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少年陰陽師の登場人物 - Wikipedia

少年陰陽師の登場人物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この「少年陰陽師の登場人物」は、まだ完結していない作品や番組に関する項目です。ある程度ストーリー・番組内容がまとまってから編集するようにしてください。

少年陰陽師の登場人物(しょうねんおんみょうじのとうじょうじんぶつ)では、小説アニメ少年陰陽師』に登場する人物(及びそれに類する人間以外のもの)について説明する。声優は特に記述のない限り、ドラマCD・アニメ共通のキャスト。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


目次

[編集] 安倍家

主人公。安倍晴明の末の孫であり、唯一の後継者。「晴明の孫」と言われるのが大嫌いで、言われる度に「孫、言うなっ!!」と怒鳴っている。
よき相棒である物の怪のもっくん(騰蛇又は紅蓮)と日々都の平和を守るため奮闘中
晴明を除いて、唯一騰蛇を「紅蓮」と呼ぶ権利を持つ。
素直で優しく、負けず嫌いで正義感が強い。恋愛に関してはとことん鈍く、彰子は少しやきもきしがち。けれど昌浩は生涯をかけて彰子を守ると決めている。そのことで雑鬼たちにいじられることもしばしば。半人前の見習い陰陽師だが、安倍晴明の後継に定められるほどの強い霊力をもつ。
三歳の着袴の日、晴明の目の前で非常に弱い妖を指摘したが、「見えすぎるのも困りもの」と昌浩を守るために晴明に見鬼の才を封じられていた。この才は絶命した紅蓮を蘇生させるための代償として一度は失ったものの、玄武より道反の丸玉を授かった事により取り戻す事ができた。
顔立ちは、晴明の亡き妻である若菜の面差しを唯一受け継いでいる。
誰も傷付けない、誰も犠牲にしない最高の陰陽師」になることを紅蓮と約束した。
晴明以外で、唯一騰陀(紅蓮)を恐れない人間であり、また紅蓮(もっくん)に対しては遠慮会釈というものも持っていない。そのためしばしばもっくん(紅蓮)に対してぞんざいな態度(なぐる、ひっぱたく、ぼてっと落とすなど)をとっているため、周囲の人間(主に成親・昌親・吉昌の家族)を冷や冷やさせている。
晴明のことは五つの時に夜の貴船神社に置き去りにされるという恐怖体験を味わってからは嫌っているようだが、心の底から嫌っている訳ではない。天狐編で晴明が危篤状態に陥ったときに誰よりも晴明の延命を望むなど、心の底では尊敬している。
  • もっくん騰蛇(とうだ)もしくは二つ名紅蓮(ぐれん))(声優:大谷育江(ドラマCD第1巻~第7巻まで初代もっくん)野田順子(番外編ドラマCD第1巻から2代目もっくん)小西克幸(騰蛇(紅蓮))
昌浩の護衛兼相棒。物の怪のもっくんは、普段は額に紅い花の様な模様のある大きな猫か小さな犬のような体躯をしていて(赤い目と長い耳で見ようによってはウサギにも見える)、カワイイ顔して口は悪く態度もでかい。この姿は昌浩のために選んだ仮の姿。昌浩が危機に陥ると本性を現す。
本性は十二神将の1人で驚恐を司る十二神将最強にして最凶の火将、騰蛇(とうだ)。その身にまとう焔はあらゆるものを灰燼へと帰す地獄の業火。抑制していてもこぼれ出る苛烈な通力に人は恐れを抱き、同胞すらからも忌み嫌われる。ただ晴明と昌浩だけは騰蛇を恐れない。晴明からもらった二つ名は『紅蓮』。彼の発する炎を水面に咲く紅の蓮のようだと晴明が言ったことからつけられた。この名前は晴明以外では、昌浩にしか呼ぶことを許していない。
五十数年前に敵の術中にはまり晴明を殺めかけた事があり、その事件の後、騰蛇は晴明を手にかけた事への負い目から、昌浩が生まれるまで他の神将達(主に青龍、天后)からも更に遠ざかり、晴明が呼びかけた時以外は異界に引きこもっていた。額の金冠はこの事件の後に晴明が有り余る力を抑制させる目的でつけたものである。
また風音編で縛魂の術をかけられ、黄泉の屍鬼(しき)となり昌浩を手にかけた事、そして絶命した自分を蘇生させるために一度見鬼を失わせてしまった事に大きな罪悪感を持っている。この二つの事件は騰蛇の心に深い傷を負わせた。しかし、すべてを知ったうえでかわらず自分に手を差し伸べてくれた昌浩の優しさに触れ、改めて彼を守り抜くと誓った。
騰蛇が初めて昌浩と対面したのは、昌浩が生まれたばかりの赤子の時である。通常、本能で行動する赤子は、騰蛇が側にいるだけで熱を出すまで泣き、全身で騰蛇を嫌悪するのだった。そのため、騰蛇は赤子を極端に嫌う(実際は嫌われるのを怖がっている)。しかし、昌浩は幼い手を伸ばして騰蛇の指を掴み、笑いかけてきた唯一の赤子だった。この時から騰蛇は少しずつ変わっていき、それと同時に何があろうとも昌浩を守り抜くと誓った。その決意は固く、そのためなら神将の理を犯す事も辞さない。そしてどんな時でも昌浩の優しい心に寄り添いたいと常に願っている。騰蛇にとって昌浩は、闇を裂く光、行く先を示す導のような存在なのだ。
いささか過保護な面もあり、なにかにつけて昌浩につっかかってくる敏次には明らかな敵意を持っており、敏次に対してはかなり大人げなく反撃をはじめるので、最近では昌浩に警戒されて、敏次と会うたびもっくんの長い尻尾をさりげなく踏んづけられている。
藤原道長の一の姫。 晴明や昌浩をも超える当代一の『見鬼の才』を持つ。しかし、その見鬼の所為で『窮奇』という妖怪に狙われる。その時負った一生消えない呪詛が原因で、急遽入内を取りやめ、安倍家に半永久的に滞在することとなった。そのとき彰子の代わりに入内したのが章子である。
