反社会性人格障害
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反社会性人格障害(はんしゃかいせいじんかくしょうがい、Antisocial Personality Disorder)とは、他者の権利や感情を無神経に軽視する人格障害である。人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動をする傾向があるとされる。以前は精神病質人格、社会病質人格(いわゆるサイコパス)と呼ばれていた。この人格障害は男性に多いとされる。ただし、反社会性人格障害は精神医学的というよりは、社会的価値基準にもとづく診断であるため、これに関する議論は非常に多い。
自己愛性人格障害の場合は、自分は優れているのだから人を使って当然だと考えて人を利用するが、それとは異なり、欲しいものを手に入れたり、自分が単に楽しむために行うのが特徴である。人を愛する能力や優しさは欠如しているが、人の顔色を窺って、騙したりする能力には優れているとされる。そのため、表面的には魅力的に見えることも多い。
反社会性人格障害の人は、アルコール中毒、薬物依存、性的逸脱行動、犯罪といった問題を起こしやすい傾向があるとされる。だが、危険なことをするわりには、精神的な弱さが見受けられる場合も多い。反社会性人格障害の人は、家族の内部で過去に反社会的な行動、薬物などの乱用、両親の不仲による離婚、虐待などがあったことが認められることもあり、危険な行動はそれを隠すためであるとも考えられる。また、反社会性人格障害の人は一般の人に比べて寿命が短い傾向があるといわれる。
DSM-IVでは、18歳以上になって初めてこの病気は診断されるとされるが、近年は犯罪の低年齢化が進んでおり、大きな疑問が投げかけられている。
治そうという気持ちが少ないため、治療がなかなかうまくいかない上、トラブルを起こすことも多く、治療スタッフの負担が大きくなることから、治療機関によっては反社会性人格障害の患者を嫌がることも多いようである。