妲己
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妲己(だっき)は、前11世紀(紀元前1100年)頃に実在した、殷(商)の帝辛(紂王)の妃の一人。
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[編集] 人物・略伝
[編集] 概要
『史記』「殷本紀」では、姓は己(き)、氏は蘇(または有蘇氏)、諱は妲(だつ)という。殷に服従した有蘇氏が殷の機嫌を取るために献上された美女という。彼女は帝辛に最も寵愛された妃で、武王により処刑されたとされている。
また、父は元は殷の諸侯で周に帰順した己忿生(=きふんせい、『封神演義』では冀州侯の蘇護となっている)。
多くの書籍で、夏の桀の妃末喜(ばっき)と並ぶ傾国の悪女として描かれているが、それは小説や演劇などで脚色化された妲己であり、実際にどのような人物だったのかは定かではない。
[編集] 中国の妲己像
妲己は、殷からなりかわった周を正当化するために、紂王(帝辛)と共に暴君悪女にしたてあげられた。
『列女伝』では、聖君だった紂王を堕落させ、彼とともに酒池肉林で淫楽を、罪人などを炮烙(ほうらく)の刑等を使って虐殺するという残忍を極めたといわれている。それによって殷の諸侯や人民は彼らに失望し、たまりかねた太公望と周の武王ら率いる軍勢によって、殷周革命が勃発。二人は捕らえられ、処刑されたと伝える。
『武王伐紂平話』では妖狐伝説と結び付けられ、妲己は狐のなりかわりとされた。この設定は『封神演義』にも受け継がれることになる。
『封神演義』では、殷周革命を実現させるために使わされた千年狐狸精(せんねんこりせい、千年生きた狐の妖怪で尻尾は一つしかないため九尾の狐ではない)が冀州侯蘇護の娘蘇妲己(そ だっき)になりかわり、紂王を堕落させたとされている。
また、封神演義で彼女と同じく紂王の寵姫とされている胡喜媚(こきび)、王貴人(おうきじん)という二人の架空の女性は、胡喜媚が九頭雉鶏精(きゅうとうちけいせい)、王貴人が石琵琶精(いしびわせい)と、雉と石琵琶の妖怪が化けた者として紹介されている。
[編集] 日本の妲己像
日本においては、玉藻前伝説と結び付けられ、妲己は白面金毛九尾の狐が化けたものとして紹介されている。これは白面金毛九尾の狐の項に詳しい。
また、悪女のイメージから毒婦「妲己のお百」が生まれた。
[編集] 関連項目
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