大夫
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- 大夫(たいふ)とは、中国の周代から春秋戦国時代にかけての身分を表す言葉で領地を持った貴族のことである。
- 大夫(だいぶ、たいふ)は、日本の律令制の長官名の一つ。
- 大夫(たゆう)は2.から転じて江戸時代、江戸吉原や京島原の最高位の遊女を指す。1754年(宝暦4年)に廃止され、江戸・吉原では以後名称は花魁(おいらん)と変わったが、京・島原では「大夫」の名称が残り、今でも数名の大夫が存在する。
- 大夫(たゆう)は2.から転じて江戸時代以降、浄瑠璃の語り部を指す用語。
[編集] 中国における大夫
大夫は中国における身分呼称のひとつ。卿の下、士の上に位した。周代、周王室および諸侯に仕える小領主は大夫と呼ばれ、その上級のものが卿と呼ばれ、国政に参加した。諸侯が横暴であった場合、大夫らにより追放されることもあり、主君を脅かし得る地位を得るようになった。後代には大夫や士の中に衰退する者も現れたが、その後、有力農民層が新たに士という階級を形成し、地位を得るようになったといわれる。
晋では地方の県のことを大夫と呼ぶようになり、後に諸国もこれに倣い、中央集権的な郡県制へと移行することになる。
[編集] 日本における大夫
日本における大夫は、『公式令』により、太政官においては三位以上、寮においては四位以上、中国以下の国司においては五位以上の官吏の称とされた。すなわち、五位以上の男性官吏を指す称号であるといってよい。官職としての大夫はだいぶと読み、五位を意味する場合はたいふと読み分ける。六位以上の者が五位に叙せられた時、官職の下に大夫と付記する(左衛門尉にある者が五位に昇った際、左衛門大夫と称する)。なお、五位にありながら散位即ち無官の者は無官大夫と称される。 対して五位以上の女官を命婦という(詳細は命婦の項参照)。
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