けれども、その高い霊力や、昌浩にとって大事な存在であること、自分の身代わりとして入内した「章子」と瓜二つといったことなどでしばしば戦いの中に巻き込まれている。
ちなみに、過去幾度も昌浩の危機を救った匂い袋は最初に昌浩が彰子を救ってくれた時に彰子が昌浩に送って以来、昌浩はいつもこの匂い袋をお守りとして持ってる。
優しく温厚な性格で、貴船の祭神も認めるほどの美貌の持ち主。歳は昌浩より1つ下。
雑鬼に対してもまるで動じなかったり、初対面の昌浩ともっくんに気軽に声をかけてきたりと、高い身分の貴族の姫にしては順応性が高く度胸もあり、貴族の中では末端と言ってもいい安倍家の生活を満喫している。
彰子が安倍家に滞在していることについては、表向きは安倍家の遠縁、または「昌浩の未来の妻」という事になっている。
珂神に追われ殺されかけたところに昌浩が助けにきてくれたが、追われる途中珂神に髪を掴まれ身動きができなかったため、平安の女性に対して大切な髪を自らが切った。(元が長かったため、切っても違和感はあまりない。それに切ったといえど、そんなに多くは切ってはいない。)
稀代の大陰陽師で昌浩の祖父で、齢八十を超える。神に通ずる天狐を母にもつその出自ゆえにまれに見る霊力の強さを誇る。十二神将を配下においている。
末孫の昌浩を可愛がりながらもおちょくりすぎたせいか、昌浩から『古だぬき・たぬき爺』と呼ばれる。また、普段は飄々とした性格で昌浩を怒らせているが、大切な時には頼りになる一面もある。離魂術で一番霊力が高かった頃の姿をとることも可能。しかし、この術は心身に大変な負担をかけるため、十二神将たちに怒られながらもつかっている。
一度決めたらてこでも動かず、十二神将たちがどれだけ反対しても我を通す。また、昌浩の夜にひっそりと抜け出す癖は、どうやら彼譲りらしい。
十二神将を朋友(とも)と呼ぶ。
成親・昌親・昌浩たち三兄弟の父親にして、晴明の息子。陰陽寮における地位は天文博士。あまり晴明とは似ておらず、真面目な性格(この辺は昌親や昌浩にしっかりと受け継がれている)。少々早とちりな部分もあって、『貴船の祭神の所為で一緒に寝ていた昌浩と彰子』を見て、思考が違う方へ突っ走ってしまったことも。でも、3人の息子を常に案ずる優しい父親である。陰陽寮では、子供たちを特別扱いしないように心がけているらしいが、結構甘かったりする(特に昌浩に)。
父の晴明、兄の吉平同様実在の人物。
  • 安倍露樹(あべの つゆき)(声優:重松朋
成親・昌親・昌浩たち三兄弟の母親にして、吉昌の妻。見鬼の才は無いが、いつでも息子達を温かく見守っている。また、彰子の高い身分にもなんとなく気づいているが、何も言わずに縫い物などを教える、よく出来た人といえる。夫である吉昌とは幼馴染の間柄で彼女の方が年上だが、吉昌は彼女と結婚できて幸せなんだろうな、と昌浩が思うくらいに夫婦仲は大変良い。
  • 安倍成親(あべの なりちか)(声優:神奈延年
安倍家の長男。兄弟の中で、その飄々としたたぬきぶりが最も晴明に似ていると言われている。晴明ほどでないにしろ、やや昌浩をからかう場も多々ある。口が達者で本気になると誰も勝てないらしい。飄々としているがかなり有能な人で、本人もそれを自覚している。しかし、あまり有能なところを見せると苦労することがあるため、わざと実力を出し切らずにいる。
何故だか家族の前であろうと絶対に自身の妻を名前で呼ばず「北の方」と呼ぶため、昌浩たちは未だに彼の妻の名前を知らずにいる。ただし、番外編「其はなよ竹の姫のごとく」では妻には見えていないとはいえ、太裳の前で呼んだことはある。
暦博士であるが、武術の心得もあり、朱雀と勾陣直伝の剣を得意とする。
昌浩が生まれるまでは自分が安倍の跡継ぎになると自覚していたため、陰陽の修行も欠かさずにやっていた。
  • 安倍昌親(あべの まさちか)(声優:杉山紀彰
安倍家の次男。真面目な天文学生。吉昌の血を濃く受け継いでおり、晴明にはあまり似ていない。成親同様、妻子持ちで妻の家に入っている。昌親の丁寧な言葉使いは太裳に似たらしい。
兄と同じく武術の心得があり、太裳直伝の弓を得意とする。(そこらの陰陽師と比べれば力は強いが)退魔術は苦手な為、天文生に進んだ。
昌浩が生まれるまでは跡継ぎの兄の助力をするのが自分の役目だと思っていた。
晴明の妻で既に故人。彰子と同じく「見鬼の才」を持っていたが、彰子とは逆に妖や十二神将たちを見るたびに悲鳴をあげて晴明の後ろに隠れていたらしい。妖がいるせいで台所に入れず、晴明が帰ってくるまで飯の用意をできなかったなどということもある。
しかしそんな彼女でも、天狐と人の合いの子である晴明のことを誰よりも理解し、深く愛し、支えていた(「自分は狐の子」と言う晴明に、「自分の眼には人にしか映らない」と真剣に訴えた)。
吉昌が3つの時に病気でこの世を去るが、今でも晴明のことを見守り、晴明も彼女を心の支えとしている。現在は三途の川を渡らず、無理を言って川岸に留まり、晴明を待ち続けている。泣き虫だが晴明に勝てる唯一の人物で、晴明は彼女に一度も勝てたことはないらしい。十二神将や式たちを見るたびに怖がっていたので、見かねた晴明が、十二神将たちを普段は異界へ留まらせて必要なときだけ召喚し、式たちは現在車之輔がいる一条戻り橋の下に留め置いたというから相当な怖がりだったらしい。
また、不器用だったらしく、晴明の衣を繕う時は苦戦していたらしいが、自分の大事な夫の衣だからきちんとしないと自分の気がすまない、と一生懸命に繕ったという。今でもその衣は晴明の部屋の唐櫃の底に大事に眠っている。

