月は東に日は西に
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月は東に日は西に(つきはひがしにひはにしに)は、わかつきめぐみの漫画作品。高校生の学園生活を描いた佳作。『楽描倶楽部』という、自由気まま(但し予算無し)な弱小クラブを中心とした、主人公たちの学園生活や日常を描く連作短編である。
白泉社の月刊少女漫画雑誌「LaLa」に隔月連載され、のち同社から単行本化された(全2巻。後に刊行された愛蔵版・文庫版は全1巻)。タイトルは与謝蕪村の発句「菜の花や月は東に日は西に」から由来している。
目次 |
[編集] 各話一覧
雑誌(LaLa)掲載順に記載する。
- 第一話:怒涛の文化祭前夜
- 第二話:母の肖像
- 第三話:HEART BREAK
- 第四話:春
天野行宏が退部・卒業する。
- 第五話:定例風炎現象
天野ゆず・宮原が入学・入部する。
- 第六話:梅雨・ぱらのいあ
ここまでが単行本1巻に収録。
- 第七話:怪談・天夏粉
- 写真館:ぱたぱたぱた
- 第八話:地上の空 空の海
- 第九話:雪桃
- 写真館:さらさらさら
- 第十話:Dancing Beans
- 第十一話:My Dear
高橋・春日野が退部・卒業する。ここまでが単行本2巻に収録。
[編集] 登場人物一覧
声優は「わかつきめぐみの宝船ワールド」の「宝船船上大宴会」でのもの。
[編集] 楽描倶楽部
高橋 茗(たかはし めい)/声優:滋田みかよ
主人公。第2代部長。 鷺島の部員狩りで入部するも、以降は部の運営を第一に高校生活を送っている。 普段は地味だが、過去に上級生にビンタを食らわせてタンカを切ったことも(第十話)。 他人思いの面が強く佐藤ら後輩から慕われる一方、責任感が強い故全てを背負い込むところも。 母親の影響もあり、プライベートでは和装で過ごすことも少なくない。 男子部員と猥談することを話すなど、割とさっぱりした性格でもある。 寝不足が祟って異常行動を起こしたこともある(第六話)。 梅子・春日野・鷺島の「うーっ、わんわんっ」や「ごろにゃぁご」に反応する奇妙な一面も。
春日野 馨(かすがの かをる)/声優:直枝政太郎(カーネーション)
準主人公。楽描倶楽部部員。茗と同学年。写真館「さらさらさら」を除く全話に登場。 常識人の茗に対し、奇行が目立つ人物である。 目が前髪で隠れており、夏のアルバイトの時に前髪を上げたらまぶしくて サングラスを着用するというエピソードもある(第七話。ちなみに目が描かれた絵は公開されていない)。 茗だけでなく楽描倶楽部全体に気が回る優しさが垣間見える一方、策士の一面も(第十話)。 米犬と呼ばれる犬を3匹飼っている。 余談だが、作者曰く「男性ファンにも好かれているが、不思議なことに嫌いと言う人がいない」ほどファンのウケがいい人物でもある。
佐藤 茅菜(さとう ちな)/声優:上野洋子(ZABADAK)
茗の1年後輩。ラストで部長に就いている。写真館の2話を除く全話に登場。 キャピキャピした性格の持ち主(クラスメート曰く「トクな性格」)。茗を心から慕っている。 その性格故、天野ゆずから反感を買ったり宮原から心配されることも度々。 他人の困りごとを捨て置けない優しい一面もあるが、基本的には泣き虫。 また、お化けが苦手の模様(第七話では除霊の札まで用意した)。 「宝船」では意外な酒豪ぶりが判明した一方、 沈没中の船内で「あらー、いつのまにか天井がなくなってる」とのたまうなど、エピソードに事欠かない。 余談だが、作中にて一度もパンツルックで現れない女学生キャラでもある(第七話はキュロット)。
天野 行宏(あまの ゆきひろ)/声優:高橋栄造(ファンロード)
茗の2年上の先輩。 高校を留年して旅行をしていた経緯から「ご隠居」と呼ばれる。 普段は周囲を立てる優しい人物だが、酒が入ると性格が変わる (酒宴の場でいかがわしい撮影会を行ってしまったことも)。 妹(ゆず)とはあまり仲が良くないように見える。
鷺島 夕(さぎしま ゆう)/声優:DARIE(ニュー・トーテム・ポールズ)
初代部長。天野行宏と同学年(留年せずに卒業している)。 美術部からスピンアウトして楽描倶楽部を立ち上げるものの、 入部希望者がいなかったため「部員狩り」で茗と馨を部員にした人物。 (性格が近いこともあり)茗の母を気に入っている。 剛毅な面が目立ちがちだが、仲間、特に後輩への思いやりも強い。
