少女漫画
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少女漫画(しょうじょまんが)とは、少女雑誌に掲載されるなど、主たる読者として若年の女性を想定した漫画。
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[編集] 概要
絵柄としては可愛らしい・綺麗な印象をあたえるものが多い。作品世界の情趣を大切にして背景をリアルに描きこむことはさけ、コマ割りなどを駆使し、人物の感情の流れを重視した演出に優れる。また、動きを表現したり視点を頻繁に変更したりする絵は比較的少ない。ただし一部では青年漫画的な表現や映画的手法を持ち込み、伝統的な少女漫画的表現にとどまらない表現手法を模索する動きもあった。
[編集] 少女漫画のジャンル
少女漫画では何らかの形で恋愛を扱ったものが主流で、ラブコメディ、学園漫画、芸能界を描いた作品などは現在にいたるまで根強い人気がある。低年齢向けのものでは魔法少女ものが多かった。オカルト物・ホラー物・ミステリー物の伝統もあり、それを一ジャンルとした専門誌もある。
ギャグ漫画やスポーツ漫画も古くからジャンルとして確立している。1970年代後半から1980年代にはSF漫画も流行した。
[編集] 少女漫画の歴史
第二次世界大戦後、少女雑誌に連載された漫画が広く親しまれるようになる。1951年には上田としこが『ボクちゃん』を連載開始、1953年には手塚治虫が『リボンの騎士』を連載し、少女漫画にストーリー漫画を導入、このころから少女漫画の人気が高まっていく。
1950年代後半から1960年代にかけては、宝塚歌劇の影響を受けたり、高橋真琴らの少女画からの影響を受け、少女漫画特有の装飾的な表現が発達した。人物背景に花を描きこむ、キャッチライトが多数入った睫毛の長い目などである。先行した少女小説の影響などもあって、美形の男性・男装の麗人などが登場し、華麗なストーリーを展開した。1950年代から1960年代の少女漫画はちばてつやや松本零士など男性作家によって描かれていることが多かったが、水野英子らの女性ストーリー漫画家も早くから活躍し、少女漫画の手法の確立に貢献した。
1970年代に入り、萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子、山岸凉子(24年組)土田よしこなど、それまでに無いSF、ファンタジー、ナンセンスギャグ、少年同性愛を描く少女漫画家が出て、少女漫画の世界が一気に広がった。この点においては、柴田昌弘(サスペンス性・SF的要素・メカニック)、魔夜峰央(ミステリー・怪奇・耽美・ギャグ)、和田慎二(主にアクション)など少女漫画デビューの男性作家の貢献も大きい。
1980年代には紡木たく、吉田秋生といった漫画家が人気を博し、従来の少女漫画的な装飾的表現を簡略化する傾向が強まった。等身大の女性を丁寧に描く作家が多くなり、シンプルな背景にキャッチライトが入らない目の人物像を描く漫画家が増えた。少女漫画読者層の広がりと作家のキャリアが長くなってきていることもあり、ヤング・レディース、レディースコミックが分化した。少年同士の恋愛を描いたボーイズラブも、少女漫画との読者層のズレがおこり、ジャンルとしての分化がはたされた。
また1980年代に入ると、少年漫画にも高橋留美子を皮切りに女性漫画家が進出し、あだち充のように少年・少女誌両方に連載を持つ作家が現れた。これによって、人物の心理描写等で少女漫画の手法が少年漫画の世界にも広く波及するようになった。少女漫画では女性のリアルな心理を追求する傾向が深まり、精緻な心理描写が展開される先鋭的な作品が次々と現れ、女性の心理描写でハンディのある男性少女漫画家は姿を消していった。一方で、過去女性向けではタブーとされていた性描写の過激な作品が増加していった。
