前田雅英
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前田 雅英(まえだ まさひで、男性、1949年7月 - )は、刑法学者。首都大学東京都市教養学部・社会科学研究科長。
東京都目黒区衾町生まれ。東京大学法学部卒。東大助手(指導教授・平野龍一博士)、東京都立大学法学部教授などを経て、現在首都大学東京都市教養学部長(専攻・刑法)。日本刑法学会理事、司法試験考査委員、警察大学校特別捜査幹部研修所講師、警察庁政策評価研究会委員長、警察庁総合セキュリティ対策会議委員長、警察庁「少年非行防止法制の在り方に関する研究会」座長、内閣官房情報セキュリティ専門調査会委員、カード犯罪総合対策検討委員会委員長、最高裁判所一般規則制定諮問委員、法と精神医療学会理事、法務省政策評価委員、出入国管理政策懇談会委員、東京都治安対策専門家会議委員等を歴任。
国民の規範意識と結論の具体的妥当性を重視する実質的犯罪論を展開し、主観的犯罪論・客観的犯罪論、結果無価値・行為無価値に代わる、第三の対立軸として、実質的犯罪論・形式的犯罪論の二項対立を提起した。司法試験委員を長年務め、東京大学出版会から出版された『刑法総論講義』と『刑法各論講義』は実務家を始め司法試験受験生や大学生に至るまで広く用いられている。
また、刑事政策における犯罪抑止という観点から社会的な規範意識、また規範意識を醸成するための教育や躾の重要性を唱えつつ、その根拠として昨今の犯罪情勢について統計分析に基づいた発言を積極的にしていることでも知られ、その手法と解釈は論議を呼んだ。
メディア規制論の支持者と言うスタンスから東京都副知事などを歴任した元警察庁生活安全局長・竹花豊に重用され、東京都青少年健全育成審議会委員や警察庁・バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会座長を務めた。
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[編集] 略歴
- 1968年 東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業
- 1972年 東京大学法学部卒業。東京大学法学部助手
- 1975年 東京都立大学法学部助教授
- 1988年 東京都立大学法学部教授(2003年~ 法学部長)
- 2005年 首都大学東京都市教養学部長・社会科学研究科長
[編集] 主要著書・編著
- 『可罰的違法性論の研究』(東京大学出版会、1982)
- 『現代社会と実質的犯罪論』(東京大学出版会、1992)
- 『刑法から日本をみる』(東京大学出版会、1997)藤森研との共著
- 『刑法総論講義[第4版]』(東京大学出版会、2006)
- 『刑法各論講義[第4版]』(東京大学出版会、2007)
- 『少年犯罪』(東京大学出版会、2000)
- 『刑事訴訟法講義』(東京大学出版会、2004)池田修との共著
- 『Lesson刑法37』(立花書房)
- 『条解刑法』(弘文堂)
- 『最新刑法判例250』(成文堂)
- 『日本の治安は再生できるか』(ちくま新書)