[編集] 十二神将

  • 騰蛇(とうだ)
上記の『もっくん(紅蓮)』を参照。
十二神将の一人。土将にして騰蛇と同じく凶将でもある。四闘将の紅一点。肩に付かない位置で切りそろえた漆黒の髪に黒曜の瞳を持つ女性。十二神将最強である騰蛇に次ぐ通力の持ち主。晴明から与えられた二つ名は常に大局を見据えることから『慧斗(けいと)』。この二つ名は本人を除き晴明と騰蛇しか知らない。観察眼がすぐれている。他の十二神将たちのことをよく理解しているが、いつも傍観者の立場にいるため自分に焦点を当てられることが苦手。また騰蛇のことを晴明や昌浩以外で唯一気にかけていると言ってもよい。一部の神将を除き、騰蛇が対等に話せる相手とも言える。晴明以外で二つ名を知る騰蛇のみは、彼女を『勾』と呼ぶ。晴明ですら気づいていなかったが、利き手は右に見えるが実は左手。
十二神将の一人。木将にして、四闘将の一人。慶賀を司る。無口であまり表情を変えることがないが、優しい性格。晴明に命ぜられ騰蛇と共に、昌浩の護衛についている。二つ名は夜明けの光に似ている瞳になぞらえて『彩煇(さいき)』とつけられる。この名を知るものは晴明と六合本人を除き、風音だけしかいない。勾陣によれば十二神将の中で一番情の強(こわ)い人物らしい。激昂すると瞳の色が黄褐色から燃え上がる炎の緋色になる。道反の姫である風音に想いを寄せていたが、宗主の魔の手により風音は命を落とし、その最期を看取る。宗主を倒した事で六合は風音の仇を取ったが、これにより六合も騰蛇と同様に血濡れの咎を背負う事となってしまった。しかし本人はさほど気にしていない。その後、道反の巫女の頼みにより、風音の魂を封印した彼女の紅い勾玉を預かる(ただし、風音の魂が封印されていることは知らされていなかった)。時折晴明の命により、聖域に赴くことが多いが、勾玉を預かったことから、守護妖達から冷たい視線を向けられて苦労する。珂神編で敵の手に落ちた風音の宿体を命がけで取り戻し、比古神の力によって生返ったものの、父神や騰蛇への罪の意識に苦しむ風音の心の支えとなる。原作巻末のキャラランキングでは一時勾陣、太裳に抜かれたものの、昌浩、もっくん(紅蓮除く)とともにほぼベスト3内をキープする根強い人気がある。
十二神将の一人。騰蛇や勾陣、六合と同じく四闘将の一人でその通力は勾陣に次ぐ。福助を司る。木将だが、龍という字から水の性質も持っているため、騰蛇との相性が元より悪かった。その亀裂が決定的となったのは、五十年前に騰蛇が神将の理を犯した一件である。それと同時に、騰蛇が『晴明の後継』と唯一認めた昌浩のこともいまいち認め切れていない節があった。しかし、「窮奇編」を経た後、僅かながらも昌浩の事を認めた模様である。二つ名は頑固で融通がきかないところが穏やかな宵の空のようになればという願いをこめられて『宵藍(しょうらん)』と名づけられる。が、晴明の想いもむなしく、いつもぶすくれている頑固者。口調は冷ややかで厳しいが、誰よりも晴明の身を案じている。また、遠まわしにだが天后に嫌われるのは嫌だとも取れる発言をしている。風音編から刃渡りが三尺に届く三日月型の刃が備わった大鎌を武器として使っている(アニメでは50年前から使っていたようで、既に窮奇編で使用している)。
十二神将の一人。騰蛇と同じく火将。騰蛇の炎とは異なり浄化の炎を操り、唯一「神将殺し」という力を持っている。恋人である天一がからむと人が変わる。そのせいで、過去に一度昌浩は鉄拳を食らい、敏次は気絶させられた。ちなみに、彼が額に巻いている白い領巾(ひれ)は、天一が持っていたものを彼女の手で捲いてもらった大切なもので、本来は腕などに巻くものではあるが、それを朱雀に言おうものなら文句が飛んでくるらしい。なのでみんな口を閉ざしている。嫌いなことは、天一が術を使うことと(晴明に叱られるのもそうだが)天一に叱られること。何よりも天一を優先するのは先代の天一が自身の目の前で命を落としたことがあり、その天一も朱雀と仲が良かったこともあるので、その気持ちも強い。身の丈よりも大きい剣(つるぎ)を使う。
十二神将の一人。土将。豊穣を司る。本名は天乙貴人(てんおつきじん)で、朱雀のみ天貴(てんき)と呼ぶ。金髪の美少女で朱雀の最愛の恋人。儚げな印象だが芯が強く、勾陣曰く、十二神将の中で一番自分を曲げないという。
呪詛や他人の傷を自分に移して浄化するという力を持っている。しかし、この術のせいで何度か瀕死の事態に陥ったことがあり、朱雀は彼女がこの術を使うことを非常に嫌う。そして敏次に想いを寄せられているため、朱雀の心配の種は増えるばかり。身に着けている耳飾りは朱雀のもの。
実は今の天一は転生した姿。転生前の姿は今の儚げな印象と正反対で、とても行動的な女性だったという。転生前も朱雀と親友で仲が良かったために、朱雀は天一を最優先に考える。転生前のことを覚えてはいないが、自分が一度死んでいるということはわかっているらしい。
原作12巻にて、目の前にいながら守れなかった彰子に対し「この命を投げ打ってでも守る」という朱雀にとっての禁句を口にした。しかし、天一は無意識である。
昔、晴明が若菜を亡くして子育てどころじゃなかったとき、天后と共に吉昌の世話をよくしていた。
