心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
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通称・略称 | 医療観察法・心神喪失者(等)医療観察法 |
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法令番号 | 平成15年7月16日法律第110号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 法律 |
主な内容 | 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行い無罪等になった精神障害者に対する審判手続を定める法律 |
関連法令 | 刑法・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律など |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(しんしんそうしつとうのじょうたいでじゅうだいなたがいこういをおこなったもののいりょうおよびかんさつとうにかんするほうりつ)は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為(他人に害を及ぼす行為)を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的」(第1条第1項)として2003年(平成15年)に制定され、2005年に施行された日本の法律である。心神喪失者(等)医療観察法、医療観察法と略称される。
目次 |
[編集] 立法の経緯
重大な他害行為(殺人、重大な傷害、強盗、強姦、放火)を行ったとされ、心神喪失により不起訴または無罪判決となった場合、従来は措置入院制度の適用が検討されてきた。しかし、措置入院制度は、症状によって他害のおそれがなくなった場合には、ただちに症状消退の届出をすることが義務づけられており、症状が出現してはすぐに消えるといった場合には対応できていなかった。大阪教育大附属池田小大量殺傷事件の元死刑囚に措置入院歴があった(のちに詐病で入院していたことが判明したが、本当に詐病であったのかについては異論もある)こともきっかけとなり、心神喪失で重大な他害行為を行った者については、裁判官と精神科医師による合議で審判を行い、処遇を決定するという制度および法律がつくられた。なお、この制度は日本で初めての参審制ともいわれる。
[編集] 処遇
処遇は、入院と通院に分けられており、保護観察所に配置された社会復帰調整官を中心に、医療観察を行う枠組みがつくられた。ただ、この制度によっても、精神障害者の犯罪では、十分に責任能力が検討されないままであるという問題が本質的に解決されたわけではない。また精神障害者が裁判を受ける(訴訟事実について争う)権利を奪うものだとの批判もある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 総務省法令データ提供システム
- 心神喪失者等医療観察法Q&A(法務省)
- 医療観察法の施行について(厚生労働省2004年10月15日付け資料)
- 心神喪失者等医療観察法の施行について(厚生労働省2005年7月19日付けpdf資料)