杜子春
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『杜子春』(とししゅん)は芥川龍之介が1920年(大正9年)に雑誌「赤い鳥」に発表した子供向けの短編小説であり、その主人公の名前でもある。 原作は中国の古典、鄭還古の杜子春伝である。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
ある春の日暮れ、洛陽の西門の下に杜子春という若者が一人佇んでいた。彼は元々金持の息子だったが財産を使いすぎたために今は惨めな生活になっていた。
杜子春はその門の下で片眼すがめの不思議な老人に出会い、大金持ちにしてもらう。しかし、杜子春は三年後また財産を使い果たし一文無しになってしまう。杜子春はまた西門の下で老人に出会い金持ちにしてもらい同じことを繰り返す。
三度目、西門の下に来た杜子春は変わっていた。金持ちになったときには友達もよってくるが、貧乏になるとみな離れていく、杜子春は人間というものに愛想を尽かしていた。
杜子春は老人が仙人であることを見破り、仙術を教えてほしいと懇願する。そこで老人は自分が鉄冠子(三国志演義などに登場する左慈の号)という仙人であることを明かし、自分の住むという峨眉山へ連れて行く。
峨眉山で杜子春は試練を受ける。鉄冠子が帰ってくるまで口をきいてはならないので、杜子春はじっと試練に耐える。しかし、親が畜生道で苦しんでいるのを目の当たりにしてつい「お母さん」と一声、叫んでしまう。
すると、あっという間に杜子春は現実に戻される。洛陽の門の下、春の日暮れ、すべては仙人が見せていた幻だった。仙人は杜子春に泰山の麓に一軒の家と畑を与え、これからは人間らしい暮らしをするようにと杜子春に説いた。