  • 原作者の結城氏は田中理恵の演技に惚れ込み、その影響でドラマCD版での天一の出番が増えたとも言われる。
十二神将の一人。風将。外見は子供で、気性も少し子供っぽいところがある。桔梗色の瞳で、栗色の長い髪を耳の上の高い位置で結っている。気も意志も口調も強いのだが、案外打たれ弱い。神将なので何千年と生きているはずなのだが実際は外見にそぐった性格をしている。かなりのお転婆娘である。その性格が反映しているのか、術の使い方もかなり過激で荒っぽく大雑把、総じて力技である。(風の矛、竜巻など)反対に、風読みなど、細かいことは苦手。白虎の説教が苦手で、現在の最高記録(四刻=約8時間)は相当身にこたえたらしく、しばらく異界で反省の海につかりっぱなしになっていたほど。9巻にて、百戦錬磨の猟師のようなセリフをさらりと口にした。水将の玄武とは名コンビ。神将たちの中でもことさら騰蛇を恐れているが、せめて物の怪の姿の時は大丈夫なようになるのだと努力しているらしい。
十二神将の一人。水将。見た目は太陰と同年代の少年だが、口調は重々しい。一人称は「我」。冷静沈着に見えるが、やはり外見からか太陰との絡みが多く、一緒にいることも少なくはない(というよりも太陰に振り回される)。天一と同じく、闘う力ではなく守る力を持つ。しかし、結界を張ることのできる4人の中では一番通力が弱い。晴明の碁打ち相手になる事もあるが玄武は碁は得意ではないらしく、本当の意味で暇つぶし相手である。最近は天一と共によく彰子の護衛をすることが多い。同じ水将である天后とは水鏡という技で対話もできる。本編では詳しく書かれていないが、必ず守ると決めた、汐(しお)という名の盲目の少女がいる。
十二神将の一人。玄武と同じく水将。優しく柔軟な性質ではあるが、曲がったことが嫌いで、道反での事件から50年経った今も騰蛇のことを許してはいない。長い銀髪に翠色の瞳、菩薩のような衣装をまとっていて、腕には透き通る玉の腕飾りをはめている。外見年齢の近い勾陣とは仲がよい。頑固な点では青龍と似たもの同士。十二神将の中で、戦う術を持っている8人の中では最も力が弱いため護衛に回されることが多く、天后自身も役に立てないことに憤りを感じている。
十二神将の一人。太陰と同じく風将。外見は優しいおじさんといった風貌。主な役目は「じゃじゃ馬娘」太陰へのお説教役、かつ、太陰と玄武の父親的存在。その説教は非常に長く、太陰が苦手としている。たまに晴明に報告するときは太陰を通して報告している。ちなみに、背丈は騰蛇より僅かに低いがそれを感じさせない大きな体躯をしている。体格とは裏腹に太陰の苦手とする風読みなどを得意とする。風の刃を武器として、珂神編では戦いに活躍する。
  • 天空(てんくう)(声優:有川博
十二神将の一人。土将。灰白色の髪(相当長い)を持ち、口元とあごに蓄えたひげは胸に届くほど長い。顔にはしわがあり老人の姿をしている。十二神将を束ねる役目を担う。玄武や天一、太裳と同様に戦う力は持たないものの、織り成す結界は十二神将随一である。外見年齢ならば、晴明の実年齢時の姿よりも高齢と思われる。晴明が十二神将を召喚したとき、最初に式に下った。それはすでに晴明に流れる天狐の血を見出していたからのようである。騰蛇や勾陣も苦手とし(扱い方が分からないから)、青龍と勾陣に至っては「青二才」と「はねかえり」の一言で済ませられるほどの威厳を持つ。その為、晴明が最初に召喚したときは、晴明は逃げ出したくなったそうだ。無機物を造る力を持っており、武器を携えている十二神将の武器は全て彼が作ったもの。騰蛇の緋炎の槍や六合の銀槍、青龍の大鎌、朱雀の大剣など、長物が多いのは彼の趣味らしい(もっくん曰く、長身の神将達には、長物の得物が見栄えがいいだろうから、とのこと)。勾陣の武器は彼女が両手を同じように扱えるため、あの形状だという。
晴明は知らなかったが朱雀が言うには昔、誰もが擁護出来ないほどの若菜の不器用さを見て、「嫁として大丈夫なのか」と心配した時があった。
  • イントネーションは「空」ではなく、「天」らしい(ラジオで甲斐田ゆきが前者のイントネーションで呼んでいたとき、収録の見学に来ていた原作者にツッコまれたとのこと)。
十二神将の一人。土将。大陸の官人服に似た服を纏っている。青磁の髪に紫苑の双眸、左目の際には銀の飾りをつけている。普段はあまり姿を見せないが、昌浩が幼い頃は成親のそばに控えていたことが多かった。穏やかな性格をしていて、誰に対しても丁寧な口調で話す。昌親に弓を教えたのは彼であり、口調も彼に影響されたようだ。普段は天空と共に異界に留まっている。
短編集2巻で初めて容貌が明かされてから、次巻珂神編1巻のあとがき人気投票で堂々の三位となる。その後「ザ・ビーンズVOL.6」で行われた人気投票が「ザ・ビーンズVOL.7」で発表され、そこでも上位の七位に躍り出り、人気が高いのが伺える。しかし、容貌が女性的であったため、「男か女か」という質問がぽろぽろきたらしい。ちなみに、そのことについては結城光流本人が「男です」と苦笑しながらも断言していた。また、顕現するまでは十二神将は男女比率が平等と考えていたファンもいるらしく、太裳を女性だと思っていた人も少なくない。

