揚陸指揮艦
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揚陸指揮艦(ようりくしきかん)とは旗艦任務に特化して設計されている軍艦。主にアメリカ海軍が採用している艦種である。
海上における軍事行動においては、各艦・各部隊などにおける指揮・統制およびそれを可能にするための通信の確保は重要な問題である。特に水上艦船のほか、陸上部隊、航空部隊が交錯する揚陸戦においては、指揮・統制の徹底、通信の確保は作戦の成否の鍵を握る重要な問題である。
かつては、戦艦などの大型艦艇を旗艦としていたが、戦闘艦艇を旗艦にあてるのは、コスト面・運用面で不利があること、司令部人員の増大により、戦闘艦艇内の限られた司令部区画では手狭となったことにより指揮専用艦艇が用いられるようになった。
アメリカ海軍初の揚陸指揮艦・アパレイチアンは第二次世界大戦中の1943年に戦時標準船を改造して竣工している。主に対日戦に使用するためのものであった。重要防御対象であったために、大戦中はその存在自体が秘匿されていた。アパレイチアン級揚陸指揮艦は1970年代まで用いられ、その後はブルー・リッジ級揚陸指揮艦などに引き継がれた。なお、強襲揚陸艦の大型化に伴いタラワ級強襲揚陸艦、ワスプ級強襲揚陸艦は揚陸指揮艦任務を兼ねるようになっている。
ブルー・リッジ級揚陸指揮艦では、通信機能を重視し電波干渉を避けるため、広い平甲板を持った空母に似た船型を採用しているのが特徴である。
[編集] 揚陸指揮艦一覧
- アパレイチアン(USS Appalachian, AGC-1)
- ブルー・リッジ(USS Blue Ridge, AGC-2)
- ロッキー・マウント(USS Rocky Mount, AGC-3)
- アンコン(USS Ancon, AGC-4)
- カトクティン(USS Cactoctin, AGC-5)
- Duane (USS Duane, AGC-6)
- マウント・マッキンレー(USS Mount McKinley, AGC-7)
- マウント・オリンパス(USS Mount Olympus, AGC-8)
- ワサッチ(USS Wasatch, AGC-9)
- オバーン(USS Auburn, AGC-10)
- エルドラド(USS Eldorado, AGC-11)
- エステス(USS Estes, AGC-12)
- パナミント(USS Panamint, AGC-13)
- テトン(USS Teton, AGC-14)
- アディロンダック(USS Adirondack, AGC-15)
- ポコノ(USS Pocono, AGC-16)
- タコニック(USS Taconic, AGC-17)
- ビスケイン(USS Biscayne, AGC-18)
- ブルー・リッジ(USS Blue Ridge, LCC-19)
- マウント・ホイットニー(USS Mount Whitney, LCC-20)