松原仁 (情報工学者)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松原仁(まつばら ひとし、1959年 - )は、日本の情報工学者。東京都出身。公立はこだて未来大学教授。工学博士。一貫して人工知能研究に従事。特にコンピュータ将棋や、ロボットによるサッカーなどのコンピュータゲームを通じたアプローチで著名。
電子技術総合研究所(電総研)にて、鉄腕アトムを作ることを目指して、コンピュータ将棋を中心に人工知能研究を始める。特に棋士羽生善治の協力などの協力を得て、人間の認知モデルに基づく認知科学的アプローチを行っている。コンピュータが将棋で名人に勝つ時期を、2015年と予測している(「情報処理」2005年7月号)。
またロボカップ設立を提案し、以来運営に関わる。2050年にサッカーの世界チャンピオンに勝てる自律型サッカーロボットチームを作ることを目標としている。
1990年頃には、事例ベース推論(Case-Based Reasoning:CBR)の研究にも従事。中島秀之らの「協調」に関する研究にも協力している。はこだて未来大学着任後は、情報技術を用いた観光についての研究もしている。
将棋歴は、小学生の時に覚え、27歳の時に五段の免状を取った。
目次 |
[編集] 経歴
- 1986年 東京大学大学院情報工学専門博士課程修了、同年通産省工業技術院電子技術総合研究所入所。
- 1992-98年 「コンピュータ将棋選手権観戦記」を「bit」誌に掲載。
- 1996年 第1回コンピュータ将棋協会賞CSA著述賞を受賞(コンピュータ将棋に関する広範な著作に対して)
- 1998-99年 「コンピュータ将棋入門」を「将棋世界」誌(1998/11-1999/10月号)に連載。
- 1999年 情報処理学会ゲーム情報学研究会発足の提案者となる。2000年度幹事、2002年度-2004年度主査
- 1999年 ロボカップ日本委員会専務理事、2004年会長
- 2000年 公立はこだて未来大学システム情報科学部教授
- 2005年 科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)において、「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」部門の「オンラインゲームの制作支援と評価」研究チーム(松原仁チーム)の代表者を務める。
[編集] 著書
- 『将棋とコンピュータ』共立出版 1994年
- 『コンピュータ将棋の進歩』共立出版 1996年、『2』1998年、『3』2000年、『4』2003年、『5』2005年
- 『ゲームのプログラミング bit8月号別冊』共立出版 1997年(竹内郁雄と共著、1998年『ゲームプログラミング』に改題)
- 『鉄腕アトムは実現できるか—ロボカップが切り拓く未来』河出書房新社 1999年
- 『ロボットの情報学—2050年ワールドカップ、人間に勝つ!?』NTT出版 2001年(竹内郁雄、沼田寛と共著)
- 監修『わくわくロボット教室』集英社 2003年