天野 ゆず(あまの ゆず)/声優:倉林加奈(オレンジ・パラドックス)
部員。天野行宏の妹。 中学時代から茗に憧れていて、楽描倶楽部へ入部する為に同じ高校に入った。 一方、性格の不一致から佐藤茅菜を敵視するも、いい様に使われることも度々。 かなり思い込みの激しい性格。また兄を「行様」と呼ぶ(兄が嫌がるのが楽しいらしい)。 余談だが、普段の髪型はストレートロングだが、「仕事」中は三つ編に変わる。
宮原 霖(みやはら りん)/声優:泉水敏郎(タイツ)
部員。天野ゆずと同学年。 第一話の展示物を見て入部を決める一方、飼い犬「さくら」の騒動(第三話)にも間接的に絡む。 病弱ながらもハードな部の活動に何とかついていっている。 周囲が個性的な人物の中で埋もれがちだが、第八話で芯の入った一面も見せる。
[編集] 高橋家の人々
高橋 梅子(たかはし うめこ)/声優:丸木戸定男
茗の母。 通称「ハイパー母さん」「日本の母」。常に和装。 実の娘(高校生)をちゃん付けで呼ぶ。料理と恋愛に強い。米犬と会話ができる特技(?)を持つ。 第七話では茗にお化けのサインをねだった。とにかく、茗の人格形成に多大な影響を及ぼしているのは間違いないところ。 しかし読者には人気があり、「宝船」では主人公を差し置いて歌が作られた(3曲目「ハハハ、カナシ」)。 余談だが、写真集「さらさらさら」で茗が生まれたときの写真にて 左右に春日野と佐藤の母と思しき人物が一緒に写っているが、関係その他は不明。 また、作者(わかつきめぐみ)の祖母が「うめ」という名前とのこと。
高橋 晃之介(たかはし こうのすけ)/声優:渡辺一(ぱふ)
茗の弟。 母・姉とは正反対の大人しい人物。 宮原と微妙に被るせいか、出番は少ない。 「宝船」には一言だけ出ているが、愛蔵版以降の1/4スペースには出ていない。
[編集] その他
石原 今日子(いしはら きょうこ)/声優:A(○にA)森千春(ファンロード)
美術部員。茗や馨と同学年。 第一話から「美術部のうるさがた」として登場。茗に何かとちょっかいを出しているが、 その理由が後に好意を持っている天野行宏といつも一緒にいるためと判明。 天野行宏とは茗の仲介で付き合えるようになったが、以降も何かと茶々を入れてくる。 高橋梅子にはなぜか気に入れらている様子で、事あるごとに食事を馳走させられている。 なお、文庫版のあとがきにて庵野秀明が天野ゆずとともにお気に入りと書いている。
水倉 智広(みずくら ともひろ)
新聞部部長。茗と同学年で数少ない理解者の一人。 定期的に楽描倶楽部に仕事を依頼してくる。第一話では徹夜作業中の部員に差し入れもしていた。 ちなみに、「智広」という名前は単行本化時点ではついておらず、 愛蔵版刊行時の1/4スペースにて明らかになった(作者も「知らなかったぜ」と書いている)。 複数話に登場していながら、「宝船」では出番が無かった人物。
広坂(ひろさか)
生徒会長。 第一話に会話中にのみ登場。生徒会自体は楽描倶楽部をただのバイト集団程度にしか思っていない模様。
米犬
馨が飼っている犬。小学生のときに押しかけ飼い犬になった。 ちなみに、言葉が話せない(梅子とは会話できる模様)ながらも3匹とも「宝船」に登場する。 ササニシキは第六話で茗から逃げることができず、一夜を共に過ごして以来単独の出番がある。 「宝船」で曲が2バージョン作られるなど、影の主人公的存在でもある。
[編集] 刊行状況
[編集] 単行本
花とゆめコミックス
第1巻(ISBN4-592-11831-6)初版 1985年7月25日
第2巻(ISBN4-592-11566-X)初版 1986年5月26日
- 各巻の1/4スペースは作者のフリートークとキャラクターカット(小)。
[編集] 愛蔵版
全1巻(ISBN4-592-13816-3)初版 1991年12月1日
- 1/4スペースはキャラクターカット(大)に差し替えられている
- 第一話:高橋茗
- 第二話:高橋梅子
- 第三話:春日野馨
- 第四話:石原今日子
- 第五話:天野ゆず
- 第六話:宮原霖
- 第七話:水倉智広
- 第八話:天野行宏
- 第九話:佐藤茅菜
- 第十話:鷺島夕
- 第十一話:米犬三匹
- 「さいごにひとこと」が巻末に追加されている。
[編集] 文庫版
全1巻(ISBN4-592-88285-7)初版 2000年3月20日
- 1/4スペースは愛蔵版と同じ。解説は庵野秀明。