爆転シュート ベイブレード (ホビー)
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爆転シュート ベイブレードは、1999年7月にタカラから発売された現代版ベーゴマで、2001年、2002年に社会現象とも呼べる大流行を全国の小学生の間に起こした玩具。ここではアニメ版・漫画版以外の事について説明する。
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[編集] 概要
日本に古くからある伝統玩具のベーゴマの、改良性、競争性を発展させ、商業玩具として販売したもの。 ただのプラスチックのベーゴマではなく、各部品の組み換えによって自分だけのベーゴマを作れるのが特徴。 日本の伝統玩具を商業玩具化する手法はタカラの得意とする所で、ベイブレードはビーダマン、オハジキマン、メダルマン、すげごま、デジケンの系譜の延長線上に存在している。特に、独楽を商業玩具化したすけごまの後期に発売されたものとは、構造、回転方法、遊び方が非常に類似している。
初めの内はタカラと近しい雑誌、コロコロコミックや小学館の学年誌と組んで商品記事と漫画を連載を行ってもらい、通常の男子系玩具と同様の売り方をしていた。しかし2001年1月、アニメ爆転シュート ベイブレードの開始により知名度が爆発的に上がり、全国の小学生の間に嘗て無い大流行を巻き起こした。 最盛期には、
- バラエティ番組に登場する
- ゲームセンターの景品になる
- 懸賞の商品となる
- 起源であるベーゴマの売り上げが急上昇する
- アメリカ・韓国を初めとする日本国外でも発売される
- 通常は玩具を扱わないコンビニエンスストアでも販売される
- どこに行っても手に入らない程の品薄状態が約半年間続く
- 全国大会が国技館で開催される
といった人気を博し、早期退職制度を実施する程赤字に苦しんでいたタカラの経常利益は、2001年には過去最高を記録。ベイブレードはその年の上半期だけで1500万個以上を売上げた。タカラが出した次世代メンコ、BANG!にも、売り上げを後押しする為に後期商品にはベイブレードのキャラクターが流用されている。
しかしながら長期シリーズの常として徐々に熱気が沈静化、アニメの終了と共に流行も終焉を迎え、国外の売れ行きも低下していく事となる。更に従来型と互換性を持たないヘヴィメタルシステムの不振が決定打となり、2004年の中期決算でタカラは赤字を計上してしまう。嘗て品薄に騒いだベイブレードも、末期には100円ショップで投売りされる様になっていた。そして2005年2月発売のHMSランダムブースターACT.5を以って、5年7箇月続いたベイブレードの商品展開は一応の終了を迎える。しかし、一部の愛好者による玩具再販、再アニメ化の希望は存在する。
- ベイブレード第一号はアルティメットドラグーン。発売前に行われたコロコロコミック主催のイベントでは、サイゾー、フロスティックドランザーと共に試験版が無料配布されていた。
- 漫画版の主人公達が使う機体(ドラグーン、ドランザー、ドライガー、ドラシエル、ガイアドラグーン)には、名前の終わりに各シリーズを意味する『S』『F』(スピンギアシリーズ)『V』『V2』(マグネシリーズ)『G』『GT』(エンジンギアシリーズ)『MS』『MF』(ヘヴィメタルシリーズ、『MF』はランダブースターの一種として販売されたドラグーンメタルファントムのみ)が付けられた(因みに、ドラグーンファントム及びメタルファントムのFは『Phantom』の間違いだと指摘されるが『Fantom』の頭文字である。)。
- 大会の運営はBBA(Beyblade Battle Association)が執り行う。このBBAという名称は、ビーダマンの大会運営団体JBA(Japan B-daman Association)の名称に揃えている。
- 機体にシューターとワインダーが附属したスターター、機体のみの販売のブースターという形式で販売されていた。
- 後期にはアニメのサウンドトラックのおまけにもなっていた。
- アメリカでの販売は、2001年に提携を結んだハズブロが担当した。安全性の問題からか、アメリカ版トライピオは羽に角度が無く、アタックリングのみを回しても空を飛ばないよう改良されている。
[編集] ベーゴマからの改良点
- 重さを増す、削って形を変えるという程度の改造しか出来なかった点を、各部品の換装という大胆な方法で誰にでも簡単に改造出来るようにした。
- 紐を使う回し方は一定の習熟が要求された。これを、シューター、ワインダーという道具を使って回す方法に変えたので、誰でも簡単にコマが回せるようになった(発展部品のA-134 ストリングシューター[1]はシューターと紐を用いる。ファイティングトップシリーズは紐だけで回す。)。
