焼酎バー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
焼酎バー(しょうちゅうばー)とは、本格焼酎を専門に扱うバーを示す。2003年頃から始まる「本格焼酎ブーム」に乗って全国各地に開店し、バーにおける一つの業態として定着した。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 黎明
焼酎バーは2000年6月、東京都港区西麻布にシェーカーコーポレーションが開店したEN-ICHIがその走りとされている。EN-ICHIは本格焼酎を中心としたダイニングバーで、全国各地から本格焼酎を集め、本格焼酎と和食を楽しむ店として開店した。本格焼酎が話題となる前で、九州および鹿児島郷土料理店以外では本格焼酎の専門店がなかった時代ということもあり、グルメ雑誌で話題となった。しかし、食事がメインの店であったため、カウンタよりもテーブル席が多く、またフードメニューが充実していることから居酒屋として扱っている書籍も存在している。現在でも焼酎バーの元祖として各種メディアによく登場している。
[編集] スタイルの確立
焼酎バーの基本的なスタイルを確立させたのは、東京都渋谷区円山町に2001年6月に開店した焼酎バー古典である。古典は、カウンタを主体とした店の作りや酒瓶の配列や照明のあて方、フードを20品程度に抑えたメニュー構成、BGMにJAZZを使うなど、洋酒やカクテルを提供するいわゆるバーを強く意識した作りとなっている。また、焼酎以外のアルコールメニューを例外とした提供パターンは、その後に登場する焼酎バーに大きな影響を与えた。同店舗のスタイルが焼酎バーという日本独特の料飲店形態の特徴を作ったといっても良い。その点では現在多く目にする焼酎バーの元祖は古典であるといえるであろう。
[編集] 発展と現状
その後、焼酎ブームとともに新宿や池袋など東京を中心にワインバーなどが業態転換で焼酎バーへ衣替えするケースが相次ぎ、グルメ専門雑誌の推計では2005年現在、東京都内だけでも50店舗以上、全国では300店舗以上あるとされている。
焼酎バーが登場し始めたころは、「ダサい」という当時の本格焼酎にあった固定イメージを打破したいと考えた本格焼酎好きな店主によって運営されていたため、マスターと本格焼酎についてゆっくりと語りながら飲むことのできるサロンのような役割を果たしていた。
しかし、焼酎ブームが進行するにつれて、焼酎バーが当たり前の存在となると競争が激しくなり、量をごまかす店やいわゆる「プレミア焼酎」を高い値段で少量出すケースが増えた。また、スタイルだけを追いかけた結果、本格焼酎のことをよく知らない店が増え、「焼酎バー」と謳っていても焼酎以外の酒を多く置いていたり、フードメニューを数多くして実質的には単なる居酒屋と変わらなかったり、というケースも増えており、登場当初に見られたようなサロン的な役割を持った純粋な焼酎バーは激減、都内では元祖となった古典など数店舗しかなくなっている。
[編集] 焼酎居酒屋
焼酎バーの発展とともに焼酎居酒屋という業態も一般的となった。焼酎バーのようにバースタイルではなく、一杯飲み屋のような形式で本格焼酎のみを扱う。元々は「薩摩郷土料理」などと謳っていた店舗が、焼酎バーという名称の普及に伴い焼酎居酒屋という名称を使用しはじめたのが走りである。
その後、本格焼酎に惚れ込んだ居酒屋店主によって「焼酎バーの居酒屋版」となるような店舗が増え、現在では焼酎居酒屋と名乗る店は500店舗以上あるとされている。
[編集] スタイル
現在、全国で開店している焼酎バーは古典がはじめたスタイルをほぼ踏襲しており、
- カウンタ主体
- 瓶をカウンタ裏に並べる
- フードメニューは少なめ
という構成となっている。