[編集] 陰陽寮・その他

右大弁と蔵人頭を兼ねていて、左大臣道長の信頼も厚い出世頭。昌浩の加冠役で後見人もしていて、温厚で頼りになるという非常にできた人。敏次とは縁戚関係であるため、赤子の時から知っている。敏次が欠勤続きの昌浩に対して一時期いやみ攻撃を仕掛けていたときも、昌浩には理由があって仕事を休んだのだということをきちんと理解して何も問い詰めなかった。このような事もあってか、もっくんが身内以外で大変気に入っている人物でもあり「盛大に飲もう」とまで言わしめた人。成親の妻とは幼馴染の間柄らしく、番外編にて、彼女の結婚話でいろいろと相談や悩みを打ち明けられていた。
  • 藤原敏次(ふじわらの としつぐ)(声優:福山潤
陰陽生の中でも筆頭の実力を持っている青年で昌浩の3つ上の先輩。厳しい修行を重ねて退魔の力を得るが「見鬼の才」は持っていない。生真面目だが、融通がきかないのが玉にキズな人で一時期、昌浩に嫌味攻撃を仕掛けていた。しかし最近は昌浩が真面目に仕事をこなすので、気を配ったりなど世話を焼いたりして以前のような印象は持っていないようである。「風音編」第1巻で、自分を身を挺して守ってくれた天一に想いを寄せるようになる。だが、名前を知らないため、天一を「天女の君」と呼んでいる。しかし、天一に懸想していることが朱雀に知られ、一度彼に殴られたこともある。嫌味攻撃を仕掛けていたせいで、もっくんからは非常に嫌われており、昌浩に対する態度を軟化させてもことあるごとに蹴りやら大人気ないイタズラなどを入れられているというなんとも哀れな人。愛称とっしー。相を見る力に長けており、過去に二度ほど昌浩の相を見て見事言い当てた。
  • 藤原章子(ふじわらの しょうこ)
彰子と同い年の異母姉妹で、母親は違うものの声も顔も瓜二つである(なんと、誕生日も彰子と同じ)。彰子の身代わりとして入内したが、『章子』ではなく『彰子』として過ごす宮廷生活に苦しみ、疲れている。自分の正体を知っていながら、助けてくれた昌浩に想いを寄せる。そして、外見では不健康というわけでもなく、入内しても問題なさそうな彰子が昌浩と共にいるのを見て、強い嫉妬と怒りに駆られる。その感情を天狐(凌壽)につけいられて襲われるが、昌浩に助けられると同時に、彼への思いを断ち切った。そして『笙の笛に似つかわしい声に似合う呼び名を』と、漢字こそ違うが『彰子(しょうこ)』と呼んでくれた心優しき一条天皇と人生を歩むこととなる。外見は彰子と瓜二つだが、彰子とは違って「見鬼」の力は持っていない。
  • 高淤の神(たかおのかみ)(声優:田中敦子
貴船の祭神。正式な名前は高龗神(たかおかみのかみ)。都の北方守護を司る天津神で、日本において五本の指に入る程の神格を持つ。しかし一時期「窮奇」に封じられていた。自身の封印を解き放った昌浩をいたく気に入っており、時折昌浩に憑依しては情報を与えたり、力を貸したりと気まぐれながらも大盤振る舞いを見せる。天狐の晶霞は数少ない友人の一人。いつもは人の姿を借りて降臨することが多いが、本性は巨大な白銀の龍神で、道反大神の姉。 昌浩には自分を高淤(たかお)と呼ぶことを許している。
  • 雑鬼(ざっき)猿鬼(えんき)(声優:伊丸岡篤)・一つ鬼(ひとつき)(声優:大黒優美子)・竜鬼(たつき)(声優:寺田はるひ
都に住んでいるイタズラ好きな妖怪たち。毎晩、夜警に出ている昌浩を見つけては仲間達で「孫!」と呼びかけ、昌浩を潰していく(しかも、「これから帰ろうか。」という所を狙ったように潰しに来る)というやんちゃもの(これを一日一潰れという)。
もっくんや他の神将達は、いつも潰れを回避している(昌浩が見鬼の才を失った時には「見えないやつを潰すのは仁義が通らない」と言ってもっくんを潰した)。
名前を持った3匹は『お姫』こと彰子に名前をつけてもらった。妖怪の血が流れているが陰陽師である昌浩に妖怪退治を頼んだり、人間の作る餅をねだったりとどこか妖怪らしくない妖怪。割とひょうきんではあるが、番外編では正月の間、姿を隠さなくてはいけなくなった彰子のために無人の邸を昌浩と一緒に掃除したりと、気前はいいほうである。通称ざっきーズ。
  • 車之輔(くるまのすけ)(声優:小西克幸
昌浩の式となった車の妖怪。見てくれは大きいものの、気が弱くて優しい性格をしており、初めて出会ったときはもっくんに「しゃきっとしろ、しゃきっと!!」などど逆に喝を入れられたことも。
夜歩きが趣味で、いつものように夜の都を散歩していると、同じくいつものように夜警に出ていた昌浩とたまたま遭遇して驚いて逃げてしまい、昌浩も条件反射でそれを追いかけてしまったことから知り合いに。番外編第1巻で(本編の時期では窮奇編の中盤あたり)いつも乗せてくれるから、そのお礼として自分の式にならないか、という昌浩の誘いで昌浩の式となる。
昌浩のことをいつも気にかけており、天狐編にて見鬼の才を失ってしまった昌浩が道反の丸玉(ちがえしのがんぎょく)の力によって、また見鬼の才を取り戻した時には感動して泣いてしまったこともある。
  • 冥府の官吏(めいふのかんり)(声優:谷山紀章
三途の川の警護をしている官吏。その正体は同作者の作品「篁破幻草子」の主人公「小野篁」その人。川岸に留まり晴明を待つことを決め、頑として川を渡らなかった若菜の強情さを気に入り、冥府の理を曲げて、彼女の願いをかなえる。その代わりに年の瀬に現世に帰ることを禁止した。ほかにも、若菜が昌浩を現世に帰したり、彷徨って川岸にまで来てしまった晴明を現世に帰すところを見てみぬふりをするなど、わりといい人。何気に読者からの人気は高いようだ。

