大谷實
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大谷 實(おおや みのる、1934年10月 - )は刑法学者。法学博士(同志社大学)。茨城県出身。
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[編集] 人物・研究
大学・大学院とも同志社で学んだが(師の秋山哲治教授が、同志社大学職員から、急遽、刑法担当教授に転身したにわか仕立ての「学者」、それも立命館で佐伯千仭教授の講義を聴いたという理由だけ)、刑法理論に関しては、「人格責任論」にみられるように、団藤重光東大教授の理論の影響が大きい。極論すれば、大谷の刑法理論は団藤刑法理論を出発点としていると言える。その後、平野龍一らの抬頭を受け、大谷は微妙にその立場を修正していったと言われる。大谷本人曰く、「団藤先生の理論は本で影響を受けた。もっとも、団藤先生ご本人にお目にかかったのはずっと後のことですが・・・」(前田雅英との対談)。同志社大学の教員となり、イギリス留学後、日本において早くから犯罪被害者の支援活動に取り組み、犯罪被害者等給付金支給法の制定に尽力した。この過程が木下恵介監督の映画『衝動殺人 息子よ』に描かれている。この映画のなかで大谷は中谷教授(配役は加藤剛)として登場する。その後も被害者支援に奔走。その熱意は、電話相談や給付金申請補助を行なう社団法人京都犯罪被害者支援センター設立に結実した。現在も同法人の理事長、その他、全国被害者支援ネットワーク特別顧問を務めている。法務省司法試験考査委員(昭和57年~平成7年)。日本学術会議会員(平成3年~平成12年)。法務省法制審議会刑事法部会部会長、法務省人権擁護推進審議会委員、日本被害者学会理事長。アマースト大学名誉博士。平成13年第17代同志社総長に就任した。キリスト教徒。
[編集] 学歴
- 1957年 同志社大学法学部法律学科卒業
- 1960年 同志社大学大学院法学研究科修士課程修了政治学専攻
[編集] 職歴
- 1962年 同志社大学嘱託講師
- 1965年 同志社大学法学部専任講師
- 1967年 同志社大学法学部助教授
- 1973年 同志社大学法学部教授
法学部長・大学院法学研究科長を経て、
- 1980年 同志社大学長に就任するも病のため半年で退任。
その後、大学院総合政策科学研究科長を歴任。
現在、学校法人同志社総長。
[編集] 社団法人京都犯罪被害者支援センター
大谷實が中心となって1998年5月に発足した民間の犯罪被害者支援団体。活動内容は、犯罪や犯罪に類する行為、交通事故、災害などの被害者およびその家族に対する精神面での支援。なお同センター設立に動こうとした際、刑事被告人の権利確立を優先させるべきであるとする団藤重光に「大谷君、10年早い。」と言われ、言葉どおり10年を待って設立したという逸話がある。
[編集] 著書
『医療行為と法』『刑事規制の限界』『いのちの法律学』『刑法講義各論』『刑法講義総論』『エキサイティング刑法』など多数
[編集] 門下生
- 佐藤嘉彦 - 同志社大学大学院司法研究科教授
- 瀬川晃 - 同志社大学大学院司法研究科教授
- 奥村正雄 - 同志社大学大学院司法研究科教授
- 十河太朗 - 同志社大学大学院司法研究科教授
- 松原久利 - 京都産業大学法務研究科教授
- 川崎友巳 - 同志社大学法学部助教授
[編集] 外部リンク
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