- 特別ルールが書かれたビットチップの採用。これによって機体が同じでも闘いの運び方が変わる為、戦略の幅が広がった。
[編集] 問題点
- 品薄から転売目的で購入する人間が現れた。
- 品薄から抱き合わせ販売する店が現れ、タカラは問屋の業界新聞紙上で抱き合わせ販売の自粛を要請した。
- 品薄と簡単に真似出来る構造から、偽物が売り出されるようになった。強度の低い偽物には、機体が回転中に欠け、破片を飛ばすという危険なものもある。
- 自作した、または他社が作ったタカラ未公認の部品を大会に使用する参加者が出て来た。
- この為、使用部品に関する規定が厳しくなり、以前は使用を公認していたチョロQの部品も規定改正後には使えなくなった。回せば自然磨耗する軟質軸の使用も、磨耗が激し過ぎる場合は改造と見做され使用を禁止される場合があった。
- 人気が未就学児にも飛び火し、対象年齢の6歳以下の子供まで遊ぶようになった。
- ミニ四駆の大会でも見られた事だが、子供に自分が作った機体を渡して大会に参加させる子供以上に熱心な親が出て来た。また、各地を飛び回って地方予選に何度も子供を通わせる親まで存在した。
- さらにはベイブレードが入荷すると半日もしないうち売れてしまうため、売り場に並べるときには店員が子供たちを抑え、購買時は店員がすぐ近くで見守るという事態も起こった。
[編集] 各システム
[編集] 従来型
[編集] 初期
四段構造からなる初期型。最初の組み立てにはネジが必要。回転方向は右回転のみ。
[編集] スピンギアシステム
通称SG。スピンギアを採用によって、ネジが不要になり、左回転も可能となり、4段構造が5段構造に増え戦略の幅が広がった。 通し番号も初期化され、本シリーズ以降のベイブレードは『A-000』という通し番号が振られるようになった。
[編集] マグネシステム
通称マグネ、MG。ベイブレードとスタジアムにマグネ(磁石)を搭載しベイブレードに不規則な動きをさせるシステム。尚、後半から発売されたものにはサポートパーツというブレードベースを改造出来る部品を搭載している。
[編集] エンジンギアシステム
通称エンジン、EG。ベイブレードにゼンマイを仕掛け高速回転を実現させた。
- エンジンギアターボシステム
- 通称EGT。エンジンギアを更に強化したもの。このシリーズでは軸先も交換出来るようになったが、交換出来る軸は少ないままシリーズは終了した。
[編集] RCベイブレード
ベイブレードの軸の根本部分にモーターを搭載し、リモコンで回転の方向や強弱を変えられるようにしたもの。周波数は27MHzと45MHzが存在する。公式大会では使用出来ない。
[編集] ヘヴィメタルシステム
通称ヘヴィメタル、HMS。従来型のベイブレードとは全く異なる機構で出来ておリ、互換性は無い。アタックリングに金属を使用し、ボディを小型化する事により、攻撃力と回転速度が飛躍的に向上している。また、金属同士がぶつかり合う音も魅力の一つ。
[編集] ギミックスペシャリティ
通称GS。HMSを発展させたもの。特長としては、今までのベイブレードでは考えられない機構や、コマ遊び以外の遊び方を搭載している。
[編集] ジャイロス
鉛筆の上で回転させる、糸を渡らせる等の、初期のすげごまに見られた対戦以外の遊び方に特化したシリーズ。 競技に特化したジャイロスピンギアを用いておりシューターは要しない。このシリーズは後にHMSシリーズでもMA-18 マジカルエイプMS 、MA-19 ラウンドシェルMSとして発売された。
[編集] ファイティングトップ
シューターは用いずに紐で回すヨーヨーの様なシリーズ。紐には、元来のベーゴマの紐に補助として付けられる五円玉を模した円盤が予め付いている。キャラクター性の無い点は、ジャイロスシリーズの後継シリーズと言える。
[編集] 爆転変形
幻獣の形に変形出来るベイブレード。対戦も可能。漫画版とは独立したファンタジーな物語を備えている。ビーダマンでいう所の爆外伝シリーズに当たる。爆転変形ではないスピンギアシリーズのA-28 グリフォリオンとA-34 サラマリオンも変形機能を備える。
[編集] クロスアームズ
2004年12月29日、突如復活したベイブレード。機体に乗っている頭部を互いに落としあうルール。ロボット形態への変形機構を備える。爆転変形の系統だが、物語に繋がりは無い。
[編集] スーパーベイブレード
回転中やぶつかった時に光ったり、アニメの効果音と同じ音が鳴るベイブレード。部品の換装は出来ない。公式大会では使用出来ない。
[編集] 構造
基本的にビットチップ、アタックリング、ウエイトディスク、ブレードベースの4構造からなる。
[編集] ビットチップ
