川村二郎
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川村二郎（かわむら じろう、1928年1月28日 - ）は、愛知県出身のドイツ文学者、文芸評論家。
ブロッホ、ムージルなどの翻訳の一方、「保田與重郎論」（1966年）で文藝評論家としてデビュー。1969年、『限界の文学』で亀井勝一郎賞受賞、また近世文藝や前近代的な近代作家を論じた『銀河と地獄』（1973年）で芸術選奨新人賞、『内田百 論』（1983年）で読売文学賞、『アレゴリーの織物』で伊藤整文学賞受賞。1996年、紫綬褒章受章、1999年、日本芸術院賞受賞、2005年より日本芸術院会員。
『内部の季節の豊穣』では内向の世代を論じ、独文科の後輩である古井由吉を援護、また池内紀との共著、都立大の同僚だった篠田一士との共訳などもあり、幅広く目配りをしつつ、幻想的な文学を中心に評論活動を行った。民俗学にも関心が深く、定年以後は紀行文も目立つ。説経節、浄瑠璃などの語り物文藝から、『南総里見八犬伝』も論じ、特に泉鏡花を愛好したが、幸田露伴の『幻談』などの再評価にも一役かった。また吉行淳之介、中上健次も高く評価した。
朝日新聞記者の川村二郎は同名異人。
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[編集] 著書
[編集] 単著
- 限界の文学 河出書房新社, 1969
- 幻視と変奏 新潮社, 1971
- 銀河と地獄--幻想文学論 講談社, 1973 （のち学術文庫）
- 懐古のトポス 河出書房新社, 1975
- チャンドスの城 講談社, 1976
- 内部の季節の豊穣 小沢書店, 1978
- 感覚の鏡-- 吉行淳之介論 講談社, 1979
- 文学の生理 文芸時評1973～1976 小沢書店, 1979
- 黙示録と牧歌 集英社, 1979
- 語り物の宇宙 講談社, 1981 （のち文芸文庫）
- 内田百間論 福武書店, 1983
- 古典を読む 里見八犬伝 岩波書店, 1984 （のち同時代ライブラリー）
- 日本廻国記一宮巡歴 河出書房新社, 1987 （のち講談社文芸文庫）
- 文芸時評 河出書房新社, 1988
- 白夜の廻廊 世紀末文学逍遥 岩波書店, 1988
- アレゴリーの織物 講談社, 1991
- 日本文学往還 福武書店, 1993
- 神々の魅惑―旅のレリギオ 小沢書店, 1994
- 幻談の地平―露伴・鏡花その他 小沢書店, 1994
- 河内幻視行 トレヴィル, 1994
- 和泉式部幻想 河出書房新社, 1996
- 伊勢の闇から 講談社, 1997
- 白山の水--鏡花をめぐる 講談社, 2000
- イロニアの大和 講談社, 2003
[編集] 共著
- 日本語の世界 翻訳の日本語、池内紀、中央公論社 1981（のち中公文庫）
[編集] 翻訳
- ヴィーヘルト童話集 まずしい子らのクリスマス 白水社、1962
- 複製技術時代の芸術 ベンヤミン 紀伊国屋書店、1965
- ミメーシス ヨーロッパ文学における現実描写 エーリヒ・アウエルバッハ（篠田一士）筑摩書房 1967-69（のちちくま学芸文庫）
- 楽興の時 アドルノ（三光長治）白水社 1969
- 三人の女 ロベルト・ムーシル 河出書房新社 1971
- エンツェンスベルガー全詩集 （種村季弘,飯吉光夫）人文書院 1971
- ジンメル著作集 芸術の哲学 白水社 1975
- ドイツ悲劇の根源 ベンヤミン（三城満嬉）法政大学出版局 1975
- 河出世界文学全集 ブッデンブローク家の人々 トーマス・マン 1989
- ヨーロッパ文学評論集 E・R・クルツィウスみすず書房 1991
- ホフマンスタール詩集 小沢書店, 1994
- ヘルダーリン詩集 岩波文庫, 2002
[編集] 記念論集
- プリスマ 川村二郎をめぐる変奏 川村二郎先生退職記念文集刊行会編、小沢書店 1991