[編集] 外伝を含むその他

  • 化けミミズ(仮名)(ばけみみず)
八尺もある大きな口を持ち、地中を泳ぐように進んで地面の下から人や牛車を襲う。昌浩がまだ見鬼を取り戻してない頃に、晴明が自分の代わりに調伏させた妖怪で昌浩にとっては初仕事。妖怪の見えない昌浩はかなり苦戦するもの、紅蓮の力を借りて調伏させた。
  • 大髑髏(おおどくろ)
都のとあるあばら家に巣食っていた妖怪で、無数の怨霊の集合体で大きな髑髏の形を取ったもの。昌浩が始めて紅蓮の力を借りずに祓った妖怪らしいが、髑髏から逃げ回っている時の騒ぎで家の柱をあらかた折ってしまい、調伏直後にあばら家を倒壊させてしまう。
  • 朧車(おぼろぐるま)
毎夜都の路を疾走して貴族の牛車を跳ね飛ばすほため依頼を受けた晴明が調伏を命じただけではなく、藤原行成を襲い、物の怪を跳ね飛ばし、昌浩を嘲笑して去っていくという所業に怒り心頭の昌浩が退治を固く決意。横倒しになっても跳ね起きたり、半回転方向転換など機敏な動きに苦戦するも、車之輔の力を借りて調伏に成功する。
  • 琴宮の姫(ことみやのひめ)
  • 笛竹の君(ふえたけのきみ)
  • 付喪神のおんじ
欠けたが長い時をかけて意志を持った妖。雑鬼の中では年長者で、数百年の時を生きている物知り。雑鬼仲間に「おんじ」と呼ばれる事もある。笛竹の君と琴宮の姫の因縁を昌浩達に語る。
  • 玄の幻妖
夜な夜な東三條殿に現れては、左大臣道長の息子鶴(たづ)を襲おうとする妖。その正体は、鶴に怪我をさせられた少納言矩忠の息子克時の心の闇に怪僧丞按がつけこみ、それを妖として具現化させたもので克時の心の一部でもある。昌親の縛魂術に捕まった所を昌浩によって浄化され、無事に克時の元へ戻る。
本来は山に住む妖だが、ある時人間を食べてからは人間の、特に赤子の肉を好むようになって毎夜昌親の娘を襲おうとした妖。体躯は一丈とかなり巨大で、その割に俊敏。六合の槍を避けられるほど素早いが、紅蓮の八つ当たり気味の焔蛇によって炭と化す。
原作では、昌親の娘を襲ったが、アニメ版では成親の娘を襲った。
  • 鬼女(きじょ)
毎夜少納言靖遠(やすとお)を襲い、その形相には昌浩も足がすくんでしまった。実はただの鬼女ではなく、靖遠が酒に酔った勢いで破壊した社の神が報復のために放った式。そうとは知らない昌浩が鬼女に術を放ってしまったために、昌浩も報復対象となるが高淤の神と仲介によって難を逃れる。

[編集] 窮奇編

異邦の大妖怪。九尾の狐との戦いに敗れて、配下と共に日本へと逃げ延びてきた。自身の霊力を回復させるために高い霊力を持つ彰子を狙い、昌浩と対峙する。自身の力を回復するためには配下すら取り込んでしまうほどの残虐性を持つ。
窮奇の配下。
窮奇の配下。
  • 傲咽(ごうえつ)(声優:福原耕平)
窮奇の配下。 長く白い体毛を持ち、4本角の牛のような姿をしている。
窮奇の配下。昌浩の夢の中で彰子を狙っていた妖怪。
  • 挙父(きょほ)
窮奇の配下。猿のような姿をしている。雑鬼の情報を受けて右京のあばら家にやってきた昌浩達を襲撃する。挙父を通して窮奇の妖気を受けて苦しむ昌浩を嘲笑し、激昂した紅蓮に瞬殺される。
  • 土螻(どろう)
窮奇の配下。のような姿に、尖った四本の角を持つ。窮奇と決着をつけるために巨椋池にやってきた昌浩達を迎え撃つが、紅蓮と六合によって全滅する。
  • 藤原圭子(ふじわらの けいこ) (声優:伊藤静
彰子の遠縁で、同じく藤原の姫君。結婚を誓い合った男性を他の公家の姫に奪われ、悲しみのあまり床に伏せってしまう。その悲しみを窮奇の部下につけこまれ、彰子を捕らえるための道具にされてしまうが、呪詛が完成する直前に昌浩と晴明に救われる。

