国鉄コキ60000形貨車
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コキ60000形(こき60000がた)とは、国鉄が1984年(昭和59年)から1985年(昭和60年)にかけて、コキ5500形を改造して製作した貨車(コンテナ車)である。
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[編集] 概要
昭和60年3月ダイヤ改正での95km/h系コンテナ列車増発に際しては、JR移行直前の厳しい財政状況に鑑み、必要な車両は新車の投入ではなく、既存のコキ5500形をグレードアップ改造して賄い、コキ50000形と共通運用する方針が採られた。
改造工事は苗穂・名古屋・松任など8ヶ所の国鉄工場で実施され、127両が改造された。
改造に供されたコキ5500形は1967年(昭和42年)~1970年(昭和45年)製の、台枠がコキ10000形と同一の仕様に改良されたグループ(7000~8539)である。
[編集] 改造の内容
コキ5500形の両車端部台枠をそれぞれ約1m切り継ぎ、コキ50000形並みの19600mmに延長した。コンテナ緊締装置は12ft用のものを1組増設し、12ftコンテナを5個積載できる。
ブレーキ装置は、コキ50000形と同様の3圧式自動空気ブレーキ(CLブレーキ)に変更され、ブレーキ系統の配管やブレーキシリンダなども一新され、最高速度95km/hでの走行が可能となった。台車は種車のTR63F形を整備して再用している。
最初の23両(60000~60022)は先行試作車で、コキ50000形250000番代に装備された指令変換弁の実用試験に用いられた(車体延伸改造前)ため、同番代と同じ空気ブレーキ装置となっているが、60023以降の量産改造車では指令変換弁の装備は省略された。車体塗色は赤3号。
[編集] 運用と現況
本形式への改造は単年度で終了し、以降の95km/h系コンテナ車の補充はブレーキ装置のみを改造したコキ5500形45500番台によって賄われた。
コキ50000形と混用され、共に95km/h系フレートライナー運用に就いていたが、20ftコンテナが積載できないため運用には制限を付けざるを得なかった。コキ100系貨車の投入が本格化すると淘汰の対象となり、1997年(平成9年)度までに全車が廃車され形式消滅した。
[編集] 主要諸元
- 自重:16.t
- 荷重:34t
- 最大長:20400mm
- 車体長:19600mm
- 最大幅:2640mm
- 車体幅:2430mm
- 最大高:2098mm
- 床面高:1100mm
- 積載可能コンテナ数:JR12ft 5個
- 台車形式:TR63F
- 最高運転速度:95km/h
[編集] 参考文献
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』1990年2月号 No.523 特集・貨車
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』1991年3月号 No.540 特集・コンテナ貨車
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