冴羽りょう
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冴羽 獠(さえば りょう)は、北条司の漫画『シティーハンター』および『エンジェルハート』に登場する架空の人物。
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[編集] 概要
「シティーハンター」と呼ばれるプロのスイーパー。裏の世界ではNo.1の凄腕。飄々と、それでいて鋭く、法では裁けぬ悪を撃つ。その戦闘能力は、本気になれば「東京さえ壊滅できる」ほど。だが、そのハードな稼業とは裏腹に、「恐怖のもっこり男」の異名を持つ比類なきスケベである。生年月日は不詳だが、相棒の香に3月26日の仮の誕生日をつくってもらう。
アニメの担当声優は神谷明(なお、神谷にオファーが行くまでは『キャッツ・アイ』内海俊夫役の安原義人が予定されていたという)。
[編集] 個人データ
- 原作
- 身長186cm・体重72kg
- アニメ
- 身長191.4cm・体重77.3kg(劇中のCIAデータでは身長6ft4in.、体重176pnd.)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 設定
[編集] シティーハンター
日本人と思われるが、出身地はおろか正式な年齢や名前すら不明である。劇中で槇村香(まきむらかおり)が、ある記念日にちなんで決めた誕生日は3月26日。冴羽獠という名前は、リョウとしか覚えていなかった彼に育ての父、海原が付けたものである(ただし、『エンジェルハート』では数ある偽名から香が選んだ事になっている)。身長186cm、体重72kg(推定)。愛銃はコルト・パイソン357。普段はジーンズに直接差し込んで携帯している(アニメではショルダーホルスターを使用)。愛車はミニクーパー、フィアット・ウーノ・ターボ(クイック・アベルトタイプ)。愛車は、毎回事故や海坊主によって壊される(車が海坊主の体のサイズにあわないため)が、すぐに復旧するその資金が一体どこから出ているのかは謎である。
新宿でシティーハンターと呼ばれる超一流のプロのスイーパー(掃除屋・始末人)で、闇の世界でNo.1と呼ばれる程の腕を持つ。日々暗殺からボディーガードまで、警察などに頼めない悩みのある依頼人からの仕事をこなす。射撃の腕は恐ろしいほどで針の穴であっても銃弾を通すことができるほどである。また、銃弾の威力を抑えなくてはならなかった時、迷わず自分の手を貫通させて威力を落とすなど、その行動も大胆である。熟睡してる場合でも殺気を感じるとすぐに目覚める(殺気を感じない場合は何かされてもまず起きない)。他にも声帯模写が得意であり、声を聞いたことがある人であれば、その人とそっくりの声でしゃべることができる。また、意外と料理が得意。
だが同時に、唯一の弱点ともいえるこの世の物とは思えないほどの女好きで、軟派でスケベな性格で美しい女性を見ると即座に本能が働き“もっこり”してしまうのである。“もっこり”は一応自分で抑えられるが、無理しすぎると頭がショートする。基本的に美女絡みの依頼しか受けず、依頼人に手を出そうとしては相棒の香の(『エンジェルハート』では養女の香瑩[シャンイン]からの)100tハンマーによって天誅を食らうのが定番である。銃弾をかわすほどの高い身体能力の持ち主だが何故か香(もしくは香瑩)のハンマーはよけられない。(中にはよけたり、逃げ回るシーンもある。)そんなおちゃらけた様なそぶりを見せていても依頼は確実にこなすところが憎めない。ちなみに本人曰く、恋人は作らない主義らしい。
