信長公記
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信長公記(しんちょうこうき または のぶながこうき)は日本の安土桃山時代の戦国大名である織田信長の一代記。著者は信長の家臣であった太田牛一。江戸時代初期に成立。豊臣秀吉の命により、牛一の日記を元に作られたようで、一部を除き非常に正確な内容であるため、信長の足跡を辿るには無くてはならない史料とされている。太田牛一が織田信長に仕えた1568年(永禄11年)から信長が死去する1582年(天正10年)について綴られている。
写本を入れると20種類以上も残されており、表題も『永禄十一年記』・『安土日記』・『信長記』・『信長公記』・『安土記』など様々。首巻は巻一から巻十五までより後に書かれたと思われる。自筆のものは以下の通り。
- 『永禄十一年記』(一巻):永禄十一年部分のみ。
- 無題(一巻):天正四年四・五月、天正八年八月、天正十年六月。
- 『信長記』(十五巻):池田家文庫本。首巻なし。重要文化財。
- 『信長公記』(十五巻):建勲神社本。首巻なし。重要文化財。
江戸時代に『信長公記』は大名や公家の一部にしか広まらなかった一方で、小瀬甫庵の書いた『信長記』が民衆に広まった。「歴史家」であり正確な記述に努めた太田牛一と違い、小瀬甫庵は話を面白くするためにふんだんに虚構を取り入れた「歴史作家」であった(小瀬甫庵は太田牛一を「愚にして直」と批判している)。このため牛一のものを『信長公記』、甫庵のものを『信長記』、あるいは『甫庵信長記』と区分している。
[編集] 参考図書
- 太田 牛一『信長公記』 桑田 忠親校注 新人物往来社; 新訂版 1997年 ASIN 4404024932 ISBN 4404024932
- 太田 牛一『信長公記』 中川 太古訳 新人物往来社 (2006.5) 上巻 ISBN 4404032994 下巻 ISBN 4404033001