刻命館
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『刻命館』(こくめいかん)は1996年 夏、テクモ株式会社から発売されたプレイステーション用シミュレーションゲームである。続編として、本作品のゲームシステム(トラップを仕掛けるというシステム)のみを継承発展させた『影牢 ~刻命館 真章~』、『蒼魔灯』、『影牢II -Dark illusion-』があり、これらの作品を「刻命館シリーズ」や「トラップシリーズ」と呼ぶ事がある。
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[編集] 概要
本作は「刻命館」という館の中で、「人間狩り」と称して侵入者達を「捕獲」または「殺害」していく。主人公自身は攻撃手段を持たず、あらかじめ部屋にトラップを仕掛け、それに侵入者たちをおびき寄せて倒すという独自のゲームシステムを持つ。本作品にはマルチエンディングが採用されており、選択肢や行動によってエンディングが変化する仕組みになっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
主人公はゼメキア王国の第一王子。 婚礼の儀を執り行うため、婚約者である隣国エンゼリオ帝国の王女フィアナを自国へ連れ帰り、謁見の間で父である国王ゼメリスに帰還の報告を行う最中、主人公の目の前で国王が何者かによって暗殺されてしまう。主人公は父殺しの濡れ衣を着せられ、実弟である第二王子ユリアスの命令により火刑に処されることとなってしまう。主人公は火刑台の上で炎に包まれながら、天に向かって最期の呪いの言葉を叫んだ。
「神よ!いや、悪魔でもいい、誰か私に力を!私を陥れた者たちに復讐する力を!」
その刹那、雷が轟き、火刑台に稲妻が直撃。主人公の姿は跡形も無く消え去っていた。
気づくと、主人公は暗い森の中にいた。「刻命館へ向かいなさい」という悪魔(アスタルテ)のささやきを聞き、刻命館へと向かう。そこで現在の館の主(アルデバラン)を殺害し、自らが館の主となる。刻命館には「魔神」が封印されており、魔神を復活させた者の望みは、どのようなものであれ叶えられるという。魔神を復活させるには「人間の魂」が必要であり、主人公は「復讐」の為、魔神の復活をめざし人間狩りを開始する・・・。
[編集] 主要キャラクター
- 主人公(デフォルト名は無し、ゲーム開始時にユーザーが設定)
- ゼメキア王国の第一王子。結婚を機に父から王位を譲り受ける予定であったが、ユリアスとザムールの策略により父殺しの濡れ衣を着せられ処刑される。しかし謎の力で刻命館へ飛ばされ、以後刻命館の主となり人間狩りを行う。主人公の性格付けは完全にユーザー次第。人間らしさを失わない心優しい悲劇の主人公として通すのもよし、悪魔と結託して復讐心に燃えてもよし、どのようなタイプの主人公として行動するかは全てユーザーに任されている。
- アスタルテ
- 自らを「魔神の使い魔」と名乗る女性。刻命館の新しい主となった主人公に「人間狩り」の手ほどきをする。封印された魔神が、代わり身として、動けない自身の代わりに創り出した存在。500年前のリーダーによると、通常の方法で使い魔を亡き者にすることは不可能であり特殊な方法でなければ倒すことはできない。
- ほとんど出番は無いものの、使い魔見習いのイヴという魔物の存在も確認されている。彼らの過去や魔神とのつながりについては謎につつまれている。
- フィアナ
- エンゼリオ帝国の王女。主人公である第一王子の婚約者であり主人公を慕っていたが、主人公の処刑後は第二王子ユリアスに結婚を強要され幽閉される。その後、主人公が刻命館にいるという噂を聞きつけ、危険を承知で刻命館へとやってくる。主人公の行動により、最後まで生存する場合もあれば、途中で死亡してしまう場合もある。死亡した場合、彼女の遺体をモンスターの材料とするか否かの選択が発生するが、実はこの選択はエンディングに影響せず、影響するのは彼女の生死のみである。
- ユリアス
- ゼメキア王国の第二王子で主人公の実弟。もともとは兄弟仲が良かったが、ザムールと共に主人公を罠に嵌め処刑後、自らが国王となり圧政を敷く。フィアナに好意を抱いており、結婚を強要するも拒絶される。実はザムールに騙されており、死の間際にそのことに気付き、魔神を復活させないように主人公を説得し絶命する。
- ザムール
- ゼメキア王国の大魔導士。代々のゼメキア国王の信頼も厚い大魔導士だが、王子二人を陥れ、自分の野望を達成するために魔神の力を利用しようとしている。実はアスタルテによって利用し操られているのだが、本人はそれを知らず、逆に自分がアスタルテを創り出したと思い込んでいる。
- 過去のリーダー(主人公と同名)
- 500年前に「勇者の剣」によって魔神を刻命館に封印した勇者達のリーダーで、主人公と同名の遠い先祖でもある。主人公の行動により敵にも味方にもなる。
[編集] 用語解説
- 刻命館
- 深い森の中に建つ怪しげな館。魔神が封印されており、魔神の封印を解くことでどんな願いも叶うとされている。
- ゼメキア王国
- この世界に存在する二大大国の一つで魔法王国。
- エンゼリオ帝国
- この世界に存在する二大大国の一つで剣を信奉する。
- 魔導器
- 魔神を復活させるために必要なエネルギーを秘めた物体で、剣や冠、首飾りなど様々な形態をとる。全てを魔神に奉納し人間の魂を捧げることにより、魔神を復活させることができる。また、各魔導器は邪悪な思念を抱く人々を引き寄せる力がある。
- 闇の力
- 魔神と血の契約を交わした者にのみ与えられる邪悪な力で、刻命館内で侵入者を狩るためにトラップを仕掛けたり(「人間狩り」)、館自体を改築したり、狩った人間の魂を合成させモンスターを生成することができる。主人公が新しい刻命館の主となった際、使い魔アスタルテにより与えられ、魔導器を集めるにしたがい使用できる「闇の力」の範囲が広がる。