聖獣という生き物が宿っている部品。中には特別ルールを持っているものがありそれを適用する事によって試合を有利に運べる。初期のものはビットチップカバーが無ければはめる事が出来ない。
- ビットチップカバー
- 初期のベイブレードには必ずこれが付いていた。ビットチップの保護パーツ。ただバトル中頻繁に外れるのでスピンギアシステムの途中から無くなった。
[編集] アタックリング
相手のベイにぶつかる部品。
[編集] 二重アタックリング
二重になったアタックリング。 ガルオンの様に固定されていない種類とドラグーンFの様な固定されている種類がある。前者は互換性がある。またガブリエルのブレードベースにも装着する事が出来る。
[編集] ウエイトディスク
ベイブレードの重さに関わる部品。径の大きなものはこれを相手のベイにぶつける事が出来る。
[編集] ブレードベース
ベイブレードの軸を含む部分。動きに大きく関係している。
[編集] スピンギア
ベイブレードの回転方向を決める部品。2000年以前のものはブレードベースと一体であり回転方向も右のみであった。軸と直結するものもある。
[編集] サポートパーツ
ブレードベースの相手のコマにぶつかる部分を交換する部品。MG後期のみ搭載。ガブリエルのブレードベースに搭載しているものは厳密に言えばサポートパーツとは違うが、果たしている役割は同じである。
[編集] エンジンギアカスタムウエイト
軸。EGTのみ搭載。
[編集] 真下修
真下 修(ましも おさむ)
- プロ雀士。
- レーサー。
- ベイブレードの発明者。本稿で記述。
- OVA 真魔神英雄伝ワタル 魔神山編 プロデューサー。
- 新世紀GPXサイバーフォーミュラ 設定協力。
- 1997年、タカラBOYSマーケティング部にてベイブレードを開発。
ベイブレードの成功により、38歳で最年少のタカラ取締役になり、2003年4月29日に退任するが、2006年2月15日にタカラトミー取締役として復帰する。常務執行役員マーケティング本部長も兼ねる。
- タカラの子会社、ワコーの代表取締役社長を務めた後2005年、3月30日退任し会長になり、2006年2月、会長を退任。
ワコー時には、ペットワークスの八谷和彦と共にサンクステイルを開発。
[編集] ビデオゲーム
玩具の「ベイブレード」が発売された同1999年7月に、ハドソンからゲームボーイカラー向のゲーム「次世代ベーゴマバトル ベイブレード」が発売された。 漫画『爆転シュート ベイブレード』に登場する木ノ宮タカオと火渡カイは本ゲームに於いて初めて登場した。玩具の発売と同時にゲーム版が発売されている点から、タカラがこの玩具の人気に自信を持っていた事が伺える。
発売日 | 会社 | 機種 | 作品名 |
---|---|---|---|
1999/07/23 | ハドソン | ゲームボーイカラー | 次世代ベーゴマバトル ベイブレード |
2000/08/11 | ハドソン | ゲームボーイカラー | ベイブレード FIGHTING TOURNAMENT |
2001/07/27 | ハドソン | ゲームボーイ | 爆転シュート ベイブレード |
2001/12/06 | ハドソン | ゲームボーイアドバンス | 爆転シュート ベイブレード 激闘!最強ブレーダー |
2001/12/13 | タカラ | プレイステーション | 爆転シュート ベイブレード |
2002/06/27 | ブロッコリー | ゲームボーイアドバンス | 爆転シュートベイブレード2002 いくぜ!爆闘!超磁力バトル |
2002/08/01 | タカラ | プレイスーテション | 爆転シュート ベイブレード2002 ベイバトルトーナメント |
2002/12/06 | ブロッコリー | ゲームボーイアドバンス | 爆転シュートベイブレード2002 激戦!チームバトル!!青龍の章-タカオ編- |
2002/12/06 | ブロッコリー | ゲームボーイアドバンス | 爆転シュートベイブレード2002 激戦!チームバトル!!黄龍の章-ダイチ編- |
2002/12/19 | タカラ | ゲームキューブ | 爆転シュート ベイブレード2002 熱闘!マグネタッグバトル |
2002/12/19 | タカラ | ゲームキューブ | 爆転シュート ベイブレード2002 熱闘!マグネタッグバトル ドラグーンV2ガンメタVer. 限定同梱版 |
[編集] カードゲーム
satzContrive -divisionが開発した『ベイブレードC.C.G.』が、ブロッコリーから2001年7月27日に発売された。スターターキットにはベイブレード本体がおまけとして付属するものもあった。
[編集] 関連作品
[編集] ベイブレードが登場する作品
- ギャラリーフェイク
- カオスだもんね!