1990年代には前述の高橋留美子作『らんま1/2』が数ある少女漫画を押さえ、少女の好きな漫画のランキング上位に入っており、1980年代から顕著になった「少女が少年漫画を読み始める傾向」が更に強まったといえる。もっとも、それはこの時期既に特別な事ではなくこの事象も現象として表面に出たに過ぎないのだが、この事はあえて少女漫画においてわざわざ少年漫画的な要素を取り入れる必然性がなくなった事を意味するが、少年漫画を経た作家陣により嫌が応にも作品には取り入れられる事となった。この様に分化に洗練といった進化を重ねて、今の状況へ連なる素地が出来たといえる。
[編集] 少女漫画の現状
最近は女性読者の少年漫画への流失や、女性作家が少年漫画雑誌に連載することが多くなったことで少女漫画界は衰退の傾向にある。とはいえ、『のだめカンタービレ』や『ハチミツとクローバー』など、少年漫画に見られない独特の魅力で男性読者を掴んでいる少女漫画も少数ながら存在する。それは中高生以上をターゲットにした作品に多く見られ、特に矢沢あいの『NANA』は、男性読者や普段あまり漫画を読まない層を読者層に取り込み、2005年度オリコン1位(漫画部門男女)を獲得する等、少女漫画に光を与えた。同時期には『花より男子』がドラマ化され、単行本の売り上げが急増し少女漫画の中でも一番売れた漫画となった。マスメディックス化が近年では多く、『NANA』等が成功例である。原状ではメディア展開に特化した女児向けの作品以外ではアニメーションよりも映画やドラマといった実写メディアの方が盛況であり、『のだめカンタービレ』に続いて、『ちびまる子ちゃん』までもドラマ化される事になった。また後述の『きらりん☆レボリューション』はアニメの他に実写によるPVが製作されている。
また、幼児・小学生(中学年以下)といった低年齢層に該当する女児のみをターゲットにする漫画も『ミルモでポン!』、『きらりん☆レボリューション』などの成功により市場を確立している。ただし共に児童向け漫画や幼年漫画に位置づけられることもあり、内容の是非と成功の関連が微妙に不明瞭な点も含めて少女漫画の質としての成功というよりメディアミックス戦略の成功という趣がある(余談だが少女漫画において年齢層を問わずマスコットキャラが必ず何らかの形で設定されるのは、商品展開をしやすくする為の編集サイドの意向という説がある)。また、その中間層である小学校高学年~中学校1・2年生の少女をターゲットにする少女漫画(「りぼん」「なかよし」などに掲載されている作品)は、少女漫画の創生期から『美少女戦士セーラームーン』『ママレード・ボーイ』などが大ヒットしていた頃までは少女漫画界の中心に君臨したにも関わらず、ここ数年間はヒット作が不在な状態が続き、市場も急激に縮小している。現状ではファンタジー設定やアニメ向けの展開は幼稚と取られ、小学生の途中までに卒業し、そのまま中高生向けの作品へ流出する事態が起きている。前述の「花より男子」が少女向けアニメでは失敗したのに対してテレビドラマで大ヒットした事実は原状を象徴していたといえる。
なお、中高生以上をターゲットにする人気作品には、小中学生以下をターゲットにする作品や少年漫画とは違い、掲載誌の売上シェアとの関連性がほとんどなく、雑誌単位の購買よりコミックスでの購買の方が多く、編集サイドにおいても単行本出版ペースを念頭に置いた掲載が成されている模様。
[編集] 少女漫画家
