女性学
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女性学(じょせいがく、Women's studies)とは、男性中心の視点にとらわれた既存の学問のあり方を批判し、女性の視点から問い直す研究。新しい学際的な研究分野のひとつとされる。女性、フェミニズム、ジェンダーや性をめぐる政治学などをテーマとする。しばしば女性論、女性の歴史、社会史、女性の執筆した文学、女性の健康なども扱い、社会学から思想史、文芸評論、心理学までにまたがった人文科学的、社会科学的な研究が展開される。
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[編集] 女性学の歴史
女性学は、当初1960年代、フェミニズムの第一波が政治的な影響力をもったグループとして大学紛争の中で台頭してきた時に、他の学術領域からやや特記され区別されたかたちで登場し、1970年代に至り、多くの大学で女性学についての科目や講座が設けられるようになった。
そして1996年4月、城西国際大学が日本で最初の女性学専攻の大学院を開設した。
[編集] 女性学の近況
近年、性の受容、性の自己決定から男性と女性の性差と心的能力の違い、家族問題、雇用条件、女性のライフプランなどの問題がクローズアップされている。
[編集] 女性学への批判
性差と平等のジレンマに関する、女性学のイデオロギー的な側面についての批判や論争が発生している。また、女性学上での「家族」や「育児」に関する記述は、常にシニカルかつネガティブであり、これらを男性による女性の封じ込めとの否定的認識を示すことが多い。
また、公民館などにおいてカルト的な勧誘手法(フェミニズム講座であることを巧みに隠すなど)で専業主婦を集め、「働けイデオロギー」を刷り込んでいる、などの批判を受けている[1]。
[編集] 代表的な研究者・著述家
- 小倉千加子
- ケイト・ミレット(Kate Millett)
- グロリア・スタイネム
- シモーヌ・ド・ボーヴォワール
- カレン・ホルネイ
- 岩男寿美子
- 伊藤公雄 - 男性学の日本における先駆者
- 熊田一雄 - 男性学のニューウェーヴ
- 水田宗子 - 城西国際大学学長
- 上野千鶴子
- 江原由美子
- 大日向雅美
- 原ひろ子
- 深江誠子 - 平安女学院大学女性学研究センター長
- 水田珠枝
- 三井マリ子
- 渡辺真由子 - メディアジャーナリスト
[編集] 関連項目
- 男性学
- 女性史
- 男女同権
- 男女共同参画社会
- 世界女性会議
- 国際女性デー
- 女性参政権
- 女性政治家
- 現職女性政治家の一覧
- 男女雇用機会均等法
- 積極的差別是正措置
- 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約
- 女性差別
- セクシャルハラスメント
- ドメスティックバイオレンス
- ジェンダー
- ジェンダーフリー
- アンドレア・ドウォーキン
[編集] 参考文献
【女性学を研究する側】
- ヘレナ・ヒラータ、フランソワーズ・ラボリ、エレーヌ・ル=ドアレ、ダニエル・スノティエ共編『読む事典・女性学』(DICTIONNAIRE CRITIQUE DU FEMINISME)藤原書店 ISBN 4894342936
- 井上輝子、上野千鶴子、江原由美子、大沢真理、加納実紀代共編『岩波女性学事典』岩波書店 ISBN 4000802038
【女性学に否定的な側】
- 林道義『家族を蔑む人々 フェミニズムへの理論的批判』 PHP研究所 ISBN 4569622615
- 野村旗守『男女平等バカ―年間10兆円の血税をたれ流す、“男女共同参画” の怖い話!』 宝島社 ISBN 4796650407
- 渡部昇一『教育を救う保守の哲学 ― 教育思想 (イデオロギー) の禍毒から日本を守れ』 徳間書店 ISBN 4198616612