徳川吉通

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徳川吉通（とくがわ　よしみち、1689年 10月29日（元禄2年9月17日） - 1713年 9月15日（正徳3年7月26日））は、尾張国尾張藩の第4代藩主。第3代藩主・徳川綱誠の九男。幼名は藪太郎、吉郎、五郎太。字は子中。官位は従三位。権中納言。

元禄12年（1699年）、父の綱誠が48歳で急死したため、その後を継いで藩主となった。時に11歳。若年のため、叔父の松平義行が藩政を補佐した。

武術、儒学、神道を修め、尾張柳生九世を継承。木曾林政の改革に挑むなど、名君の評価が高かった。一方で、「鸚鵡籠中記」などには大酒、大食など暗君ぶりも伝えられている。

正徳2年（1712年）、時の将軍徳川家宣は死の一か月ほど前、新井白石を病床の枕元に呼び後継について相談した。「天下のことは私すべきではない。跡継ぎが無くはないが、幼いものを立てて世を騒がしくした例も多い。そこで余の跡は尾張の吉通殿に譲ってはどうか。ないしは鍋松（徳川家継）に継がせておき、尾張殿を西の丸に入れて後見とし、政治を任せるか。どちらがよいであろうか」

白石は即座に答た。「ご立派なご配慮ではございますが、どちらも必ずしも適切とは存じませぬ。お跡継ぎが二、三に分れたときの派閥の争いが世を騒がせました例は、不幸にも過去に繰返されて参りました。上様（家宣）のお世継ぎに鍋松君がおありなのに尾張様の名があがれば、心無く二た手に動きだす者もできて参りましょう。御三家をはじめ御一門の方々、譜代の御家来がかくお揃いのうえ、守り立てますれば、若君が御代を継がれまして何のご懸念がありましょうか」

「幼い者（家継）に万一のことがあれば」

「その為に神君（徳川家康）は、御三家をお立てになりました」

こうして一時は将軍継嗣にまで考えられた吉通であったが、家宣の死の翌年の正徳3（1713年）、25歳の若さで死去してしまい、家督は彼の幼児・徳川五郎太が継いだ。

[編集] 官職位階履歴

※日付＝旧暦

1693年（元禄6）4月、幼名を五郎太と改める。それまでは、吉郎を称する。
1695年（元禄8）8月25日、苗字を徳川と称する。それまでは、松平を称する。12月4日、将軍徳川綱吉の名を一字賜り、吉通と名乗り、従四位下に叙し、右兵衛督に任官。
1699年（元禄12）7月11日、尾張国名古屋藩主となる。8月13日、従三位に昇叙し、右近衛権中将に遷任する。
1701年（元禄14）12月11日、参議に補任。
1704年（宝永1元）11月28日、権中納言に転任。
1713年（正徳3）7月26日、薨去。法名：圓覺院賢譽知紹源立。墓所：名古屋市東区筒井の徳興山建中寺。