建築確認申請
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
法令情報に関する注意:この項目は特に記述がない限り、日本の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律の専門家にご相談下さい。免責事項もお読み下さい。 |
建築確認申請(けんちくかくにんしんせい)は、建築基準法 第6条、第6条の2、第6条の3に基づく申請行為。
法に定められた建築物を、あるいは地域で、建築しようとする場合、建築主は申請書により建築確認を受けて、確認済証の交付を受けなければ建築することができない。ただし、建築確認は特定行政庁等が行う許可等とは性質が異なり、これから建てようとする建築物が建築基準法令をはじめとした建築基準関係規定について適合するかどうかを機械的に確認する作業に過ぎない。したがって建築主事に裁量権はない。
目次 |
[編集] 実際の流れ
申請(提出)をして確認を受ける先は、建築主事(あるいは民間の指定確認検査機関)である。
また、消防法により定められた防火対象物である場合は、消防長による確認前の同意が必要であり、各地域の取決めによって申請書が送られる。この場合、消防設備等に関する書類の添付も求められる。
その他、建築行為に関連する各種法令手続(許可)を全て終えた後でなければ、申請の受付はされない。
[編集] 申請に必要な図書
法規(建築基準法)を満足する内容を示した、仕様書や工法に対する認定書、設計図、付近見取図などの図面。また、各構造に対して一定の面積や階数以上の建物の場合、地震などに対する安全性の計算を記した、構造計算書が必要である。
これらの設計図書の作成は、一定の小規模建築物を除いて建築士しか行なうことができない(建築士法)。または、それを業務とする場合、建築士事務所登録をした者でなければならない。
- これらはあくまでも「確認申請に必要な設計図書」ということであり、「設計」とは別儀である。例えば申請上、構造計算書の添付の必要のない建築物であっても設計段階において構造計算が必要とされる場合もあり、また、申請の不要な建築物であっても建築基準関係規定を遵守した設計が行なわなければならない。なお、その場合も設計行為は一定の小規模建築物を除いて建築士の専業である。
[編集] 申請代理
建築士は建築主の委任を受け、申請の代理者となって申請手続をすることができる。
- 実際のところは、建築主の依頼を受けた建築工事を担当する施工者(建設会社)が、社内の建築士事務所によって申請することが多い(設計施工)。しかし、設計(さらに工事監理)が建築主の利益を真に代弁するものである為には、施工者とは独立した建築士事務所によることが理想である(設計施工分離)。特に工事監理を誰に委託するかということは重要である。
- ただ、大手ハウスメーカーや、ゼネコンの設計部に限らずビルダーと言われる施工者においても、設計に関する研究が熱心なところもあるし、独自の工法を活かした建築等においては必ずしも分離が有益であるとは言えない。また、そもそも独立建築士事務所に信頼がなければ成り立たない。要は建築主と施工者の信頼、あるいはコンプライアンスの問題とも言える。
[編集] FD申請(申請のIT化)
[編集] 建築基準法引用
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
- 一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
- 二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
- 三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
- 四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは準都市計画区域(市町村長が市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の意見を聴いて指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。
3 建築主事は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が建築士法第三条 から第三条の三 までの規定に違反するときは、当該申請書を受理することができない。
4 建築主事は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から二十一日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。
5 建築主事は、前項の場合において、申請に係る計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は申請書の記載によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期限内に当該申請者に交付しなければならない。
6 第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。
7 第一項の規定による確認の申請書、同項の確認済証及び第五項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 建築設計 | 建築関連のスタブ項目