性別役割分業
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性別役割分業(せいべつやくわりぶんぎょう)とは、「男は仕事、女は家事・育児・買物」という考え方に代表される概念である。性別役割分担、性別役割配分ともいう。戦後、明治民法において制定された家制度が廃止され、高度経済成長期に、夫は仕事に出かけ妻は育児・家事・買物に専念して家庭づくりに励む、といった核家族のイメージが広く一般化した。
1960年代から1970年代にかけて既婚女性が専業主婦の立場である状態が大勢を占めており、性別役割分業が広まった。それは日本の工業化が原因のひとつであった。基本的に第二次産業ではブルーカラーが主な働き手であり、女性がそれに参加することは、事実上困難を伴っていた。
1980年代以降には脱工業化社会への変化とともに、ブルーカラーの軽作業化・経済のソフト化・頭脳労働化により、女性の社会進出(賃金労働者化)が可能な条件が整い、働く女性が増加してきた。そのため核家族の性別役割分業システムが問いなおされる契機のひとつとなった。共働きの増加により、夫婦間での役割(日本語の「ジェンダー・ロール」)が見直されつつあり、現代では男女共同参画を政府が進めている。
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[編集] 男女差別と性別役割分業
性別役割分業があること自体が、そのまま男女差別があることを指し示すものではない。たとえば男女平等が進んでいるスウェーデン・ノルウェー・デンマークなど北欧諸国すべてにおいて、徴兵制(義務兵役)を男性にのみ課しており、「男は前線、女は銃後」という価値観が保たれている(但し、スウェーデン、ノルウェー、は近い将来徴兵制の廃止を検討している。「徴兵制」参照)。現代において問題視されている性別役割分業は、必然性がない性的役割分業である。
[編集] 女性の社会進出と性別役割分業
女性の社会進出が進み、共働き家庭が増えた一方で、女性と男性の家事・育児時間は共働き家庭で4時間23分と11分と大きな差がある[1]。
[編集] 脚注
- ^ 『論争・少子化日本』(中公新書)p198