振り仮名
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振り仮名(ふりがな)とは、文字、主に漢字に対してその読み方を示すためにその字の周りに添える文字のことをいう。活版印刷において基本的な本文の大きさであった五号格の活字の振り仮名に七号格の活字を用い、その別名がルビー Ruby であったため、印刷物の振り仮名をルビとも云う。
活版印刷の流れを享ける出版作業では、振り仮名の大きさは、振り仮名を添える(振る)対象の文字(親文字)の半分とする。本文中の漢字全てに振り仮名を振るものと、読者対象や書物の内容などから文字を選んで振るものとがある。
出板が盛んになると、読者層の広がりから、漢字の識字率が低い層でも読みやすいように補助として発生した。明治時代に入って、活版が盛んになっても、全ての漢字に振り仮名が振ってあったが、作家の山本有三が、「振り仮名がないと字が読めないようなのは恥ずかしいから振り仮名を全廃しよう、そして、振り仮名が無くとも読める字だけで書こう」と提言し、振り仮名入り活字などの費用を抑えられることから印刷所なども同調し、さらに、当用漢字表において振り仮名を使用しないこととされて使用が減った。しかし、のちに見直されて、よほど難しいものには振ったほうが良いとのことから、選んで振り仮名を振るものが主流となった。
漢語で記しておいて、振り仮名はその意味の和語によってするというものも多く見られた。