戦闘警察
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戦闘警察(せんとうけいさつ)とは、大韓民国の警察において、主に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの潜入工作員の摘発、彼らによって引き起こされるテロ事案に対処するための武装警察官部隊。各道警察庁に配備されている機動隊員として、デモや暴動を鎮圧する警備任務も行う。略称は戦警(せんけい)。
[編集] 概要
警察部隊ではあるが、警察官による部隊ではない。一旦韓国陸軍に徴兵された兵士の中から選抜され、軍の施設で訓練を受けた後、警察官としての身分が付与される。階級も、一般の警察の階級とは異なり、軍に準じた階級である。一警、二警、上警など末尾に"警"が付く。
現在の戦闘警察は、従来の本業に当たる北朝鮮工作員の摘発を行う武装部隊作戦戦闘警察と、デモ鎮圧のための機動隊義務戦闘警察に分かれている。
韓国で、機動隊が軍からの出向になっている理由は、韓国警察においては"摘発"よりも"鎮圧"に重きを置かれていること、"鎮圧"のためには頭数が必要で、徴兵により軍に潤沢にいる青年を確保したいという思惑があるといわれる。話によると、徴兵された韓国の青年が一番忌避するのが、義務戦闘警察への配属と言われている(デモ現場での近接格闘が任務で、負傷が日常茶飯事、しかも失明や不随などで除隊を余儀なくされることが多いため)。
日本の機動隊が、まず放水から入るのに対し、戦闘警察は催涙弾から入るのが特徴。学生デモ隊が、戦闘警察に石や火炎瓶を投げていたら、つい先日まで学生デモに加わっていた先輩が戦闘警察にいたとの逸話もある。
作戦戦闘警察とは、準軍事作戦を担う武装部隊であり、日本の銃器対策部隊にあたる(ただし、人数は韓国の戦闘警察隊のほうがずっと多い)。特殊急襲部隊(SAT)のような特殊作戦を担う部隊ではない。韓国の警察には、戦闘警察とは別に特攻隊という特殊部隊が各道警察庁に編成されている。