旗印に『資金調達に悩む中小企業を救済すること』を理念として誕生した銀行。 中小企業向けの融資、一般顧客のICカードの活用を中心とした利便性の高い金融サービスを東京都内で提供できる銀行として、BNPパリバ信託銀行(1999年設立)を2004年4月1日買収し、2005年4月1日に開業。 都知事石原慎太郎の選挙公約(中小企業対策)に基づき、同氏のリーダーシップの下で設立されたことから、設立当時・過去には一部のメディアが石原銀行と渾名していた(ただし、現在この造語はほとんど使われていない)。
創立時の経緯から信託銀行に区分されているが、金融庁の分類では「新たな形態の銀行等」として、ネット専業銀行など、新規参入銀行とともに位置付けられている。
目次 |
[編集] 概説
千代田区大手町の本店と2005年5月13日に新宿出張所と蒲田出張所、2005年7月1日に立川出張所と上野出張所、錦糸町出張所をオープンさせ、開業初年度の出店体制を整えた。2006年度以降は順次計9店舗を都内に設置する(2006年9月までに開業したのは、池袋出張所、渋谷出張所が5月、新橋出張所が9月に開店している。また、融資専門の拠点として立川出張所八王子融資推進室が8月に開設している)である。
成立の経緯から株式を東京都が84%保有、民間企業数社[1]も出資している。
商号の「新銀行東京」は、日本の銀行で唯一「銀行」という単語が商号の末尾ではなく途中に入る形式となっている。(首都大学東京もそうであるが、何故か推進者である石原慎太郎はこのような形式の名前が好きらしい。)銀行法第6条では「銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない」と定められているが、その位置(例えば末尾に限る等)までは定められてはいない。なお、振込の際に、ATMの画面や振込カードにおける金融機関の表示に「新銀行東京銀行」という表示になるケースが一部の銀行で確認されている。
自行以外の使用可能ATMは以下である。郵便貯金、みずほ銀行(イーネット・ローソンATMでみずほ銀行が管理店となっているものを含む)、セブン銀行、JR東日本(ビューアルッテ)、信用金庫(NTTデータスイッチングサービスに未接続の一部を除く)。
郵便貯金、セブン銀行については入金にも対応し、入出金ともに手数料が無料である(一部時間帯の上乗せを除く)。なお、郵便貯金については2007年1月31日に恒久無料化を発表。
また、2006年9月11日から、ビューアルッテ利用時の引き出し手数料が自社ATM利用時と同様の額(すなわち19:00までの日中は無料)で利用が可能になった(2007年1月31日に恒久無料化を発表)。
2006年4月3日より、セブン銀行でのICキャッシュカード利用に対応しており、クレジットカード一体型のカードについては、自社ATM・クレジットカードの方向で挿入し、画面上でクレジットかキャッシュカードかを選択する形になっている(みずほ銀行管理店のイーネットも非公式ながら対応している)。
2007年3月より、PASMOのオートチャージに、JCB新銀行東京カード、NICOS・VISA新銀行東京カードのクレジット部分から補充できるように対応することが決まっている(なお、2007年2月3日受付開始(メールオーダーは2月8日以降発送分の申込書より対応)で、新規口座開設者はPASMOカードとオートチャージの同時申込が可能。既存利用者は、2月13日以降に都営地下鉄駅か銀行店頭で申込書を入手して必要事項を記入して送付することで利用可能。いずれの申込方法でも、PASMOカードのデポジットが口座から引き落とされる)。
[編集] 全銀協との関係
設立経緯から、全国銀行協会(全銀協)の役員から非難・反発を浴びたため、同協会には非加盟である。ATMも全国キャッシュサービスに未接続となっている。特に、三菱東京UFJ銀行の三木繁光会長や、全銀協会長を2度務めた三井住友銀行前頭取の西川善文(現・日本郵政社長)といった「郵政民営化は銀行に対する民業圧迫」「自治体による金融機関の設置は時代錯誤」とする論者の反発が強かったとされる。
また、全銀協が発行する「キャッシュカードや通帳等の盗難・紛失時のご連絡先 銀行の緊急時連絡先一覧(平成17年度版・平成18年度版)」にも、同行に関する記述はない。
[編集] 最近の動向
2006年6月1日、開業初年度だった2006年3月期の単独決算を発表した。経常損益は209億円の赤字であり、最終赤字も同じく209億円だった。
2006年11月30日には、同年9月中間期の最終損益が154億円の赤字(前年同期は95億円の赤字)になったと発表した。中小企業向け融資が相次いで回収不能になったため、不良債権処理に伴う損失が予想を上回り、計画より赤字幅が54億円拡大した。この結果、累積赤字は456億円に膨らみ、投資された1000億円もの都税の半分近くがすでに消滅している。このまま赤字が改善されないと、あと数年で資本を食いつぶしてしまう計算になり、経営状態の悪化が懸念されている。
新銀行東京は、2007年3月末までに536億円の累積赤字に達すると自らを予想しているが、2006年度中間期が計画を上回る大幅な赤字だったことから、不確実性を指摘されている。
2007年1月25日にはスタンダード&プアーズ(S&P)は新銀行東京の財務基盤の健全性維持に対する不確実性が高まっているとし、長期カウンターパーティ格付けのアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」へ変更している。
本来は中小企業を救済するはずだったが、中小企業向け融資は1225億円で貸出金全体の約52%にとどまっているなど、資金繰りに苦しむ中小企業の支援という設立目的も揺らいでおり、主に石原慎太郎都知事の三男石原宏高の地盤の品川区と大田区の企業に融資していたことから、身内の選挙対策ではないかとも批判されている。
[編集] ATMベンダ
店舗外については、コンビニATMでも利用されるタイプの沖電気工業のものが中心で、通帳の利用は出来ない。ただし、明細は同社のBankIT同様、小さい明細となる。
[編集] 沿革
- 2004年4月1日 - BNPパリバ信託銀行から社名変更。金融庁より銀行法第26条第1項等に基づき2005年3月31日までの間、業態変更準備のため、既存顧客への業務以外の部分的な業務停止命令を受ける(詳細は下記参照)。
- 2005年4月1日 本店開業
- 2005年5月13日 新宿出張所、蒲田出張所開店
- 2005年7月1日 上野出張所、立川出張所、錦糸町出張所開店
- 2006年1月23日 信用金庫とのATM相互利用提携開始(ただし、NTTデータスイッチングサービスへ接続している金庫に限る)
- 2006年3月26日 みずほ銀行とのATM相互利用提携開始
- 2006年5月19日 池袋出張所開店
- 2006年5月26日 渋谷出張所開店
- 2006年8月25日 八王子融資推進室開店(立川出張所のさらに出張所扱い)
- 2006年9月22日 新橋出張所開店
[編集] 補足
上記の業務停止命令は、銀行の開設「準備」会社がすでに銀行免許交付を受けた銀行であったことから監督上行われたものであり、通常の(懲罰的な)業務停止命令とは性質が異なる。また、この準備会社は信託銀行であるので、再開業後の銀行も同様となっている。
[編集] 店舗への連絡
すべての連絡業務はコールセンターで行っており、本店および各出張所の電話番号は非公開である。