出版社専属の作家が多数存在するが、この業界は一種のリーグ制を導入している。誰もが望むであろう連載組はわずか1~2割しかいない。短期連載組1割、その残りが読み切り組につくことになる。不人気なら専属契約を解除される厳しい世界である。少女漫画作品は他のジャンルに比べて、ストーリーの完結性が強く、計算された物語性が要求されるが、「売れる」と認められるのは(内容の質に拘わらず)連載が長く続く作品であり、短編に優れた作者にはまったく不利となる。この不安定な労働条件が、創作意欲の高い作家ほど早く力尽きるといった傾向を生み、日本の漫画界にとって大きな損失になっている。近年では少女漫画家が青年漫画や少年漫画に転向する例も多くみられる。
[編集] 少女漫画雑誌
作品が掲載されている漫画雑誌。詳細は漫画雑誌の該当項を参照。
[編集] 少女漫画家
少女を対象とする漫画雑誌に作品が掲載されている漫画家を中心に集めてある。
五十音順
[編集] あ
- あいざわ遥
- 青池保子
- 葵みちる
- 青木琴美
- 青沼貴子
- 赤石路代
- 赤座ひではる
- 赤塚不二夫
- 秋里和国
- 明野みる
- 秋元奈美
- 明智抄
- あさぎり夕
- 浅月舞
- 朝菜きり
- 朝比奈ゆうや
- 朝吹まり
- 芦原妃名子
- あしべゆうほ
- あだち充
- 亜月裕
- 亜月亮
- 阿南まゆき
- 安孫子三和
- あべゆりこ
- 天原ふおん
- 飴あられ
- 彩花みん
- 彩原その
- あゆかわ華
- あゆみゆい
- あらいきよこ
- 新井葉月
- 有井伊奈
- 有沢遼
- 有吉京子
- アルコ
- 安藤なつみ
- 飯坂友佳子
- 五十嵐かおる
- いがらしゆみこ
- いくえみ綾
- 征海未亜
- 池田理代子
- 池野恋
- 池ノ上たまこ
- 池山田剛
- 井沢陽子
- いしかわえみ
- いしだ彩
- 石本美穂
- 和泉明日香
- 一条ゆかり
- イチハ
- 樹なつみ
- いなだ詩穂
- 井上多美子
- 伊吹楓
- 今井康絵
- 今市子
- いわおかめめ
- 岩館真理子
- うえだ美貴
- うえだ未知
- 上田美和
- 上野すばる
- 内田善美
- 宇野亜由美
- 羽海野チカ
- 海野つなみ
- 江神ゆうこ
- 恵月ひまわり
- えぬえけい
- 絵夢羅
- 榎本ちづる
- 宇佐美多恵
- 及川えみり
- 王里恵
- おおいま奏都
- おおうちえいこ
- 小桜池なつみ
- おおさかけい
- 大島弓子
- 大塚由美
- 大野のぞみ
- 小花美穂
- おおばやしみゆき
- 岡田あーみん
- 岡野史佳
- 岡本慶子
- 岡野玲子
- 小椋冬美
- 織田 綺
- 小原ショウ
- 折原みと
[編集] か
- 花郁悠紀子(かいゆきこ)
- 加々見絵里
- かがり淳子
- 樫の木ちゃん
- 柏ぽち
- 春日るりか
- 片岡みちる
- 加月るか
- 片桐澪
- 加藤知子
- 鹿野しうこ
- 神尾葉子
- 神谷悠
- かわみなみ
- 川口まどか
- 河惣益巳
- 川瀬夏菜
- 香村陽子
- 川原泉
- 河原和音
- かわはらなつみ
- 川原靖子
- 川原由美子
- 川村美香
- かやまゆみ
- 神崎裕
- 菊田みちよ
- 菊池久美子
- 岸野奈央子
- 喜多尚江
- 北川みゆき
- 北沢薫
- 北村有香
- 木月庭子
- 木原敏江(きはらとしえ)
- 木村千歌
- 樹村みのり
- きら
- 桐島つばさ
- 草川為
- 草凪みずほ
- 草野誼
- 桐生楓
- 楠本まき
- 呉由姫
- 倉橋えりか
- CLAMP
- 黒崎みのり
- 黒乃奈々絵
- 桑田乃梨子
- 小泉晃子
- 古泉由夏
- 神坂智子
- 香村陽子
- 小金沢めい
- コゲどんぼ
- 小坂まりこ
- 小坂理絵
- ことぶきつかさ
- 寿たらこ
- 寿らいむ
- こはく那音
- 香林ゆうき
- こはら裕子
- 小松田わん
- 子桃印子
[編集] さ
- 斎藤けん
- 冴凪亮
- 酒井まゆ
- 坂田靖子
- 茶木ひろみ
- 朔野安子
- さくらあすか
- 桜井明子
- さくらももこ
- 佐々木倫子
- ささだあすか
