家具調仏壇
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家具調仏壇(かぐちょう ぶつだん)とは仏壇の1つで、20世紀後半の日本の都会型住居に合うようにデザインされたもの。都市型仏壇ともいう。
先駆となるのが、八木研の現代仏壇である。後続で多くの唐木仏壇メーカーからモダン仏壇・新仏壇・京モダン仏壇などがある。
特に都市部における比率が高まっており、宗教工芸社では2010年には仏壇販売全体の20%になると予測している。
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[編集] 特徴
伝統的な仏壇と異なり、外見は一見家具と見まごうようなデザインを採用している。伝統仏壇を特徴付ける欄間彫刻や宮殿がなく、障子も用いられず全体としてすっきりとした印象。ガラス扉を採用したものや、椅子付きの仏壇もある。多くは内部が3段になっており、これは須弥壇のなごり。天井には照明が付き、LEDを使用したものもある。よって、従来仏壇のように灯篭を取り付けない。
宗派色はほとんどない。箱型から抜け出したステージ型のものもあり、宗教色のないものもある。そこからキリスト教徒が祭壇として使用することもある。
家庭での設置場所は、リビングや洋室が多いが、仏間や床の間に納めるケースもある。
仏具も家具調仏壇にあわせたものがあり、ガラス製や陶器製などバラエティーに富む。
[編集] 生産地
日本国内の唐木仏壇産地である徳島・静岡や、家具産地である府中・旭川など各地に及ぶ。
安価品は中国やベトナム。高級品の中にはイタリアやデンマーク、スペインで作られている物もある。
[編集] 主な材質
洋家具の材料を使用したものが多い。
- ウォールナット
- クルミ科の落葉広葉樹。北米やカナダで産出。世界三大銘木のひとつ。木質は重硬で衝撃に強く、また狂いが少なく加工性や着色性も良いという特性を持つ。落ち着いた色合いと重厚な木目から高級家具材や工芸材に用いられてきた。
- チーク
- クマツヅラ科の落葉高木。タイやミャンマー・インド・インドネシアなどで産出される高級材。世界三大銘木のひとつ。重硬で耐久性・耐水性に優れる。心材は淡褐色。黄褐色、褐色。天然材は減少し、現在ではアフリカなどで植林が行われている。
- メープル
- カエデ科の落葉広葉樹。仏壇材としてはハードメープルが使用される。重硬で肌目が緻密。主に淡灰色の辺材が用いられる。鳥眼目(バーズアイメープル)が現れることがある。
- ナラ
- ブナ科の落葉広葉樹。日本国内に広く分布し、北海道産が有名。樺太や朝鮮半島にも分布。ヨーロッパでも古くから人気のあるオーク系の色として知られる木材。辺材は淡黄白色で、芯材はくすんだ黄燭色。着色性に優れる。北米のホワイトオークはウィスキーの樽として使用される。
[編集] 販売
新規分野であり、また宗派色はほとんどない為に、製造・販売の両面で新規参入がし易く、従来の仏壇店の他に墓石店や葬儀屋、家具店でも取り扱うところが出ている。百貨店で通信販売をしているところもある。ちなみに、メーカー最大手の八木研は研磨剤業界からの参入。
また、独自コンセプトで店舗設計を行い、商品提案型の新しい販売スタイルを取るところもある。ギャラリーメモリア、ワイズプリアなど。