戦利艦
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戦利艦(せんりかん)とは、戦争期間中に鹵獲(ろかく。敵の兵器などを奪い取ること。)した軍艦、または戦争終結後に賠償として獲得した軍艦。前者を鹵獲艦、後者を賠償艦という。
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[編集] 概要
戦時国際法において、戦利品(敵国から奪って自国の所有にできる動産)は、敵国の国有財産に限られる。戦利品・鹵獲兵器の中では軍艦が最も大きく、経済的な面から見ても影響が大きい。そのため、戦利艦の扱いは、戦争中の戦闘においても、戦争後の交渉においても、重視された。
戦利艦を獲得する行動は古代からある。帆船時代の海戦時においては、鹵獲した敵艦を売り払った収入が艦隊乗組員に還元されるシステムであったため、敵艦の撃破したり沈没に追い込むのと同程度に重視されていた。近代以降の戦争期間中においては、機密保持のための自沈や、大損害を蒙って沈没するケースが多く、艦体を確保するのは困難である。そのため、鹵獲艦を得ることができれば、情報を得るうえでも、その価値は高いものとなっている。
また、戦利艦は、自国の海軍に編入し、直接的な戦力として利用する場合もある。このケースは戦争期間中、戦争終結後の両方の場合とも見られる。もっとも、敵艦は自国海軍との各種規格が異なることがあるため、必ずしも有効利用できたわけではない。
例えば、日清戦争後に日本が清より獲得した鎮遠などは、日露戦争にも使用されるなど、有効利用されたケースとなっているが、第二次世界大戦後に日本が賠償艦として手放した艦艇は、標的艦として処分されたり、スクラップとして解体されたものが多い。
[編集] 鹵獲艦
戦争期間中に鹵獲した敵艦については、単に敵国の戦力を減少させるのみにとどまらず、敵国の使用している暗号書の獲得、技術力に関する情報を得られ、味方の士気向上が望めるなど、その獲得には大きな影響があるが、鹵獲した敵艦に戦局を左右する重大な情報が発見された場合は徹底的に隠蔽されることもある。
例えば、アメリカ海軍は第二次世界大戦中にドイツ潜水艦U-505を鹵獲し、そこから暗号を始めとする多くの情報を引き出すことができた。
近代以降の戦争における鹵獲状況は多様であるが、洋上において鹵獲されるケース、港湾において停泊中に鹵獲されるケースなどがある。
[編集] 賠償艦
戦争後に戦利艦が得られる場合がある。これらは、戦争後に賠償の一部として戦勝国へ引き渡されるものである。戦艦などの大型艦艇が鹵獲される事はほとんどなかったが、賠償艦として引き渡されたケースがあった。第一次世界大戦後において、ドイツ海軍の大型艦艇はイギリスのスカパ・フローに集められていたが、賠償艦として連合国に引き渡されるのを防ぐために、集団で自沈したという事件もあった。
旧日本海軍の艦船で戦利艦として引き渡された長門は水爆実験クロスロード作戦の標的艦としてビキニ環礁にて沈没した。また雪風は中華民国に引き渡され彼の国の艦隊旗艦として活躍した。
[編集] 関連項目
- 戦争賠償
- 海軍戦利品取扱規程(明治37年達第56号)