シティーハンターはツーマンセルであり、初代相棒は冴羽とは正反対のしっかりしているマネージャー兼作戦立案の槇村秀幸(まきむらひでゆき)。しかし、依頼の仕事中に命を落としてしまう。そしてその跡を継ぐのが槇村の妹である槇村香(まきむらかおり)である。その香に対しては、当初は親友への義理立てとして身柄を預かり、妹のような感覚しかもっていなかったと思われる。いつかは表の世界に帰そうと思っていたようだが、共に過ごすうちに仕事上の相棒以上の感情を抱くようになる。しかし(手のつけられないもっこりスケベのくせに)不器用なところがあって愛情表現が屈折しており、「男女(おとこおんな)」「唯一立たない女」などとからかったり(ただし、初期の頃は“もっこり”していた)、そっけない態度をとったりしていた。しかし物語後半には思わせぶりな台詞を香に対して発するなど、突き放すこともできずに、最後まで煮え切らない態度が続いた。なお、香を見ても“もっこり”しないのは自分で抑えているためらしく、香と気付かなかったり色っぽく感じたりした場合は“もっこり”する。
幼少時代、とある中米の国で飛行機事故に遭い天涯孤独の身となる。そのトラウマもあり、飛行機恐怖症である。事故で中米のジャングルに放り出されたところを、反政府ゲリラの村に拾われ、それ以来戦闘の世界に生きることになる。そのゲリラ組織の中で一、二を争う戦士だった日系人、海原神が幼い獠に戦い方と生きる術を教え、獠も彼を父親として慕った。だが、その海原に騙されて、エンジェルダスト(幻覚剤の一種)を投与された。これを投与された者は人間離れした怪力と運動神経を発揮し、多少銃弾を浴びても死なない体になるが、精神が麻痺し、外部からの洗脳を受けやすい状態になる。これにより戦闘マシンと化した獠は、単独で一部隊を壊滅させる戦果をあげる(この際、海坊主の目を負傷させ、後にそれが失明に繋がる事になった)が、ゲリラ組織はその陰惨な殺害の仕方に恐れおののき、独断でこの作戦を行った海原を追放した。獠も禁断症状で長い間生死の境をさまよった。
中米での反政府闘争に敗れた後、獠はゲリラの仲間と共にアメリカに渡りスイーパーの仕事を始めるが、巨大な犯罪組織の手から逃れるように日本に密入国し、やがて新宿で槇村や冴子と出会い、スイーパー「シティーハンター」としての活動を開始する。そして相棒槇村の妹、香と出会ったあたりから作品『シティーハンター』は始まる。
作中での脳天気とも見える明るい行動とは裏腹に、物心ついた頃からゲリラ兵士として地獄のような戦場で戦うことしか知らず、唯一人間らしい絆を感じていた育ての父に裏切られたという過酷で荒んだ少年時代のため、アメリカ時代の彼の相棒ミックによれば、かつては「破滅的な性格」で「戦いの中に死に場所を求める、暗い死神の瞳」を持っていたそうである(しかし、やはりものすごいスケベだったようである)。こうした獠の暗い側面も、槇村兄妹や仕事を通してのさまざまな人物との出会いによって、人間的な温かさを取り戻していく。香とも「家族」として、「二人でシティーハンター」として生きていく事を決意する。
[編集] エンジェルハート
2001年から『シティーハンター』の事実上の続編である『エンジェルハート』が週刊コミックバンチ(新潮社)で連載中である。
『エンジェルハート』では香にプロポーズしたものの、程なくして彼女は交通事故に遭って死んでしまう。それから1年間、事故の直後に消えてしまった香の心臓を持った人間が必ず存在するという確信を持っていたが、見つける事はできなかった。
そんな矢先、獠は香瑩と出会い、彼女こそが香の心臓を持った人間である事を知る。(初めて香瑩と出会ったとき、香瑩が香の心臓を持っていたため”もっこり”しなかった。)そして、紆余曲折の後に彼女を養女として引き取る事になる。
『シティーハンター』の年代からかなり時間が経っているため、年齢を感じさせる発言もあるが性格は変わっていない(ただし、渋々ながらも男性の依頼も受けたりと多少は大人になったようであるが)。
なお、『シティーハンター』と『エンジェルハート』ではパラレルワールドである都合上、獠の(そして獠に限らず各キャラクターの)前歴に不一致点が多い。