手話通訳
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手話通訳(しゅわつうやく)は音声言語・手話間、または異なる手話間を変換して通訳すること、またはその行為をする人(手話通訳者)の事をさす場合もある。
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[編集] 養成
[編集] 手話奉仕員・通訳者養成
[編集] 設置
[編集] 派遣
[編集] 認定
[編集] 厚生労働大臣認定の手話通訳士
厚生労働省が聴力障害者情報文化センターに実施を委託している「手話通訳技能認定試験」に合格し、聴力障害者情報文化センターに登録することで資格が得られる。 手話通訳士は業務独占ではなく、名称独占にとどまっており、この資格が無ければ通訳ができないというシーンは未だごく一部に限定されている。 厚生労働大臣認定の通訳士を持つ人は平成18年6月15日現在で1,546人。 「手話通訳技能認定試験」は平成元年から始まり、現在までの平均合格率は約10%となっている。
[編集] 都道府県認定の通訳者
都道府県所定の手話通訳養成講座を一定期間受講し、受験資格を得て受験する。認定手話通訳者になるには平均3年かかる。 現在では手話研修センターによる全国統一手話通訳者試験があり、その試験を合格したものを通訳者と認定している県もある。
[編集] 市町村の登録通訳者
手話通訳が必要な個人・団体に対し、手話通訳を派遣する制度(=手話通訳派遣事業)において、派遣される通訳者を(手話通訳者派遣事業)登録(手話)通訳者と称している。 1970年に当時の厚生省により手話奉仕員養成事業が始まって以降、手話通訳が公的保障されるべきとの理念と養成されたボランティアの技術の生かし場所としてのいわゆる「おとしどころ」という妥協の中で、都道府県、ならびに市町村で次々と制度が作られていった。2006年「障害者自立支援法」施行の中で手話通訳が地域生活支援事業のひとつとして正式に位置づけられた。今後市町村での制度拡充が期待される反面、定率負担という考え方が導入される恐れがある。この動きに対して全日本ろうあ連盟等関係団体が「聴覚障害者のコミュニケーションの権利を奪うものだ」として、従来の公的負担をしていくように求めている。 登録に試験を課している市町村もあるが、自己申請で登録できる市町村もある。 また、厚生労働省障害者社会参加促進事業の中で手話奉仕員の養成・派遣事業を行なっている地方自治体も多くある。しかし、技術的な面においては、手話通訳に程遠いものが多く、手話で1対1の会話ができる程度の技術として聴覚障害者には広く知られている。
[編集] 手話通訳者の倫理
手話通訳者の倫理を定めたものとして平成9年5月4日に日本手話通訳士協会が定めた7項目から成る「手話通訳士倫理綱領」がある。これには、人権擁護、聴覚障害者の主体的社会参加への支援、倫理観の遵守、守秘義務、技術及び知識の向上、人権侵害や反社会的目的への関与に関する注意、研究・実践への積極的参加について書かれている。 これらは手話通訳士の倫理としてあげられているが、ひいては全ての手話通訳に関わる人に当てはまり、遵守していくものであろう。
[編集] 職業病
- 頸肩腕症候群
- 手や腕、肩を酷使する手話通訳を長く続けていると、次第に手、腕、肩の部分が痛くなる。症状が進むと個々に症状は違いがあるが、腕が使えなくなり、めまい、立ちくらみ、眼精疲労、精神神経症的な症状等々が発症し、手話通訳が出来なくなってしまう。
- 頸肩腕症候群は長時間にわたる同一姿勢での作業で症状が誘発、悪化するため、職業病的要素をはらんでいる。
- 手話通訳者だけでなく、保育士、看護師、介護士、長期にわたるVDT作業をする人、ミシン縫製、アイロンがけ、コンサートの指揮者も患う職業病である。また、近年では手話講師を務めるろう者の間にも見受けられる。
- 予防策としては手話通訳を長時間続けない、適度に休みを取る、上肢への負担の軽減、作業環境の改善、精神的な緊張の緩和などがある。