[編集] 風音編

二つの頭を持つ「嵬(かい)」という鴉を引き連れて、晴明と騰蛇に憎しみをぶつける女性術者。その霊力は晴明をもしのぎ、十二神将にも傷を負わせることのできる蟲毒(こどく)の太刀を持つ。実は道反の大神と道反の巫女の娘であり、50数年前に母である巫女と共に行方不明となってしまっていた。30年以上も氷の棺の中で眠り続け、目覚めた時には記憶すべてを失ってしまい、宗主に偽りを教えられ、彼の意のままに操られるようになってしまう。目覚めてから5年後、昌浩が3つのときに昌浩を殺そうと妖を放つが失敗し、かろうじて人の命を手にかけずに済む。
外見は二十歳に届くか届かないかぐらい。「風音編」における最大の敵ではあるが、宗主に操られている。「風音編」終盤で六合と心を通わせ、彼のもうひとつの名前を知るが、宗主の魔の手によりその命を落とす。
「風音編」後、彼女の亡骸は聖域の殯の宮に安置されていたが、魂だけは父である道反大神に願って勾玉に封印され、六合へと預けられる。その後、珂神編にて風音の宿体は敵に奪われてしまうが、六合が命がけで毒血の流れる川に飛び込み、宿体を取り戻すも霊力を使い果たし瀕死になる中、出雲に存在する比古神によりふたりは川から助けられ、勾玉の魂を宿体に戻された。ただし、本来の浄化期間より早く目覚めたためリスクを負う事となった。苦しめた騰蛇(もっくんの姿で)との対面を果たし、時をかけて、赦し合える日が来ることを誓い合う。その後十二神将が理を侵さずに済むよう、彼女自身も六合とともに戦いへと参戦する。
  • 道反の巫女(ちがえしのみこ)
道反の大神に仕える巫女で、大神の妻であり、風音の母。50数年前、清明と榎岦斎に聖域の異変について調べてほしいと願い出るが、彼女に心を奪われた岦斎に連れ去られ、黄泉の封印を守りきるも力尽き、呪縛のかかった氷の中で眠り続けていた。それから50数年後に晴明に呪縛を解かれ、眠りから覚める。風音が命を落としたことを知り、魂を勾玉に封印して、最も信頼できる場所として、六合に預けた。珂神編では再び訪れた聖域の異変で、再度晴明たちに助力を願う。
風音に付き添う双頭の鴉。本来頭は一つしかなかったが、宗主によって左側にもう一つ頭を植え付けられる。他の守護妖と同じく人語を操れるが、双頭となって以降、左の頭(宗主)の目があり言葉を発する事が出来なかった。宗主は左の頭を通して風音に言葉を伝えていた。
風音と同じ頃に生まれた道反の守護妖で、幼い頃から風音を見守っていた存在。道反の巫女と風音が行方不明となった50年もの間、彼も眠りにつかされ、目覚めた風音と行動を共にしていた。最後まで風音を守り、宗主の魔の手によりその命を落とすが、道反大神により黄泉に落ちた魂を救われ、蘇生することができた。
道反の聖域を守る存在で、大蜘蛛、百足、蜥蜴、嵬のこと。体躯は嵬以外は巨大ではあるが、優しい性格をしている(身内限定だが)。高於の神とも古い知り合い。何度か昌浩の前に姿を現し、来るべき災厄についての助言などを与えていた。
それぞれに名前があるのだが、この名前は道反の大神が与えた名前であり、大神以外は口にすることは許されていない。ただし、嵬だけは巫女がつけた名前。
三匹にはそれぞれ「崟(ぎん)(おそらく蜥蜴)」・「崒(すい)(おそらく百足)」・「巌(げん)(大蜘蛛)」という名前がある。
大蜘蛛の名前は道反の大神だけでなく、風音も知っている。大蜘蛛は風音にも呼んでもらいたいということで、教えたという(ちなみに巫女に呼ばれるのは恐れ多いらしいので教えてはいない)。
「風音編」で、大蜘蛛は風音が開いた黄泉の瘴穴を命がけで封じ込め一度命を落としてしまう。しかし、後に道反大神によって、無事に復活を遂げる。
風音と相思相愛である六合のことが気に食わないらしく、六合は守護妖達から殺気に近い眼差しを受けたこともある。
「風音編」のみ登場。晴明の友人で陰陽師。四国出身。
50数年前道反の聖域に晴明と共に向かった際、道反の巫女に心を奪われる。恋焦がれる余り黄泉の封印を砕こうとする智鋪の宗主の言葉に耳を貸してしまい、巫女を聖域から連れ出した上、瘴穴を穿ってしまう。
縛魂の術」という心を操る術を得意とし、騰蛇をこの術で操り、十二神将の理を侵させた人物。後に彼は騰蛇の手により命を奪われる。体はそのまま宗主の器にされてしまっていた。また彼の胸の肉は守護妖の嵬に埋め込まれ、双頭の鴉の左の頭として嵬を見張るとともに宗主の言葉を風音に伝える。
  • 智鋪の宗主(ちしきのそうしゅ)(声優:中尾隆聖
「風音編」のみ登場。「智鋪の宮司」ともいう。智鋪は道敷(ちしき)につながり、黄泉の国の神を示す。智鋪地神(ちしきのちのかみ)を崇め、地上を根の国の属国にすることが目的。人の心を操り現世に瘴穴を開かせる。
50数年前にも黄泉の封印を破ろうとした人物。その時は、晴明に追い詰めれられて崖から転落し死んだと思われていたが、依り代としていた体が壊れただけ。死人となった岦斎の体に憑依し直した。
道反の巫女を封じ込め、風音を操って晴明と騰蛇を狙うとともに再び黄泉の封印を解こうと目論むが、風音の死に激昂した六合の銀槍によって倒される。
  • 穂積諸尚(ほづみのもろなお)
風音の蛇血の反魂術によって黄泉から呼び戻された怨霊。策略によって自分を大宰府に左遷した行成の祖父を深く恨んでおり、かつての祖父と同じ蔵人頭となった行成を襲う。たまたま遭遇した藤原敏次に憑依して怨呪の玉を持ち出し行成呪殺を目論むが、昌浩によって倒される。
  • 防人(さきもり)
穂積諸尚を蘇らせるため行った風音の反魂術の余波を受けて現世に呼び戻される。何百年前も前に防人の任について帰郷を果たすことなく大宰府で死んだ男の魂で、再び黄泉に送り返そうとする風音に追われていたが、高淤の神の計らい(策略?)によって昌浩の身の内にかくまわれる。最後は昌浩の送魂によって、家族との再会を果たし浄化される。
  • 百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)
黄泉の風の受けて妖達が変質した異形。生きている者の霊力や生命力を吸い取る。山椒魚に似た姿をしており、どろどろとした表面は昌浩の術も紅蓮の焔も通用しない。
  • 屍鬼(しき)
風音が縛魂の術を使うとの同時に紅蓮に身のうちに入り込ませた黄泉の鬼。生きている者の命の灯火を嫌い、嬲り殺す事を楽しむ。昌宏に瀕死の重傷を負わせるものの、紅蓮の血で千引磐を砕く直前に昌浩によって倒される。
  • 黄泉の鬼(よみのおに)
智識の宗主が晴明以下神将達との戦闘中に召喚した鬼。風音の死に激昂した六合の苛烈な神気で崩れ去る。

