牛伏寺
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牛伏寺(ごふくじ)は、長野県松本市にある真言宗智山派の寺院。山号を金峰山(きんぽうざん)と称する。本尊は十一面観音。鉢伏山(1,929メートル)の西側中腹に位置する。
古くから修験道の寺として有名であり、厄除け観音としても信仰を集めている。 諏訪高島藩の所領だったため、廃仏毀釈を逃れ、貴重な文化財が数多く残されている。
また毎年、成人の日に合わせて開かれる厄除縁日は、多くの人で賑わう。
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[編集] 歴史
寺伝では聖徳太子が42歳の時に自ら刻んだ観音像を本尊として鉢伏山に安置したのが始まりという。寺名については、天平勝宝7歳(755年)、唐からもたらされた大般若経600巻を善光寺へ奉納する途中、経典を運んでいた2頭の牛が倒れたことから「牛伏寺」の名が付いたという。なお、参道途中に建つ牛堂には2頭の牛が祀られている。
以上はあくまでも伝承であって、牛伏寺創建の時期や事情については確たる史料がなく、鎌倉時代以前の沿革は定かでない。牛伏寺が位置する鉢伏山の山頂には牛伏権現と称して蔵王権現を祀っており、元来、山岳修行、修験道の山だったと思われる。寺はもとは裏山に位置し、現在地に移ったのは天文3年(1534年)である。
慶長17年(1612年)と寛政8年(1796年)の大火で堂宇が焼失し、現存する建物はその後の再建である。
[編集] 文化財
- 木造十一面観音及び両脇侍(不動明王、毘沙門天)像 - 十一面観音像は桃山時代様式の極彩色の宮殿(くうでん、厨子)に秘仏として安置される。開帳は33年に一度とされている。脇侍の不動明王像と毘沙門天像は宮殿の外にあり拝観可能である。
- 木造釈迦如来及び両脇侍像
- 木造薬師如来坐像
- 木造大威徳明王像
以上の4件8体の仏像はいずれも平安時代末期の作である。
- 長野県宝
- 松本市指定重要文化財
- 仁王門-享保11年に再建
- 観音堂-入母屋造銅板葺で松本領内の寺院が廃仏毀釈により壊され、江戸時代前期の建造物が少ない中で大変貴重である。
- 本堂-元和8年に再建
- 男神・女神像
- 十王像
- 追儺面 2面
- 童子像
[編集] 札所
- 信濃三十三番観音札所27番