- 茶月みきこ
- 佐藤キリエ
- 佐藤史生
- 里中満智子
- 沢田とろ
- しがの夷織
- 椎名あゆみ
- 椎名軽穂
- 塩森恵子
- 市東亮子
- 篠塚ひろむ
- 篠原千絵
- 篠有希子(しの ゆきこ)
- 清水玲子
- 清水まみ
- 清水ゆーり
- 霜月かよ子
- 庄司陽子
- 城河かなえ
- 白沢まりも
- 白鳥希美
- 新條まゆ
- 陣名まい
- すえのぶけいこ
- 皇名月
- 杉崎ゆきる
- 杉山美和子
- すずめさえ
- 巣田祐里子
- 諏訪緑
- 瀬戸優菜
- 園田小波
[編集] た
- 高尾滋
- 高口里純
- 高須賀由枝
- 高瀬綾
- 高瀬直子
- 高田エミ
- 高月悟里
- 高橋美由紀
- 高屋奈月
- 高宮智
- 武内こずえ
- 武内直子
- 竹宮惠子
- 竹本泉
- 橘裕
- 立川恵
- 竜山さゆり
- たておか夏希
- 田中美菜子
- 田中メカ
- 田辺真由美
- 谷川史子
- 種村有菜
- 田村由美
- 塚本やよい
- 月梨野ゆみ
- 筑波さくら
- 津田雅美
- つだみきよ
- 椿いづみ
- 紡木たく
- 津山ちなみ
- 富所和子
- 遠山えま
- 時計野はり
- 鳥橋まい
[編集] な
- 長江朋美
- なかじ有紀
- 中条比紗也
- 中瀬アサキ
- なかの弥生
- 中野さや
- 中原アヤ
- 中原杏
- 仲村佳樹
- 中山星香
- なすび絵里
- 那州雪絵
- 名取ちずる
- 七島佳那
- 七瀬れい
- 成田美名子
- にざかな
- 西岡ちえ
- 西野りんご
- にしむらともこ
- 二ノ宮知子
- 猫部ねこ
- 猫山宮緒
- のせじゅんこ
- 野間美由紀
- 野村あきこ
[編集] は
- 萩岩睦美
- 萩尾望都
- 萩わら子
- 長谷川潤
- 波津彬子(はつあきこ)
- 葉月みどり
- 葉鳥ビスコ
- 花森ぴんく
- 春田なな
- 林みかせ
- 半澤香織
- 柊あおい
- ひうらさとる
- ひかわきょうこ
- 東まゆみ
- 樋口橘
- 日高万里
- 日向まひる
- 樋野まつり
- 姫川きらら
- 日渡早紀
- 藤井みほな
- フクシマハルカ
- ふくやまけいこ
- 福山リョウコ
- 藤崎真緒
- 藤田にみ
- 藤田まぐろ
- 藤田貴美
- 藤村真理
- ほづみ有紀
- 星崎真紀
- 細川智栄子
- 細村誠
[編集] ま
- 前川涼
- 前原滋子
- 槙ようこ
- 槙村さとる
- 松苗あけみ
- マツモトトモ
- 松本夏実
- 松本洋子
- 魔夜峰央
- 美内すずえ
- ミキマキ
- 三咲あや
- 水上航
- 水沢めぐみ
- 水都あくあ
- 水野英子
- 水野たま
- 水野十子
- 溝口涼子
- みつはしちかこ
- みづほ梨乃
- 緑川ゆき
- 宮坂香帆
- 南マキ
- みやまあかね
- 宮脇ゆきの
- 陸奥A子
- 村上真紀
- めるへんめーかー
- 持田あき
- 望月あきら
- 望月花梨
- 望月ぱすた
- 望月玲子
- 元原絵里奈
- 本和歌
- もりちかこ
- もりたじゅん
- 森田ゆき
- 杜野亜希
- 杜真琴
- 森ゆきえ
- 森江真子
- 森川久美
- 森永あい
- 森村愛美
- 森本里菜
[編集] や
- 八神千歳
- 八木ちあき
- 矢沢あい
- 谷沢直
- 柳原望
- やぶうち優
- 山内直美
- やまざき貴子
- 山岸凉子(やまぎしりょうこ)
- 山下和美
- 山下友美
- 山川あいじ
- 山口美由紀
- 山田也
- 山田南平
- 山田ミネコ
- 山田ユギ
- 大和和紀
- ユーキあきら
- 優木なち
- ゆうみ☆りんく
- 由貴香織里
- 雪丸もえ
- 吉住渉
- 吉田秋生
- よしながふみ
- 吉野朔実
- 芳原のぞみ
- よしまさこ
- 吉村明美
- 米沢りか
[編集] ら
- 羅川真里茂
- 六本木綾
- 六花チヨ