[編集] 天狐編

神にも通ずると言われる妖怪・天孤(てんこ)。少女のような外見だが、内に秘めた能力は相当なもので、一族最強と謳われていた。弟である凌壽から狙われている。高淤とは古くからの親友。
実は晴明の母親。凌壽が九尾と手を組み、他の仲間達を襲った時に、自らも深手を負わされる。両親に命と引き換えに助け出され、命からがら海を超えて、都へとやってきた。倒れていたところを夫となる人間の男性に救われ、晴明を授かる。晴明を凌壽から守る為、長年姿を消し、あちこちを転々としながら身を潜めていた。
最後は凌壽を倒すという目的を果たしたため、晴明の延命のために自らの天珠を授け高淤の神に最期の言葉として「晴明に母と呼ばれた」と言い満足しながら土へと還っていく。
漆黒の髪をもつ天孤族の末裔。一族を裏切り、九尾に手を貸した。晴明のおじにあたる。また、天狐族には見られない漆黒の髪と目をしている。
安穏とした天狐族の生活を嫌い、九尾の軍門にくだり、天狐族を襲わせた。
姉である晶霞の天珠を狙い、晴明たちを使って晶霞をおびき寄せる。最後には晶霞によって、小椋池にて倒される。
  • 丞按(じょうあん)(声優:不明)
凌壽に手を貸す謎の怪僧。その正体は、藤原の一族に使えていたとある術師一族の生き残り。幼い頃に自らを残して滅ぼされた一族の敵を討つため、藤原一族に復讐しようと目論む。初登場は天狐編からだが、実は天狐本編前に短編集第2巻の「玄の幻妖を討て」にて登場しており、昌浩ともその折に対峙している。
名前である「丞按」というのは自らの名前ではなく、幼くして殺された自分の弟妹の名前を組み合わせたもの。彼本人の名前は捨てたため、本名は不明。
一族が長い間封印していた妖怪の力を自らに取り込んだため、十二神将すらも押さえ込めてしまうほどの力を有している。
凌壽と手を組んでいるが、彼とは仲間というわけではなく、利害が一致しているだけで敵対している。
  • 傲狼(ごうろう)
記憶を遡らせる事ができ、人々の諍いを楽しむ異邦の妖異。かつて晶霞によって封じ込められるが、晶霞をおびき出す駒として凌濤が解放する。海を根城として配下の妖獣に村を襲わせる。紅蓮と対峙した折に、紅蓮の隙を付いて記憶を遡らせるが返り討ちにあって重傷を負い、何とか逃れるものの晶霞によって止めを刺される。
  • 羅刹(らせつ)
翼を広げると三丈にもなる巨大な黒鳥で、腹部が異様に膨れ上がった鶴のような姿をしている。羅刹鳥とも言う。自身より一回り小さい雛鳥を多数放って使役し、羅刹自身はあまり表には出てこない。丞按の一族が甕に封じて大陸に持ち込んだ妖怪で、惨殺された一族の復讐の為に丞按が体内に取り込んだ。後に、中宮彰子を取り込んで藤原一族を襲うが十二神将に阻まれて昌浩と紅蓮に倒される。

[編集] 珂神編

  • 珂神比古(かがみひこ)
「珂神編」で登場。八岐大蛇(やまたのおろち)の力を借りてこの国の王となろうとする一族の長の名。『珂神比古』というのは代々の長が継ぐ名であり、本当の名前ではない。
彼自身の本名は「比古」。しかし、その名前を真鉄が呼んでしまったために、今まで不完全な長と真赭に思われていた。
川に流されていた昌浩を助けるが、後に敵同士として再会することになる。
本心では八岐大蛇や荒魂(あらみたま)に恐怖心を抱いており、今回の事態に迷いを感じている。それを昌浩に悟られ、本心をさらすことになる。
その後、荒魂を止めようとして一度昌浩達と別れたが、何者かに殺されたもゆらの亡骸を目の当たりにし、もゆらの亡骸に勾陣の筆架叉が刺さっていたことが引き金となり、遂に『八岐大蛇荒魂の九番目の頭、珂神比古』となってしまう。
  • たゆら
「珂神編」で登場。黒い毛並みを持つ狼。もゆらの兄。もゆらと違ってしっかりしているが、もゆらが殺されたことにより変貌してしまった珂神と、もゆらの死をなんとも思っていない母に対して、このまま従うことが最良なのかと不信感を抱き始める。その後、魂となって、たゆらの体の中に入り込んだもゆらと言葉を交わしたことにより、贄としてつれてこられた彰子と共に逃亡を図る。
  • もゆら
「珂神編」で登場。白い毛並みを持つ狼。甘えん坊な性格で、珂神に対して親友のように振舞うため、たゆらや真赭、真鉄からしょっちゅう怒られている。彰子をさらうが仲が良くなる。しかし何者かに襲われ、命を落とす。彼の亡骸を目にした珂神比古は変貌してしまう。その後、魂だけは人知れずたゆらの体へと入り込んでいた。
自分を見つけた彰子を介してたゆらと言葉を交わし、たゆらと彰子に逃げるように促す。そしてもゆら自身は、不明確ではあるが誰に殺されてしまったのかはわかっているらしい。
  • 真鉄(まがね)
「珂神編」で登場。たゆら、もゆらと共に道反の聖域を襲い、呪物とされる八岐大蛇の鱗と風音の亡骸を奪った術師。離魂の術を用いて風音の亡骸のなかに自分の魂を定着させた。晴明が張った結界や術を簡単に破るほどの力を持っている。珂神が生まれるまでは、彼が次代の一族の長であるとされていたのだが、珂神が生まれたあとは、彼に付き従うようになった。
珂神の両親と彼の両親は付き合いが深く、珂神の母からは深い信頼を得ていて、珂神の本名を唯一知っていた人物。しかし、数年前にその名前を呼んでしまったために、もゆらの死を目の当たりにするまで、比古は名ばかりの「珂神比古」のままであった。
  • 真赭(ますほ)
たゆらともゆらの母親。赤い毛並みを持つ狼。自他共に厳しい性格。魑魅(すだま)を作る力を持っている。
以前は比古の両親に仕えていて、特に比古の母とはとても仲がよく、比古の母と真赭の懐妊時期も一緒だった。忠誠心が強く、「王に従っていれば何も間違いはない」とまで断言できるほど強かった。また、比古の母からは聞かされていなかったが、王から比古の本名を教えられていたと思われる。
珂神編の中ではかなり冷酷で、もゆらのことも「死んだことでようやく役に立った」と冷酷な言葉を投げつける。覚醒前の珂神比古のことも「不完全なできそこない」と思っていた。

[編集] 翼よいま、天(そら)に還れ

[編集] ゲームオリジナルキャラクター

  • 鳴蛇(めいだ)(声優:速水奨
異国から渡来してきた青年。冷静沈着かつ、普段は穏やかな物腰だが、内面には冷酷さを秘めている。
同じく異国から渡来。寡黙で慎重な性格。また、どこか儚げな雰囲気を持つ。
鳴蛇、越影と共に異国から渡来。感情の起伏が激しく、考えるよりも体を動かす方が好きな性格。また、自分の気に入った者には面倒見の良い面を見せる。

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