扁平苔癬
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扁平苔癬(へんぺいたいせん、lichen planus)とは、角化亢進(錯角化、正角化)が見られ、棘細胞層の肥厚を伴う炎症性の角化病変である。皮膚やに栗粒大の扁平なスミレ色の丘疹が多発する。口腔粘膜ではレース状や網目状の白斑として現れ,定型的なものは両側頬粘膜にみられる。明らかな原因はわかっていないが、細菌やウィルスによる感染、薬物,歯科用金属アレルギー、ストレスなどが考えられている。
病変は上皮下結合組織には帯状にリンパ球(killer T cell)が浸潤し,基底細胞は、融解から消失まで種々の程度に障害され、上皮と結合組織の境界が不明瞭となる。上皮突起は不規則な鋸歯状となり,上皮表層は角化が亢進する。また、上皮細胞には、好酸性球状であるシバッテ小体(コロイド小体)などを認める。これらの組織像は遅延型過敏症や移植片対宿主病と類似している。
慢性に経過し,症状の軽快と増悪を繰り返す。診断には専門医による病理組織学検査が必要である。口腔粘膜に出来るものは稀に癌化することがあり,白板症との鑑別が必要である。口腔内の病変には金属アレルギーのパッチテストが行われる。皮膚病変は癌化しない。
苔癬とは一定範囲内での丘疹の集簇を意味する。湿疹に苔癬化という言葉があるが苔癬となるという意味ではなく、慢性炎症の結果、表皮が肥厚することであり、苔癬化は苔癬とは全く関係がない。
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